レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)初のツアーとして,1968年9月7日デンマークは グラッドサクセのグラッドサクセ・ティーン・クラブを皮切りに行われた北欧ツアー,10月4日英国はニューカッスルのメイフェア・ボールルームを皮切りに行われた英国内ツアー(北欧ツアーを含め初期の幾つかの公演は ニュー・ヤードバーズ:New Yardbirds 名義)に続き,12月26日米国はコロラド州デンバーのデンバー・オーディトリウム公演を皮切りに,年を跨いで1969年2月15日フロリダ州はマイアミ・ビーチのジー・イメージ・クラブ公演まで行われた,レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)結成後初の北米ツアー.
実は,この北米ツアーは,マネージャーの ピーター・グラント(:Peter Grant)が,当時,並行してマネージメントをしていた,ジェフ・ベック(:Jeff Beck)が,ヴァニラ・ファッジ(:Vanilla Fudge)との北米ツアーに参加できなくなった関係で,代わりに レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)を送り込んだもの.
当然,メイン・アクトは,ヴァニラ・ファッジ(:Vanilla Fudge)で,オープニング・アクトと言うか前座的に出演している レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)ですが,このツアーへの参加で,1969年1月に米国で発売予定のデビュー・アルバムに 5万枚の予約が殺到すると言う,爆発的な評判を呼び,同時に人気を博しました.
本商品は,この年 3度目となり,10月17日ニューヨーク州ニューヨーク・シティはカーネギー・ホール公演を皮切りに,11月8日カリフォルニア州サンフランシスコはウィンターランド・ボールルーム公演まで行われた秋の北米ツアーから,ツアー中盤に当たる11月2日カナダはオンタリオ州トロントのオキーフ・センター公演のオーディエンス録音を収録した 『 O'keefe Centre 1969 Late Show (No Label) 』 です.
音像は若干遠目ではありますが,各パートの音も相応にバランスが良く録音された年代を考えれば高音質のオーディエンス録音と言えます.
全体的に音圧を上げた関係なのか聴き易くなっていますが,それでも箇所によっては,小音量の部分もあります.
この時期のハイライトでもあり ”Moby Dick” 後に演奏されたであろう ”How Many More Times” が未収なのが非常に残念ではありますが,ファンならば必聴の音源でしょう.
メーカー情報では
『ジェネレーションが一つ下がっただけでもアッパー感が話題となり、なおかつアイテムがすかさずリリースされるZEPレア音源界において、1990年代初頭のアイテムの価値が未だに落ちないという異例の存在であった1969年11月のトロントはオキーフ・センターのオーディエンス録音。
それが懐かしのIMMIGRANTレーベルからリリースされた「BEAST OF TORONTO」でして、数年後に同内容の「LISTEN TO MY BLUEBIRD」がリリースされたきり、21世紀を迎えても新たなアイテムやアッパー版が登場しない異例の長寿アイテムでした。
それらは69年のオーディエンス録音としてはかなり上質な部類に入る音質であったものの、パソコン上での音処理が普及する前にありがちだったイコライズが施されており、派手めな音質な上に疑似ステレオ風味な処理まで加えられていたもの。それはカセット・トレード時代の音の粗を隠蔽すべく施されたものであったことが容易に想像できる仕上がりでもあったという。
そうした独特な音質にとどまらず、本音源はピッチが少し低めという問題を抱えており、上記のアイテムにおいてはおざなりにされています。音源の状態自体はまったく同じであったものの、その狂いをアジャストしてひっそりギフト・プレスCDとしてリリースされていたGRAF ZEPPELINの「DRAW LIKE HEAVY MAGNET」はマニアの間でちゃんと評価されており、今回の音源登場時にも参考資料的にアップロードされていたのです。しかし先のイコライズが古臭い印象は否めず、それがまた大々的に販売される扱いにまで至らなかったのでは。
こうした状況が重なって1990年代アイテムの価値が一向に下がらないという異例の状況と化していたオキーフ・センターですが、昨年ウインターランド二日目の新音源を発掘して世界中のマニアをアッと言わせたThe Dogs of Doomチームが今回もやってくれました。というか同じく衝撃の発掘だったアトランタ・ポップ・フェスティバルがそうだったように、彼らは69年音源が強いみたいですね。それだけに今回のバージョンも内容面と音質面の両方で世界中のマニアを驚かせる衝撃的な発掘となっています。
まず収録時間が一気に伸びており、何とZEPの前にオープニング・アクトを務めたバンドの演奏を録音チェック的に収録(これもまたウインターランドの時と似ていますね)。ここで聞かれるエドワード・ベアというグループは地元トロントのグループで、演奏しているのは「Everyday I Have The Blues」で正調のブルースロック。何よりブルース色が強かった69年のZEPですので、彼らが始まる前の断片的な録音ながらも、これはすんなり聞けてしまうはず。
そしてZEPのパートも彼らの登場前からして俄然長く収録されている。何しろバンド登場前のアナウンスから収録されているのだから。ここでMCを務めているのはトロントでの活動が有名(オーストラリア人)なジャーナリストのリッチー・ヨーク。ZEPとの付き合いもどんどん深くなっていった彼がアナウンスという納得の場面でもある。これに続いて登場したロバートのMCがまた「BEAST OF TORONTO」など(以下、既発盤と称します)よりはるかに長く、このライブ序盤のパートだけでも驚きのアッパー感を思い知らされることでしょう。
ところがライブ終盤にも驚きの発掘が。今回のバージョンでもっとも惜しまれるのは「Moby Dick」の後に演奏されていた「How Many More Times」が未収録に終わってしまったことでしょうが、それを補って余りあるアンコールの発掘。ここで披露されているのはウインターランドの時と同じくエディ・コクランのカバー二曲。一般的には翌年のロイヤル・アルバート・ホールで知られていますが、マニアからすれば思い浮かぶのがウインターランド。それが今回の発掘によって最古のライブ演奏が刷新されました。
中でも「C'mon Everybody」はロバートが歌い出すタイミングを思いっきり間違えており、ライブ初演の可能性が濃厚な雰囲気を感じさせます。「Something Else」の方はBBCにて披露済みでしたね。
さらにもう一つのアッパー感を確信させてくれるのが音質。最初に触れたように既発盤の元になった90年代トレード音源には小細工が施されていた訳ですが、今回はそうした余計なお世話のないナチュラルで腰の据わったモノラル。おまけにジョンジーのベースを驚くほどのバランスで捉えており、その上で歪みがないとは69年のオーディエンス録音のレベルからすると、これまた驚きでしかありません。もちろんピッチは正確。
本音源はそうした演奏の音圧と比べてロバートの歌声が押され気味なのですが、それでもスクリーム絶頂期の彼の声が地鳴りのごとくオキーフ・センターに響き渡る様もまた圧巻。これも既発盤とは比べ物にならないほどの迫力です。何しろメンバー全員の力が拮抗していて、しかもハイパーな演奏が難なく繰り広げられていたという時期らしさが既発盤よりもはるかに感じられる。
それでいて一年を通してライブに明け暮れたからこその強靭な演奏ぶり。それもまたオープニングから炸裂しているのですが、中でも当時リリースされたばかりのアルバムから、という位置づけで披露される「Heartbreaker」は強烈の一言。永年のレパートリーとなった本曲、ジミーの早弾きパートも「お家芸」と化す前の自由でスピーディさがZEPのライブ音源を聞き倒してきたマニアにとっても意外なほど新鮮に映るはず。かと思えば次の「Dazed And Confused」の終盤で現れるマイナー調の展開など、全編を通して余裕に溢れた演奏を聞かせる69年後半ならではのステージを捉えた隠れた名音源がようやくアップグレード!
(リマスター・メモ)
★全体の音圧を上げたのみです。
★音質は高音を上げる余地が有りそうですが、上げるとジリジリしたヒスも一緒に上がり雰囲気が崩れるので、何もしませんでした。』
O'keefe Centre 1969 Late Show (No Label)
Live At O'Keefe Centre,Toronto,ON,Canada 02nd November 1969 [Late Show]
[UPGRADE]
Disc 1
[Edward Bear]
01. Every Day I Have The Blues
[Led Zeppelin]
02. Ritchie Yorke Intro
03. Good Times Bad Times Intro / Communication Breakdown
04. I Can't Quit You Baby
05. Heartbreaker
06. Dazed and Confused
TOTAL TIME (44:09)
Disc 2
01. MC
02. White Summer / Black Mountain Side
03. Babe I'm Gonna Leave You
04. Moby Dick
05. C'mon Everybody
06. Something Else
TOTAL TIME (46:15)
Dazed And Confused
Babe I'm Gonna Leave You
Something Else
[参考]
North American Tour 1968–1969
1968
December
26 Denver Auditorium Arena,Denver,CO,USA
27 Seattle Center Arena,Seattle,WA,USA
28 Pacific Coliseum,Vancouver,BC,Canada
29 Civic Auditorium,Portland,OR,USA
30 Kennedy Pavilion,Spokane,WA,USA
1969
January
02 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
03 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
04 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
05 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
09 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
10 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
11 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
12 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
13 Fox Theater,San Diego,CA,USA
15 Iowa Memorial Union – Ballroom,Iowa City,IA,USA
16 Baltimore Civic Center,Baltimore,MD,USA
17 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
18 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
19 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
21 Hunt Armory,Pittsburgh,PA,USA
23 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
24 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
25 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
26 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
27 Symphony Hall,Springfield,IL,USA
29 Electric Factory,Philadelphia,PA,USA
31 Fillmore East,New York City,NY,USA
February
01 Fillmore East,New York City,NY,USA
02 Rockpile,Toronto,ON,Canada
07 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
08 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
10 Elma Roane Fieldhouse,Memphis,TN,USA
14 Thee Image Club,Miami Beach,FL,USA
15 Thee Image Club,Miami Beach,FL,USA
North America Summer 1969
July
05 Atlanta International Pop Festival,Atlanta International Raceway,Hampton,GA,USA
06 Newport Jazz Festival,Festival Field,Newport,RI,USA
11 Laurel Pop Festival,Laurel Race Course,Laurel,MD,USA
12 Spectrum Pop Festival,Spectrum,Philadelphia,PA,USA
19 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
20 Musicarnival,Warrensville Heights,OH,USA
21 Schaefer Music Festival,Wollman Skating Rink,New York,NY,USA
25 Midwest Rock Festival,Wisconsin State Fair Park,West Allis,WI,USA
26 PNE Agrodome,Vancouver,BC,CANADA
27 Seattle Pop Festival,Gold Creek Park,Woodinville,WA,USA
29 Kinsmen Field House,Edmonton,AB,CANADA
30 Terrace Ballroom,Salt Lake City,UT,USA
August
01 Earl Warren Showgrounds,Santa Barbara,CA,USA
02 Albuquerque Civic Auditorium,Albuquerque,NM,USA
03 Houston Music Hall,Houston,TX,USA
04 Fair Park Coliseum,Dallas,TX,USA
06 Sacramento Memorial Auditorium,Sacramento,CA,USA
07 Ice Palace,Las Vegas,NV,USA
08 Swing Auditorium,San Bernardino,CA,USA
09 Anaheim Convention Center,Anaheim,CA,USA
10 International Sports Arena,San Diego,CA,USA
11 Ice Palace,Las Vegas,NV,USA
14 Municipal Auditorium,Austin,TX,USA
15 HemisFair Arena,San Antonio,TX,USA
16 Convention Hall,Asbury Park,NJ,USA
17 Oakdale Theatre,Wallingford,CT,USA
18 The Rockpile,Toronto,ON,CANADA
⇒ [Two Shows]
20 Aerodrome,Schenectady,NY,USA
⇒ [Two Shows]
21 Carousel Theater,Framingham,MA,USA
22 Pirates World,Dania Beach,FL,USA
23 Pirates World,Dania Beach,FL,USA
24 Jacksonville Memorial Coliseum,Jacksonville,FL,USA
27 Hampton Beach Casino Ballroom,Hampton Beach,NH,USA
⇒ [Two Shows]
29 Singer Bowl,New York,NY,USA
30 Singer Bowl,New York,NY,USA
31 Texas International Pop Festival,Dallas International Motor Speedway,Lewisville,TX,USA
North America Autumn 1969
October
17 Carnegie Hall,New York City,NY,USA
⇒ [Two Shows]
18 Detroit Olympia,Detroit,MI,USA
19 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
⇒ [Two Shows]
24 Public Hall,Cleveland,OH,USA
25 Boston Garden,Boston,MA,USA
30 Kleinhans Music Hall,Buffalo,NY,USA
31 Springfield Municipal Auditorium,Springfield,MA,USA
⇒ [Gansett Tribal Rock Festival, Two Shows]
November
01 Onondaga Veterans Auditorium,Syracuse,NY,USA
02 O'Keefe Centre,Toronto,ON,CANADA
⇒ [Two Shows]
04 Kitchener Memorial Auditorium Complex,Kitchener,ON,CANADA
05 Memorial Hall,Kansas City,MO,USA
⇒ [Two Shows]
06 Winterland Ballroom,San Francisco,CA,USA
07 Winterland Ballroom,San Francisco,CA,USA
08 Winterland Ballroom,San Francisco,CA,USA
[関連記事]
「Fillmore West 1969 Day 4 (No Label)」
「Fillmore West 1969 Day 2 (No Label)」
「San Bernardino 1969 (No Label)」
「Olympia 1969 (No Label)」
「Texas International Pop Festival 1969 : Audience Source 3 (Gift CDR)」
「Final Winterland 1969 2nd Night : Source 2 (No Label)」
「Midwest Rock Festival 1969 (No Label)」
「Atlanta Pop Festival 1969 (No Label)」
「Newport Jazz Festival (Gift CDR)」
「Soars On : Buffalo 1969 (LZSC-1030)」
「Schaefer Music Festival 1969 (Gift CDR)」
「Sixty Nine Special : Stereo Matrix Master (EVSD-1209/1210/1211)」
「Fresh Garbage : Fillmore West January 1969 (LZSC-169)」
「Boston Tea Party 1969 1st Night (No Label)」
「Gonzaga University 1968 (No Label)」
「Fillmore West 1969 Final:Audience Recording (Gift CD)」
「Denmark 15th March 1969 (No Label)」
「Stockholm 1969 (No Label)」
「Texas International Pop Festival 1969 : Audience & Soundboard Recording (Gift CDR)」
「Texas International Pop Festival 1969 : Stereo Matrix (No Label)」
「Texas International Pop Festival 1969 (No Label)」
「Fillmore East 1969 DAY 2 (Gift CDR)」
「Fillmore West 4.24.1969 (No Label)」
「Fillmore West 1969 Final:Audience Recording (No Label)」
「Fillmore West 1969 Final:Soundboard Recording (No Label)」
「Winterland Ballroom 1969 Day 2 (No Label)」
「Fillmore West 1969 Off Reels (IMP-N-040F)」
「Newport Jazz Festival (MASTER PORT-219)」
「Olympia 1969 Pre-FM Master (No Label)」
「Chatenay - Malabry 1969 (No Label)」
「Final Winterland (TCOLZ 064/065/066/067/068/069)」
「The Complete Rock Pile Tapes (TCOLZ 031/032/033/034/035)」
#2022-01-11
実は,この北米ツアーは,マネージャーの ピーター・グラント(:Peter Grant)が,当時,並行してマネージメントをしていた,ジェフ・ベック(:Jeff Beck)が,ヴァニラ・ファッジ(:Vanilla Fudge)との北米ツアーに参加できなくなった関係で,代わりに レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)を送り込んだもの.
当然,メイン・アクトは,ヴァニラ・ファッジ(:Vanilla Fudge)で,オープニング・アクトと言うか前座的に出演している レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)ですが,このツアーへの参加で,1969年1月に米国で発売予定のデビュー・アルバムに 5万枚の予約が殺到すると言う,爆発的な評判を呼び,同時に人気を博しました.
本商品は,この年 3度目となり,10月17日ニューヨーク州ニューヨーク・シティはカーネギー・ホール公演を皮切りに,11月8日カリフォルニア州サンフランシスコはウィンターランド・ボールルーム公演まで行われた秋の北米ツアーから,ツアー中盤に当たる11月2日カナダはオンタリオ州トロントのオキーフ・センター公演のオーディエンス録音を収録した 『 O'keefe Centre 1969 Late Show (No Label) 』 です.
音像は若干遠目ではありますが,各パートの音も相応にバランスが良く録音された年代を考えれば高音質のオーディエンス録音と言えます.
全体的に音圧を上げた関係なのか聴き易くなっていますが,それでも箇所によっては,小音量の部分もあります.
この時期のハイライトでもあり ”Moby Dick” 後に演奏されたであろう ”How Many More Times” が未収なのが非常に残念ではありますが,ファンならば必聴の音源でしょう.
メーカー情報では
『ジェネレーションが一つ下がっただけでもアッパー感が話題となり、なおかつアイテムがすかさずリリースされるZEPレア音源界において、1990年代初頭のアイテムの価値が未だに落ちないという異例の存在であった1969年11月のトロントはオキーフ・センターのオーディエンス録音。
それが懐かしのIMMIGRANTレーベルからリリースされた「BEAST OF TORONTO」でして、数年後に同内容の「LISTEN TO MY BLUEBIRD」がリリースされたきり、21世紀を迎えても新たなアイテムやアッパー版が登場しない異例の長寿アイテムでした。
それらは69年のオーディエンス録音としてはかなり上質な部類に入る音質であったものの、パソコン上での音処理が普及する前にありがちだったイコライズが施されており、派手めな音質な上に疑似ステレオ風味な処理まで加えられていたもの。それはカセット・トレード時代の音の粗を隠蔽すべく施されたものであったことが容易に想像できる仕上がりでもあったという。
そうした独特な音質にとどまらず、本音源はピッチが少し低めという問題を抱えており、上記のアイテムにおいてはおざなりにされています。音源の状態自体はまったく同じであったものの、その狂いをアジャストしてひっそりギフト・プレスCDとしてリリースされていたGRAF ZEPPELINの「DRAW LIKE HEAVY MAGNET」はマニアの間でちゃんと評価されており、今回の音源登場時にも参考資料的にアップロードされていたのです。しかし先のイコライズが古臭い印象は否めず、それがまた大々的に販売される扱いにまで至らなかったのでは。
こうした状況が重なって1990年代アイテムの価値が一向に下がらないという異例の状況と化していたオキーフ・センターですが、昨年ウインターランド二日目の新音源を発掘して世界中のマニアをアッと言わせたThe Dogs of Doomチームが今回もやってくれました。というか同じく衝撃の発掘だったアトランタ・ポップ・フェスティバルがそうだったように、彼らは69年音源が強いみたいですね。それだけに今回のバージョンも内容面と音質面の両方で世界中のマニアを驚かせる衝撃的な発掘となっています。
まず収録時間が一気に伸びており、何とZEPの前にオープニング・アクトを務めたバンドの演奏を録音チェック的に収録(これもまたウインターランドの時と似ていますね)。ここで聞かれるエドワード・ベアというグループは地元トロントのグループで、演奏しているのは「Everyday I Have The Blues」で正調のブルースロック。何よりブルース色が強かった69年のZEPですので、彼らが始まる前の断片的な録音ながらも、これはすんなり聞けてしまうはず。
そしてZEPのパートも彼らの登場前からして俄然長く収録されている。何しろバンド登場前のアナウンスから収録されているのだから。ここでMCを務めているのはトロントでの活動が有名(オーストラリア人)なジャーナリストのリッチー・ヨーク。ZEPとの付き合いもどんどん深くなっていった彼がアナウンスという納得の場面でもある。これに続いて登場したロバートのMCがまた「BEAST OF TORONTO」など(以下、既発盤と称します)よりはるかに長く、このライブ序盤のパートだけでも驚きのアッパー感を思い知らされることでしょう。
ところがライブ終盤にも驚きの発掘が。今回のバージョンでもっとも惜しまれるのは「Moby Dick」の後に演奏されていた「How Many More Times」が未収録に終わってしまったことでしょうが、それを補って余りあるアンコールの発掘。ここで披露されているのはウインターランドの時と同じくエディ・コクランのカバー二曲。一般的には翌年のロイヤル・アルバート・ホールで知られていますが、マニアからすれば思い浮かぶのがウインターランド。それが今回の発掘によって最古のライブ演奏が刷新されました。
中でも「C'mon Everybody」はロバートが歌い出すタイミングを思いっきり間違えており、ライブ初演の可能性が濃厚な雰囲気を感じさせます。「Something Else」の方はBBCにて披露済みでしたね。
さらにもう一つのアッパー感を確信させてくれるのが音質。最初に触れたように既発盤の元になった90年代トレード音源には小細工が施されていた訳ですが、今回はそうした余計なお世話のないナチュラルで腰の据わったモノラル。おまけにジョンジーのベースを驚くほどのバランスで捉えており、その上で歪みがないとは69年のオーディエンス録音のレベルからすると、これまた驚きでしかありません。もちろんピッチは正確。
本音源はそうした演奏の音圧と比べてロバートの歌声が押され気味なのですが、それでもスクリーム絶頂期の彼の声が地鳴りのごとくオキーフ・センターに響き渡る様もまた圧巻。これも既発盤とは比べ物にならないほどの迫力です。何しろメンバー全員の力が拮抗していて、しかもハイパーな演奏が難なく繰り広げられていたという時期らしさが既発盤よりもはるかに感じられる。
それでいて一年を通してライブに明け暮れたからこその強靭な演奏ぶり。それもまたオープニングから炸裂しているのですが、中でも当時リリースされたばかりのアルバムから、という位置づけで披露される「Heartbreaker」は強烈の一言。永年のレパートリーとなった本曲、ジミーの早弾きパートも「お家芸」と化す前の自由でスピーディさがZEPのライブ音源を聞き倒してきたマニアにとっても意外なほど新鮮に映るはず。かと思えば次の「Dazed And Confused」の終盤で現れるマイナー調の展開など、全編を通して余裕に溢れた演奏を聞かせる69年後半ならではのステージを捉えた隠れた名音源がようやくアップグレード!
(リマスター・メモ)
★全体の音圧を上げたのみです。
★音質は高音を上げる余地が有りそうですが、上げるとジリジリしたヒスも一緒に上がり雰囲気が崩れるので、何もしませんでした。』
O'keefe Centre 1969 Late Show (No Label)
Live At O'Keefe Centre,Toronto,ON,Canada 02nd November 1969 [Late Show]
[UPGRADE]
Disc 1
[Edward Bear]
01. Every Day I Have The Blues
[Led Zeppelin]
02. Ritchie Yorke Intro
03. Good Times Bad Times Intro / Communication Breakdown
04. I Can't Quit You Baby
05. Heartbreaker
06. Dazed and Confused
TOTAL TIME (44:09)
Disc 2
01. MC
02. White Summer / Black Mountain Side
03. Babe I'm Gonna Leave You
04. Moby Dick
05. C'mon Everybody
06. Something Else
TOTAL TIME (46:15)
Dazed And Confused
Babe I'm Gonna Leave You
Something Else
[参考]
North American Tour 1968–1969
1968
December
26 Denver Auditorium Arena,Denver,CO,USA
27 Seattle Center Arena,Seattle,WA,USA
28 Pacific Coliseum,Vancouver,BC,Canada
29 Civic Auditorium,Portland,OR,USA
30 Kennedy Pavilion,Spokane,WA,USA
1969
January
02 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
03 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
04 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
05 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
09 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
10 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
11 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
12 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
13 Fox Theater,San Diego,CA,USA
15 Iowa Memorial Union – Ballroom,Iowa City,IA,USA
16 Baltimore Civic Center,Baltimore,MD,USA
17 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
18 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
19 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
21 Hunt Armory,Pittsburgh,PA,USA
23 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
24 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
25 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
26 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
27 Symphony Hall,Springfield,IL,USA
29 Electric Factory,Philadelphia,PA,USA
31 Fillmore East,New York City,NY,USA
February
01 Fillmore East,New York City,NY,USA
02 Rockpile,Toronto,ON,Canada
07 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
08 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
10 Elma Roane Fieldhouse,Memphis,TN,USA
14 Thee Image Club,Miami Beach,FL,USA
15 Thee Image Club,Miami Beach,FL,USA
North America Summer 1969
July
05 Atlanta International Pop Festival,Atlanta International Raceway,Hampton,GA,USA
06 Newport Jazz Festival,Festival Field,Newport,RI,USA
11 Laurel Pop Festival,Laurel Race Course,Laurel,MD,USA
12 Spectrum Pop Festival,Spectrum,Philadelphia,PA,USA
19 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
20 Musicarnival,Warrensville Heights,OH,USA
21 Schaefer Music Festival,Wollman Skating Rink,New York,NY,USA
25 Midwest Rock Festival,Wisconsin State Fair Park,West Allis,WI,USA
26 PNE Agrodome,Vancouver,BC,CANADA
27 Seattle Pop Festival,Gold Creek Park,Woodinville,WA,USA
29 Kinsmen Field House,Edmonton,AB,CANADA
30 Terrace Ballroom,Salt Lake City,UT,USA
August
01 Earl Warren Showgrounds,Santa Barbara,CA,USA
02 Albuquerque Civic Auditorium,Albuquerque,NM,USA
03 Houston Music Hall,Houston,TX,USA
04 Fair Park Coliseum,Dallas,TX,USA
06 Sacramento Memorial Auditorium,Sacramento,CA,USA
07 Ice Palace,Las Vegas,NV,USA
08 Swing Auditorium,San Bernardino,CA,USA
09 Anaheim Convention Center,Anaheim,CA,USA
10 International Sports Arena,San Diego,CA,USA
11 Ice Palace,Las Vegas,NV,USA
14 Municipal Auditorium,Austin,TX,USA
15 HemisFair Arena,San Antonio,TX,USA
16 Convention Hall,Asbury Park,NJ,USA
17 Oakdale Theatre,Wallingford,CT,USA
18 The Rockpile,Toronto,ON,CANADA
⇒ [Two Shows]
20 Aerodrome,Schenectady,NY,USA
⇒ [Two Shows]
21 Carousel Theater,Framingham,MA,USA
22 Pirates World,Dania Beach,FL,USA
23 Pirates World,Dania Beach,FL,USA
24 Jacksonville Memorial Coliseum,Jacksonville,FL,USA
27 Hampton Beach Casino Ballroom,Hampton Beach,NH,USA
⇒ [Two Shows]
29 Singer Bowl,New York,NY,USA
30 Singer Bowl,New York,NY,USA
31 Texas International Pop Festival,Dallas International Motor Speedway,Lewisville,TX,USA
North America Autumn 1969
October
17 Carnegie Hall,New York City,NY,USA
⇒ [Two Shows]
18 Detroit Olympia,Detroit,MI,USA
19 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
⇒ [Two Shows]
24 Public Hall,Cleveland,OH,USA
25 Boston Garden,Boston,MA,USA
30 Kleinhans Music Hall,Buffalo,NY,USA
31 Springfield Municipal Auditorium,Springfield,MA,USA
⇒ [Gansett Tribal Rock Festival, Two Shows]
November
01 Onondaga Veterans Auditorium,Syracuse,NY,USA
02 O'Keefe Centre,Toronto,ON,CANADA
⇒ [Two Shows]
04 Kitchener Memorial Auditorium Complex,Kitchener,ON,CANADA
05 Memorial Hall,Kansas City,MO,USA
⇒ [Two Shows]
06 Winterland Ballroom,San Francisco,CA,USA
07 Winterland Ballroom,San Francisco,CA,USA
08 Winterland Ballroom,San Francisco,CA,USA
[関連記事]
「Fillmore West 1969 Day 4 (No Label)」
「Fillmore West 1969 Day 2 (No Label)」
「San Bernardino 1969 (No Label)」
「Olympia 1969 (No Label)」
「Texas International Pop Festival 1969 : Audience Source 3 (Gift CDR)」
「Final Winterland 1969 2nd Night : Source 2 (No Label)」
「Midwest Rock Festival 1969 (No Label)」
「Atlanta Pop Festival 1969 (No Label)」
「Newport Jazz Festival (Gift CDR)」
「Soars On : Buffalo 1969 (LZSC-1030)」
「Schaefer Music Festival 1969 (Gift CDR)」
「Sixty Nine Special : Stereo Matrix Master (EVSD-1209/1210/1211)」
「Fresh Garbage : Fillmore West January 1969 (LZSC-169)」
「Boston Tea Party 1969 1st Night (No Label)」
「Gonzaga University 1968 (No Label)」
「Fillmore West 1969 Final:Audience Recording (Gift CD)」
「Denmark 15th March 1969 (No Label)」
「Stockholm 1969 (No Label)」
「Texas International Pop Festival 1969 : Audience & Soundboard Recording (Gift CDR)」
「Texas International Pop Festival 1969 : Stereo Matrix (No Label)」
「Texas International Pop Festival 1969 (No Label)」
「Fillmore East 1969 DAY 2 (Gift CDR)」
「Fillmore West 4.24.1969 (No Label)」
「Fillmore West 1969 Final:Audience Recording (No Label)」
「Fillmore West 1969 Final:Soundboard Recording (No Label)」
「Winterland Ballroom 1969 Day 2 (No Label)」
「Fillmore West 1969 Off Reels (IMP-N-040F)」
「Newport Jazz Festival (MASTER PORT-219)」
「Olympia 1969 Pre-FM Master (No Label)」
「Chatenay - Malabry 1969 (No Label)」
「Final Winterland (TCOLZ 064/065/066/067/068/069)」
「The Complete Rock Pile Tapes (TCOLZ 031/032/033/034/035)」
#2022-01-11