おはようございます
昨日は「サッパリもピリ辛も、からだの状態に合わせて」 で 、以前にも「ストレス解消に甘いもの?辛いもの?」 で、からだの欲しがる味と体調について、東洋医学的に検証してみました。登場したのは辛味、酸味、甘味。じゃ、苦味や鹹味(かんみ;しょっぱい味)は?気になりませんか?
五味と五臓の関係は、五行で示されていて、「漢方の五味って何?」 や「漢方の四気・五味・帰経と食養生」 でも解説していますが、あらためてまとめてみますね。まずは、↓こちらの図をごらんくださいませ。
五行は木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)から成っていて、それぞれ特徴的な性質 があり、その性質に合うように、自然界 も人体 も分類されています。そして、五味と五臓の関係は、五行の相互関係 によって、互いに影響しあいます。
酸味を好むとき … 肝
が弱っている
肝は「剛臓」と言われるくらいで、弱ってしまうことはあまりないのですが、肝の貯蔵する血が不足 して肝血虚 になったり、血だけでなく津液も不足 して肝陰虚 を生じることはあります。
そんなとき、からだは酸っぱいものを欲しがるはず。酸味や青色は、同じ五行の木に属して、肝を補う方向に働くからです。妊婦さんが酸っぱいものを食べたがることが多いのは、胎児の成長のために使われてしまって、妊婦さん自身の血が不足しがちだからなんですね。
苦味を好むとき
① 心 が弱っている
苦味や赤色は、同じ五行の火に属して、心気虚、心陽虚、心血虚、心陰虚 など、弱った心を補います。
② 胃 の通降作用が弱っている
胃の気が停滞したり不足したりして、それが通降作用に影響をおよぼしているとき、飲食したものが下がらなくなるので、胃がはったり、便秘したりします。そんなときも、苦味が助けになります。苦味には苦降 といって、ものを下げる作用があるから。
甘味を好むとき
① 脾 が弱っている
甘味や黄色は、同じ五行の土に属して、脾気虚、脾陽虚、脾陰虚 など、弱った脾を補います。
② 血虚 気味の人がストレスを感じたとき
これについては、「ストレス解消に甘いもの?辛いもの?」 で解説していますので、そちらをごらんくださいね。女性に限らず、血が不足気味な方がストレスを受けたときは、甘いもので解消したくなるはず。
辛味を好むとき
① 肺 が弱っている
辛味や白色は、同じ五行の金に属して、肺失宣降、肺気虚、肺陰虚 など、弱った肺を補います。
これも、「ストレス解消に甘いもの?辛いもの?」 で解説していますので、そちらをごらんくださいね。女性でも肝血が十分にある人は、ストレス解消に甘いものより辛いものを好むはず。
③ 冷えが強いとき
「穀類・豆類と調味料の性味と帰経」 を見ていただくとわかりますが、スパイス に代表される辛味のある食品には、温める作用を持っているものが多いので、冷えが強いときは自然と辛味を求めるかもしれません。
鹹味を好むとき
① 腎 が弱っている
鹹味や黒色は、同じ五行の水に属して、腎精不足、腎陰虚、腎陽虚 など、弱った腎を補います。年齢を重ねることは、次第に腎虚が進むことでもあるので、老人の味覚が鈍って、味の濃いものを食べたがるのは、腎虚に対する自然なからだの反応なのかもしれません。
② 心火亢進 がある
五行の相克関係 で、水は火を抑える役割を担っています。心火が強すぎるとき、それを抑えるには腎水を増やすといいので、鹹味を摂るのがいいということになります。
よく甘党・辛党なんてことを言いますが、食べ物の好みはその人の体質的なものを示しているのかもしれません。甘党さんは、もともと脾が弱いのかも?辛党さんは肺が弱いのかも?でも、甘いものを摂り過ぎれば、土が強くなりすぎて、水である腎を弱らせ、辛いものを摂り過ぎれば、金が強くなりすぎて、木である肝を弱らせますよ。
どんな味のものを好んでいるか、体調によって変わってくるはず。からだの声を聴いて、好みの味から体調を考えて、手当てしていくことこそ、「治未病」ですね。
なにごともバランスが大切。一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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