東洋医学講座 No.21 気血津液 その3 気の作用 | 春月の『ちょこっと健康術』

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「東洋医学講座 No.19 気血津液 その1 気とは?」 でご紹介したように、私たちは日常の中で「気」という語をよく使います。それだけ「気」は身近なものであり、意識するしないに関わらず、私たちの生活の一部になっているんですね。


「気」は生命力の根源であり、英語でも「vital energy」と訳されることが多い。「養生」は、まさに言葉通り「生を養う」こと、すなわち生命(いのち)を支える「気」を養い、「気」を正常な状態に保つようにすること。そして、「気」の状態が乱れたときに、漢方や鍼灸、気功、あんまなどで調節するのが東洋医学ということになります。


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「気」は、宇宙を構成する基本単位です。「気」が動いて変化することで、宇宙におけるすべての事象が生み出されます。人も自然(宇宙)の一部ですから、「気」が人体をつくり、生命活動を維持しているのです。


その人体を構成している「気」の種類については、先週「東洋医学講座 No.20 気血津液 その2 気の種類」 でみていただきました。今週は、「気」の作用、人体の「気」がどのように働くかについてお話しましょう。


「気」には次のような5つの作用があります。「気」が不足して、どれか1つでもうまく作用しなくなると、体調がくるってきます。


1 推動(すいどう)作用

推進し動かす作用。身体を成長させたり、臓腑や組織を活動させたり、血や津液(水分)をめぐらせたりします。推動作用が弱ると、発育や成長が遅れる、臓腑の機能が低下する、血や津液の流れが停滞するなどが起こります。


2 温煦(おんく)作用

温める作用。体温を一定に保ちます。温煦作用が弱ると、臓腑や組織が温められず十分に機能しなくなり、冷えを感じるようになります。


3 防御(ぼうぎょ)作用

体表面を覆って、外邪の侵入を防ぎます。防御作用の弱いところから外邪が入ったときは、体表面をめぐる衛気が外邪と戦って、外へと追い出します。


4 固摂(こせつ)作用

体液が流れ出るのを抑えます。血脈が傷ついたときに血が流れ出ないようにふさいだり、尿量を調節したり、汗や涙、よだれが出過ぎないようにしたりします。


5 気化(きか)作用

飲食物から水穀の精微を取り込んだり、水穀の精微から気血津液を作ったり、気血津液を互いに転化したり、尿や汗などを作って排泄したりする作用です。


こうして見ていくと、「気」の作用ってとても幅広いですね。解剖生理学的に見直すと、ホルモンや酵素の作用だったり、免疫細胞や血小板の働きだったり、自律神経の機能だったりします。これらが不調になったとき、西洋医学ではそれぞれ個別に対応していきますが、東洋医学では「気」の調節をするというごくシンプルな表現にまとめられます。


表現はシンプルでも、「気」の調節に際して、症状はもちろんのこと、その人の体質、全身のバランス、生活習慣、生活環境、出身地などを全体的に見ますので、治療法は人ごとに異なってきます。つまり、西洋医学では同じ病名がついたとしても、治療法が異なることがあるんですね。


ですから、漢方薬の処方を西洋医学的な根拠に基づいて行うと、「なんだ、ちっとも効かないじゃないか。」なんてことが起こったりします。もちろん効果が出ることもありますけれど、それはまぐれ当たりにすぎない。やはり、きちんと東洋医学的な診断をしないといけません。診断法については、いずれお話しますね。


次回は、血と津液について。今日もいい1日になりますように。


春月の『ちょこっと健康術』-桔梗