東洋医学講座 No.34 気の不足 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


先週のNo.33 で気の変調について、その概要をお伝えしました。今週は、気の不足による機能減退である気虚をもう少し詳しく見ていくことにしましょう。


気虚は、気の作用が低下した状態ですから、パワー不足で弱々しい感じになります。No.21 にあった気の作用、それぞれが低下するとどうなるでしょうか?


1 推動(すいどう)作用の低下


推動作用は押し動かす作用ですから、その力が出ないとなると、

① 血や津液が体内をめぐらずに停滞する

② 成長や発育が遅れる

③ 臓腑や組織の働きが鈍る


①は、汗をかきやすい、むくみやすい、痰湿やお血ができやすい、立ちくらみを起こしやすいなど。②はそのまま、その通り。③は、五臓六腑のどこで気虚が起こるかによって、症状が異なってきます。五臓六腑の機能(詳しくはこちら→No.9 No.10 No.11 No.12 No.13 No.15 )がそれぞれ違いますからね。代表的な症状をリストすると、次のようになります。


心気虚…心悸、不眠、脈が弱い、精神疲労、傾眠

脾気虚…食欲不振、おなかの膨満感、下痢しやすい、疲れやすい

肺気虚…呼吸が浅い、力のない咳・薄い痰が出る、カゼを引きやすい

腎気虚…息切れしやすい、喘息、耳鳴り、腰やひざがだるい


2 温煦(おんく)作用の低下


温煦作用は温める作用なので、それが低下すれば、当然、体温維持が十分にできなくなって、寒がりになり、手足が冷え、顔色が悪くなります。気虚が悪化して、特にこの温煦作用の低下がひどくなると、陽虚となって冷え症状が強くなるのです。


3 防御(ぼうぎょ)作用の低下


外邪の侵入を防ぐ力が低下することになりますので、外邪が侵入しやすくなります。外邪が身体に入ってしまったときは、衛気が外邪を追い出してくれるのですが、その力も出なくなるので、外邪に負けてしまうことに。


4 固摂(こせつ)作用の低下


体液が漏れ出るのを抑えられなくなります。出血しやすい、出血すると止まりにくい、汗をかきやすい、よだれや涙が出やすい、尿漏れしやすいなどが起こります。


5 気化(きか)作用の低下


体内にあるものや外から取り込んだものを別のものに変える気化作用が弱ると、食事をして栄養を入れても気血津液をつくることができないし、不要な水分を汗や尿に変えられないし、なんてことになります。気をつくれなければ、気虚は悪化。ひいては精も不足して、元気がなくなる。血をつくれなければ、栄養が身体の隅々に届かない。津液をつくれなければ、身体の水分が不足。汗をつくれなければ、体温の調節が難しくなる。尿をつくれなければ、むくむということに。


一口に気虚といっても、実はいろんなパターンがあるんです。気の持つ作用のどの部分がより強く影響されるのか、またどこでそれが起こるのか、それらによって出てくる症状が変わります。そして、症状も複合して出てきたりして。東洋医学って、基本的な考え方はシンプルなんだけど、あれこれ組み合わせて細かく分類できちゃうんです。


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今日もいい1日にしましょう。


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