結婚したら、夫の態度が変わってしまった。
原因は、わからない。
それって、わたし（妻）が悪いの？
婚活カウンセラーが選ぶ、結婚がわかる１００冊シリーズ
４２冊目
「誰かが見ている」 宮西真冬
単行本
文庫
電子書籍
≪あらすじ≫
待望の子供を授かったはずなのに、
家庭と仕事を両立するアパレルショップ店長の結子は、
仕事を辞めるために結婚を望む保育士の春花は、
優しい夫とかわいい娘とタワマン暮らしをする専業主婦の柚季は、
千夏子は出産前から書いていたブログを再開し、
夫が変わったのは、妻が悪いから？
この物語に出てくる４人の女性たちは、みんな秘密を持っています。
千夏子の夫はいつも不機嫌で、千夏子にきつく当たります。
子供が生まれるまでは、優しかったはずなのに。
結子の夫は、結婚するまではマメでした。
なのに、結婚後はすれ違いの毎日で、結子を避けているかのよう。
しばらく物語を読み進めても、彼らが変わってしまった理由がわかりません。
配偶者のグチを言ったり、批判したりしているSNSには、それぞれの立場の意見が飛び交っています。
投稿者の肩を持てば配偶者が批判され、配偶者の味方をする人は投稿者を攻撃します。
どちらが悪いのか？
どちらが先に仕掛けたのか？
結婚後に配偶者の態度が変わり、モラハラをされたり、無関心になったりされるのはつらいものです。
「結婚前にわかっていれば、やめておいたのに」と思うでしょう。
そうならないためにも、婚活中は慎重に相手を見極めようとします。
すると相手の欠点が目についてしまいます。
ただ幸せになりたいだけなのに……。
夫婦の問題として取り組むべし
「誰かが見ている」を読むと、結婚したらこうなるのではないかと不安になってしまうかもしれません。
夫が変わったことで千夏子も結子も苦しんでいて、千夏子はパート先やママ友との関係に、結子は職場での立場や顧客との距離感に悩んでいました。
外でもしんどい、家に帰っても味方はいない。
読者としても夫の態度の理由がわからず、やきもきしていました。
だけど、彼女たちの抱える秘密が明らかになるにつれ、夫たちの態度の理由もわかってきます。
だから、ぜひ最後まで読んでください！
ネタバレしたくないので詳しくは言えませんが……
妻のせいで夫が変わってしまったとも言えるし、夫が変わったから妻の態度も変わってしまったとも言えます。
どちらか一方が悪いわけではなく、「そっちがその気ならこちらも」と応戦し、余計に関係が悪くなってしまうことってあると思うんです。
家族だからこそ。
その根底には家族だから、夫婦だからこそわかってほしいという強い希望があります。
家族だから、わかってくれないと苦しくなる。
夫婦だからわかってほしい
ばかりでなく
夫婦だから、わかってあげたい
そう思えたら、関係は変わるのだと思いました。
夫側もいろいろな思いや事情を抱えていて、それに気づかない妻から、「あなたが悪い」と言われたら夫の態度が変わるのも仕方がないですよね。
妻からすれば、「早く言ってよ！」ですけども。
自分の感情や問題を自分だけのものだと考えず、夫婦の問題として一緒に取り組む。
解決するためには、察してもらおうとするのではなく、素直に話す。
これさえできれば大丈夫だと、物語を読んで思いました。
理想の結婚相手には裏がある？
保育士の春花の恋人は、３０代のイケメンエリートサラリーマン。
この人を逃したら仕事を辞められない。
だから、結婚したい。
そんな焦りを春花は感じています。
結婚に向けて順調に進んでいたはずが、恋人には裏の顔がありました。
ある程度まで結婚の話が進んだら明らかになったわけですが、せっかく好きになったのに破局するのは悲しいし、ショックも大きいものです。
婚活を再スタートしなければならないのも、つらい。
春花がもっと早く相手の裏の顔に気づけたとしたら、
結婚になにを求めるか？
結婚後はどんな風に過ごしたいか？
という具体的な家庭像や結婚観について、お互いに正直に話すことだったかな、と。
出会いが結婚相談所なら、プロフィールに書いてあったり、お見合いの段階で話したりすることもありますが、
婚活パーティーや街コンで知り合った人に、いきなりこんなことはきけなかったりしますよね……。
お見合いでも初対面で本音を話すとは限らないし。
なので何回か会って、お互いに結婚を真剣に考えているとわかったら、腹を割って話すタイミングだと思います。
相手によって意見を変えず、自分の考えをきちんと話す。
それであまりにもマッチしないなら、別れを選ぶのもアリです。
そのまま付き合う場合は、どちらか一方ではなく、双方の歩み寄りが必須です。
なかなか本音を言えない人、相手に流されてしまいそうな人は、春花の物語を読んでみてください。
隣の芝は青い（感想）
本来は人に見せない部分を、のぞき見できるのが小説です。
千夏子がブログで発信するのは、現実ではなく虚像。
人のSNSを見ると、「いいなぁ」ってうらやましくなること、ありますよね！？
幸せそうな既婚の友達の投稿を見て、「これが幸せな結婚生活」とか、「こうでなければ幸せじゃない」と思い込んでいませんか。
婚約指輪はハイブランド、高級ホテルを予約してくれて、ホテルのレストランでプロポーズ。
わたしにこんなことをしてくれる男性っているのかな？
そんな不安が襲ってきて、婚活にもSNSにも疲れてしまうことも……。
SNSで盛ってしまうとか、人に幸せマウントをとるとか、
「こう見られたい」という発信は、
「こう見られたくない」の裏返しなんだな。
と、この物語を読んでわかりました。
幸せに見えるその人も、
本当は夫が話す時間をとってくれなくて寂しいけれど、それを人に話して同情されるのはイヤ！
という思いを抱えているかもしれません。
隣の芝は青く見えるものです。
幸せのイメージに縛られず、自分が幸せでいられる相手を探す。
「この人と幸せになりたい」と思える人ができたら、お互いが抱える気持ちや問題を、ふたりの問題として取り組む。
そんな幸せになる方法を、あらためて教えてくれる物語でした。
婚活カウンセラーが選ぶ、結婚がわかる１００冊
１．この人と結婚するかも
２．スパルタ婚活塾
３．消滅世界
４．私たちがプロポーズされないのには１０１の理由があってだな
５．夏休み
６．怒り
９．愛する人に。 △
１６．かわいい夫 ♡
３３．くらやみガールズトーク ※取扱注意
３６．オリーブの実るころ ※取扱注意
４１．水歌通信 △
♡＝幸せ・喜び
△＝ややビター
無印＝ダーク
インスタで本の紹介をしています
（ミステリー多め）
または ＠yucafeyuki で検索して下さい
マインドフルネスでストレスを軽くする方法を発信する公認心理師（心理カウンセラー）です。
婚活１０年の経験から婚活カウンセラー、マインドフルネスインストラクターとして活動しています。
婚活心理学ワークブック「ココロの婚活ノート」を制作しました。
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