東洋医学講座 No.19 気血津液 その1 気とは? | 春月の『ちょこっと健康術』

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東洋医学講座も佳境に入ってきました。今週からは、東洋医学の真髄ともいえる「気」についてお話ししていきますね。


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ふだん私たちがよく使う言葉にも、「気」はたくさん登場します。天気、元気、本気、短気、根気、空気、雰囲気、気が合う、気が利く、気が強い、気が遠くなる、気が抜ける、気が若い、気に入る、気のせい、気を使う、気をもむ、などなど。他にもまだありますね。


広辞苑によると、「気」とは↓下記のように説明されています。

① 天地間を満たし、宇宙を構成する基本と考えられるもの。また、その動き。

  → 天気や気象などの自然現象や二十四節気が入ります。

② 生命の原動力となる勢い。活力の源。

  → 元気、気勢、気を吐くなどが含まれます。

③ 心の動き・状態・働きを包括的に表す語。

  ・精神を表す → 気がめいる、気が狂う

  ・事に触れて働く心の端々 → 気が散る、気が多い

  ・持ち続ける精神の傾向、人柄 → 気が短い、気がいい

  ・ある事をしようとする心の動き、つもり → 気が知れない、気がない

  ・ある事をしようとしてそれに引かれる心、関心 → 気を入れる、気がある

  ・根気 → 気が尽きる

  ・あれこれと考える心 → 気をもむ、気を回す

  ・感情 → 気まずい、気を悪くする

④ はっきりとは見えなくても、その場を包み、その場に漂うと感ぜられるもの。

  ・空気、大気、気体、気圧

  ・水蒸気

  ・あたりにみなぎる感じ → 雰囲気、霊気

  ・呼吸、息づかい → 気がつまるような、酒気帯び

⑤ その物本来の性質を形作るような要素。特有の香や味。

  → 気の抜けたビール


これらの言葉に使われる「気」が示すもの、それは東洋医学で使われる「気」と同じものなんです。「東洋医学講座 No.1 からだ観」 で少しだけ書きましたが、現代中医学では、「気」を物質としてとらえる方向にあって、「気」は世界を構成する最も基本的な単位であり、人も含めて宇宙に存在するすべてのものは「気」でできていると考えます。人で言えば、生命、精神、臓腑とその働きを支えるものです。


「気」は、英語では「Qui」あるいは「Qi」と表記されます。ダイレクトに翻訳できる言葉がないんですね。ちなみにAlternative Health Dictionaryによると、「Broadly, a vital force that underlies functioning of body, mind, and spirit. The concept of this multifaceted cosmic life force is fundamental to various practices termed Chinese, including architecture, art, health practices, magic, and martial arts. According to Qigong theory, Qi encompasses air and internal Qi, or true Qi, which includes essential Qi (vital energy).」と説明されています。


「病は気から」とよく言いますが、東洋医学ではまさに「気」のせいなんですね。「気」のめぐりがよく、その陰陽バランスがとれていれば、健康な状態です。


鍼灸学校時代の同級生で友人の気功師は、「気」が見える人で、実習中よく「白くてきれいな気」とか、「黄色い気」とか言ってました。私には見えません。でも、学科長が刺した鍼の10cmくらい上で手をかざすと、ふるふると鍼が揺れるのは何度となく目撃しました。それがきっと「気」のパワーなんだろうと思っています。


よくパワースポットと呼ばれるような場所へ行くと、手のひらにピリピリチリチリするような感覚が生じます。中国の天壇公園では、手のひらどころか全身に鳥肌が立つような感じでした。日本では、長野の戸隠神社奥社の杉並木。いつまでもそこに居たいような感覚です。それは大地の「気」のエネルギーを受けてのことだと思っています。


気功術で、自分自身で行うのを内気功、人に対して行なうのを外気功と言います。外気功では、見た目では手をかざされただけなのに、身体がポ~ッと温かくなったり、皮膚が赤みを帯びたりします。そうしたことからも、「気」を科学的にとらえようとする取り組みが数々行われていますが、これという決定打はまだありませんね。


「気」をととのえる鍼灸の治効についても、様々な実験が行われ、論文も多数出ていて、部分的には証明もできていますが、全体像にはまだ遠い。ある西洋医学・中医学双方の資格を持つ医師は、「現代科学は、鍼灸治効を十分に解明できるほどには、まだ発達していないんだ」と言っています。


そんな「気」、来週は「気」の種類についてお伝えしますね。長文をお読みいただき、感謝します。


今日もいい1日になりますように。


春月の『ちょこっと健康術』-バラ