おはようございます
「東洋医学講座 No.26 病気の原因 外邪 その1」 で、自然界にある六気が身体に悪さをする六淫(りくいん)に変化して、風邪・暑邪・湿邪・燥邪・寒邪・火邪になるというお話をしました。
そして、先週の「東洋医学講座 No.27 病気の原因 外邪 その2」 で、六淫のうちの風邪・暑邪・湿邪についてご説明しましたので、今週は残りの燥邪・寒邪・火邪について。
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燥邪←燥気(金)、秋に多い
乾いた風が吹いて、空気がひどく乾燥すると、燥邪となって口や鼻から入り、乾燥に弱い肺を襲います。燥邪には、初秋の夏の暑さがまだ残る頃の温燥と、晩秋から冬にかけての寒気が近づいた頃の涼燥とがあります。
① 肺を傷つけやすい。
② 津液(体内の水分)を損傷しやすい。
乾燥性の強い燥邪ですから、口や喉の渇き、鼻の乾き、皮膚や毛髪の乾燥などを引き起こします。肺にまで入り込むと、咳や痰、喘息、胸の痛みなどの症状が出てきます。
寒邪←寒気(水)、冬に多い
冬の寒さが厳しいときや、冬でなくても雨に濡れたり、汗をかいた後に冷やしたりすると、寒邪が身体に侵入します。現代では、エアコンの強い冷気も、寒邪の発生に一役買います。
① 陰が強く、陽気を傷つけて、身体を冷やす。
② 凝集性があり、気血津液の流れを停滞させ、痛みを発生させる。
③ 直接臓腑に入り込むことがある。これを直中(じきちゅう)すると言います。
寒邪は、冷えによる数々の症状を引き起こします。たとえば、悪寒、手足の冷え、顔色が悪くなる、場合によっては筋肉がつる、関節が曲がりにくいなど。また、引っ張られるような、絞られるような感じの痛みを引き起こします。寒邪で気をつけたいのは、③の直中する点です。直接脾胃に入り込むと、嘔吐や下痢を起こします。
火邪←火気(火)、暑よりももっと暑い状態
火邪は、まるで火事のように、突然燃え上がって強い熱を発生させます。また、風暑湿燥寒の五邪が長期間体内にとどまっていると、火邪に変化することがあります。
① 炎上性があり、あわただしく動いて上に向かう(これは暑邪と同じです)。
② 気と津液を傷つけやすい。
③ 動血(どうけつ)しやすく、出血を起こしやすい。
④ 腫瘍をつくりやすい。
火は熱の強い状態ですから、目の充血、顔が赤い・熱い、発汗をはじめとして、口や喉の渇き、尿量の減少、便秘、疲労倦怠感などを生じます。また、鼻血も出やすくなります。体内の同じ場所に火邪が長く留まると、筋肉や組織が変性して腫瘍になると考えられています。