東洋医学講座 No.48 五臓の変調 その4 | 春月の『ちょこっと健康術』

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五臓の変調、 に続いて、今日は肺です。五臓六腑を陰陽に分けると、五臓が陰で、六腑が陽です。五臓を陰陽に分けた場合は、肺と心は横隔膜よりも上にあって陽に分類され、横隔膜の下にある肝・脾・腎が陰となります(→No.3 )。


そして、肺はもっとも高いところにあって、外邪の影響をもっとも受けやすい立場。それだけに、体表をめぐる衛気(→No.20 )は、肺から皮毛へと送られて、外邪の侵入を防ぐ役割をにないます。もし、外邪が侵入してしまった場合は、まっさきに鼻水や咳、のどの痛みといった呼吸器系の症状が出ます。


肺が呼吸によってふくらんだりしぼんだりすると、それがポンプのように働いて、体内の気と天の清気を交換すると同時に、天の清気と脾がつくった後天の精気とから宗気をつくり、腎の納気(→No.13 )の助けを借りて全身に気をめぐらせます(→No.12 )。また肺には、津液を全身に散布する役割もある。そのため、肺の不調は、咳や喘息、息切れなどの呼吸器症状だけでなく、むくみや皮膚の乾きなど水液代謝の不調をまねきます。


では、肺気と肺陰とに分けて、肺の不調をみていきましょう。あらら、先週の脾よりも種類が減りましたね。肺は「百脈をあつめる」といいまして、百脈すなわち全身の血脈は肺に集合するため、肺で血が不足することはまずありません。また、肺は気をつかさどる臓であり、肺陽は肺気としてあつかわれます。


1 肺気の失調


肺が宣発・粛降機能(→No.12 )を失った状態と、肺気が不足した状態とに分類されます。


① 肺失宣降

風寒や風熱のような外邪(→No.26 )が入ってきたり、痰湿やお血(→No.32 )が肺で停滞したり、肝気が強くなりすぎて肺に影響をおよぼしたりすると、肺の宣発・粛降に影響があらわれます。

その結果、

1) 呼吸の状態が不安定になって、咳やくしゃみ、鼻づまりなどを生じる。

2) 水分代謝に影響すると、尿量の減少やむくみが起こる。


② 肺気虚

気の不足(→No.33 )が肺で生じたもの。肺失宣降が長期間にわたったり、脾胃が弱って気血が十分に供給されなかったり、慢性的な病いのために気を消耗したりすると、肺の陽気が衰弱します。

その結果、

1) 宗気が弱って呼吸機能が低下すると、咳・喘息・息切れなどがあらわれる。また、疲れたたときや1日の終わりに症状が悪化しやすい。

2) 衛気が弱って体表面のバリア機能が低下すると、暑くもないのに汗をかくようになり(自汗)、感冒にかかりやすくなる。

3) 水分代謝が悪くなると、痰飲やむくみを生じる。


2 肺陰の失調


肺の陰液不足、すなわち肺陰虚です。外邪、長く停滞して火熱を帯びた痰飲、肝火や心火の影響、腎陰虚の波及などによって、肺が乾燥して潤いをなくします。もともと肺は、潤を好む傾向にあり、乾燥に弱いという特徴があるだけに、わずかな熱でも陰液を損傷しやすいのです。

その結果、

1) 潤いを失って、乾いた咳、鼻の乾き、のどの乾き、かすれ声などが生じる。

2) 虚熱が内生すると、寝汗、頬の紅潮、手足のほてり、夕方や夜間の微熱などが起こる。

3) 虚熱が強くなると、粘り気のある痰に血が混じったり、喀血を起こす。


肺の変調でもっとも多く、誰もが経験するのは、風寒邪や風熱邪による肺失宣降の状態。いわゆるカゼやインフルエンザに相当します。外邪によっていくらか症状が異なってきますが、一般に悪寒、発熱、頭痛、浮いた脈、ときに頭痛や節々の痛みといった症状を伴います(→No.27 No.28 )。


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一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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