おはようございます
秋の三連休、残念ながら雨模様の関東地方です。一昨日のように晴れれば、気温も上がって心地よい温かさになりますが、雨になるととたんに冷え込みます。一昨日と昨日の温度差10℃。これが繰り返されると、気圧変化も加わって、体調にも影響しやすいので、気をつけなくちゃいけません。着るものもこまめに調節しましょうね。
さて、子どもの起こしやすい病態についての東洋医学的なみかた、夜泣き ・夜尿症 と続けてきました。火曜日の東洋医学講座で、まだ臓腑弁証のお話をしていないので、ちょっとわかりにくかったかもしれませんね。その五臓六腑の病いについて、東洋医学講座に来週から書いていきますので、もう少しお待ちくださいませ。
今日は、子どもの起こしやすい病態の第3弾、小児の泄瀉(せっしゃ)についてお届けします。泄瀉は、いわゆる下痢のことですが、1日に3回以上の排便があって、便がゆるい状態のものをいいます。急性感染症による悪心嘔吐を伴うものは、痢疾(りしつ)として、泄瀉とは区別します。
泄瀉の原因に関してはおとなも同じですが、「子供の身体を東洋医学的にみると」 にあったように、子どものからだは発達途上で未熟である分、予防と手当てがおとなに対するものよりも重要になってきます。
予防としては、原因となるものを取り除くことが第一です。日常生活で気をつけることは、「子供のための東洋医学的ケア」 を参考にしてくださいね。
風寒による泄瀉
晩秋から早春にかけての寒い時季は、自然界でも風寒の気が強くなり、油断をすると風寒邪としてからだを襲います。たとえ暑い季節でも、冷房にあたったり、肌を夜気にあててはいけません。また、生ものや冷たいものを過食すると、脾胃に寒湿が生じて、内生の寒湿邪となります。
このように、寒邪が脾胃に 直中(→No.28 )したり、寒湿邪が内生したりすると、脾胃の陽気(温める作用のある気)の働きが弱り、脾の運化・昇清機能(→No.11 )がうまく働かず、下痢を起こします。
風寒邪に襲われる原因は、
① 汗をかいたままにしておく。
② 寒いとき、あるいは夜間に、薄着のままでいる。
③ 寝ている間、風が直接肌にあたる/布団をはいでいる。
④ 生もの・冷たいものを摂り過ぎる。
⑤ 衛気(→No.20 )が弱い(免疫力が弱い)、病中・病後、虚弱体質。
特徴は、
① 水っぽく泡立ち、色が淡く、臭気の少ない便。
② 排便前におなかがゴロゴロ鳴る、絞られるような痛みの腹痛を伴う。
③ 発熱、鼻づまりまたは無色の鼻水がたれる、軽い咳などを伴うこともある。
④ 舌苔は白く、脈は浮いて緊張する。
手当ては、
① おなかと足を温める。
② 1回の食事量を減らし、間隔もあける(重症の場合は、半日ほど絶食させる)。
③ 脱水症状を起こさないように、水分補給はきちんと行う。
湿熱による泄瀉
炎天下や蒸し暑い場所で長く過すと、暑邪が湿邪を伴って襲ってきます。寒い時季でも、熱風に長時間あたってはいけません。また、脂っこいもの・甘いもの・味の濃いものを過食すると、脾胃に痰湿がたまって、やがて熱を帯び、内生の湿熱邪となります。辛いものの過食では、熱邪が内生します。
このように、暑湿邪がからだに入ったり、湿熱邪が内生したりすると、脾胃の働きを阻害して、小腸や大腸の働きを鈍らせ、下痢を起こします。
湿熱邪に襲われる原因は、
① 熱にあたり過ぎる。
② 脂っこいもの・甘いもの・味の濃いもの・辛いものを摂りすぎる。
③ 衛気(→No.20 )が弱い(免疫力が弱い)、病中・病後、虚弱体質。
特徴は、
① 緑色または黄色で、水っぽく、未消化物が混じる便。
② 肛門が熱を帯びて赤い。
③ 口の渇きを伴い、尿量が減って黄色が強くなる。
④ 発熱を伴うこともある。
⑤ 舌が紅く、舌苔は黄色く、脈は速く滑るような感じになる。
手当ては、
① 発熱がある場合は、氷嚢などで冷やす。
② 1回の食事量を減らし、間隔もあける(重症の場合は、半日ほど絶食させる)。
③ 脱水症状を起こさないように、水分補給はきちんと行う。
このほかに、傷食(食あたり)、脾虚、脾腎陽虚による泄瀉がありますが、長くなりましたので、続きは来週にしますね。
風寒邪や湿熱邪についてはこちら→東洋医学講座 No.26 No.27 No.28
これまでのマタニティ・ケアと子供のケアについてはこちら→「妊娠・産後・授乳・子どものケア 目次」
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。