東洋医学講座 No.45 五臓の変調 その1 | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

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体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


師走に入りましたね。鍼灸師で講師の春月も走り回ることになりそうな年末です。インフルエンザは新型も季節性も、すでにごっちゃになってきています。忙しい時期ほど、しっかり睡眠を確保して、食事はバランスよく、よく噛んで食べて、大いに笑って、免疫力を維持しましょう。


先週の「子どもの下痢を東洋医学的にみると」 の中でお約束したように、臓腑弁証についてお話していきますね。まずは五臓の変調、第1回目の今日はの病いについてお届けします。は「五臓六腑の大主」ですから、めったなことでは病いにはなりません。が、五臓のひとつでもあるわけで、特に精神的なものや血の循環はがコントロールしています(→No.9 )ので、そのあたりに変調が出てくるんですね。


気血を陰陽に分類した場合、気は陽で、血が陰になります。五臓六腑にはそれぞれ気血があるわけで、心ならば心気と心血があり、それぞれを心陽・心陰と言ったりもします。ただし、心陰には血だけでなく、津液も含まれますよ。


1 心陽・心気の変調


心の陽気が弱るケースと、反対に強くなりすぎるケースとがあります。


① 心気虚・心陽虚(気虚→陽虚と重症化)

気の不足(→No.33 )が心で生じて、心の陽気が衰弱した状態です。気虚のうちはさほどではありませんが、陽虚となると温める作用が低下してしまい、冷えの症状が出てきます。陽気の働きが鈍るため、心本来の機能も低下します。

その結果、

1) 神(しん)の状態が不安定になると、精神的な疲労、反応の低下、起きているのがつらい、うわごとを言うなどの症状が出る。

2) 心血の推動が弱くなると、血行不良、動悸、胸部の痛み、脈拍が弱るなどの症状が出る。

3) 気虚の症状(→No.34 )が出る。


② 心火亢進

熱邪が侵入したり、気の停滞(→No.33 )が心で生じたりして、心の陽気が亢進して火熱が発生した状態です。

その結果、

1) 神(しん)が興奮状態となって、動悸、不眠、夢を多く見る、落ち着きがない、言動が異常になるなどの症状が出る。

2) 心血に熱が生じて、血流が速くなり、動悸がする、脈が速くなる、出血する、舌が紅くなる、舌が荒れるなどの症状が出る。


2 心陰・心血の変調


心陰・心血が不足するケースと、心血の流れが停滞するケースがあります。


① 心陰虚

おもに津液が不足(→No.39 )して、熱をさます作用が低下した状態。相対的に心陽が亢進します。

その結果、

1) 手足がほてる、舌が紅くなる、脈が細く速くなるなどの症状が出る。

2) 神(しん)が興奮状態となって、動悸、不眠、夢を多く見る、落ち着きがない、言動が異常になるなどの症状が出る。


② 心血虚

血の不足(→No.36 )が心で生じた状態です。

その結果、

1) 血脈が充足せず、血虚の症状(→No.37 )が出る。

2) 心気の滋養が不十分になり、心気の機能が低下する。


③ 心血お滞
血の停滞(→No.36 )が心で生じた状態です。

その結果、

1) 血おの症状(→No.38 )、特に胸苦しさや胸の痛みが生じる。

2) 心気の滋養が不十分になり、心気の機能が低下する。


東洋医学で病いの状態を診るとき、何がどこでどうなっているかを考えますが、「何が」にあたるのは気血津液であり陰陽、「どこで」が五臓六腑や経絡、「どうなっているか」が不足なのか、停滞なのか、あるいは亢進なのかということになるんです。


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一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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