レッド・ツェッペリンの久々の発掘音源です.1969年12月6日フランスはパリ郊外,シャトネ・マラブリーにて開催されたポップ・アート・フェスティバル「ピストン 70 (Piston 70)」に出演した際のもので,1969年の最終公演となります.今まで本フェスティバル出演の真偽さえ問われていた公演です.
 このフェスティバルは,フランスの先鋭ジャズ・レーベル「Actuel」などのバックアップもあり,フルムーン・アンサンプルら,当時の気鋭ジャズ・バンド,そしてロックおよびR&Bパートで,英国からはプリティ・シングスと共にレッド・ツェッペリンが参加しました.
 そしてその公演を収録した個人マスターからカセットに落としたものが,今頃デジタル化してネットに上がるんですねぇ.驚きです.

 音質的には年代を考えるとかなり高音質の部類に入ると思います.録音された音像から推測するに,割りと小さい箱での演奏だったのでしょう.音がクリアで臨場感があります.ただ所々歪があるのは致し方ないと思います.

 セットリストはこの時期の定番で,オープニングも "Good Times Bad Times" イントロから "Communication Breakdown" に雪崩れ込む,この時期特有のもので,"Communication Breakdown" 終了後,間髪入れずに "I Can't Quit You Baby" を演奏します."I Can't Quit You Baby" でのロバート・プラントのボーカルも圧巻で,ジミー・ペイジのギター・ソロ終了後に "Jimmy Page Lead Guitar" と紹介します.「新しいアルバム,レッドツェッペリンⅡからの曲で」と紹介される "Heartbreaker" は,演奏開始時のギターが格好良いですが,後半はジミー・ペイジのギターが微妙になります.でもそんな中でも突き進んでしまうのが,レッド・ツェッペリンです.(笑)
 続く "Dazed And Confused" ですが,ギターの調子が悪かったのか,機器が不調だったのか,ジョン・ポール・ジョーンズのベースに合わせてハーモニックス音を出す,導入部の入りが遅い状況です.バイオリンの弓を使用するパートも往年のようにエコーがあまりかかっておらず,ある意味新鮮で,後半のギター・ソロからたたみかけるように,テーマに戻る部分は流石です. 
 ロバート・プラントがハープを披露する,"You Shook Me" では,ジョン・ポール・ジョーンズのベースがかなりONに聴こえ,迫力のある音で,特に後半はより大きく聴こえます.
 ジミー・ペイジがほんの一瞬ですが ジェフ・ベック・グループの "Rice Pudding" のリフを弾いた後,チューニングを行って,ジョン・ボーナムのドラムから演奏が開始される15分におよぶ "Moby Dick" での,ドラム・ソロも凄いパワーで圧巻です.
 そして最後は,公演のハイライトとも言うべき,導入部にメンバー紹介を伴った "How Many More Times"ですが,これがまた格好良い."How Many More Times" はメドレーで,9分26秒からは "Whole Lotta Love" のリフをはさみ,12分20秒辺りから,本格的に "Whole Lotta Love" を演奏し,続けて13分58秒から再度 "Good Times Bad Times" のリフが現れ,全体を通して "Steal Away" "The Hunter" "Whole Lotta Love" "Good Times Bad Times" "Boogie Chillun" を含みメドレー形式で22分演奏されます.


メーカー情報では
 『これは凄い!もう既にファンの間で話題となっているZEP1969年12月6日にパリ近郊で行われたロック・フェスティバルに出演した時のステージを収録。これが69年のZEPにとって最後のライブ・ステージとなった公演でしたが、当初は出演の真偽が疑われており、当然音源の存在も確認されていなかった ものです。ところがオフィシャル・サイトにこの日の写真が掲載されるようになって実際にライブが行われていたことが確認された中、今になって突如音源が登 場して世界中のファンをアッと言わせました。しかもこの音源、初登場の超貴重かつ歴史的な発掘となったのはもちろんですが、音質がまた非常に良好なので す。モノラルながら奥行きがあって文句なしにクリアー。しかも周りで騒ぐような観客もおらず、その聴きやすさにも言葉を失うこと間違いなしなのです。
 今回のリリースに当たっては敢えてリマスターしたバージョンとイコライズなしの原音バージョンをカップリングしたセットとなります。何故このような形と 取ったのかと申しますと、確かにそのままでも十分にエクセレント・レベルな音質ではありますが、奥行きがある半面、演奏が団子状に聴こえてしまう感が否め ないのです。そこで今回のリマスターに際し、各楽器やボーカルの分離を重点に置いた処理を施しました。その成果は一聴して解るほどで、実にすっきりとした 抜けのよさが大幅に増した中、各メンバーの音が自然に浮き上がってくる仕上がりは自信を持って楽しんでいただけるかと思います。もちろん過剰な処理などは 避けており、あくまでも自然な質感を保った中での処理ですので、いわゆる「イコライズ感」に構えることなく、全体を通して聴き通せる仕上がりでもありま す。間違いなく、これが元の状態では?と思われるほど自然でクリアーな仕上がりを実現しました。ZEPのライブと言えばジョンジーのベースのグルーブ感が 聴こえると聴こえないで大きな違いがありますが、元々この時期のオーディエンス録音としては異例と言えるほど彼のベースラインを捉えた状態をさらに浮き立 たせて見せた点はこのリマスター最大の成果だと思います。もちろん、原音のアナログ感全開でウォーミーな状態もまた素晴らしいもの。どちらの状態にもそれ ぞれのよさがあり、敢えてこのようなカップリングでリリースしたことを理解していただけるものだと自負しています。
 演奏内容の方は文句の付けようがないほど素晴らしいもの。元々1969年のZEPは一年を通してステージ上で型にとらわれないインプロヴィゼーションの 試みに試行錯誤する創造的なものでしたが、この日の演奏はその集大成と言える素晴らしい演奏が続出。秋からのオープニング・パターンとなったGood Times Bad TimesイントロからのCommunication Breakdownという展開の中でも、他の日以上のハイ・ボルテージなプラントのスクリームが炸裂。この瞬間だけでもこの日のZEPが絶好調であるかを 実感することでしょう。そこから畳みかけるような演奏が続出する様は鳥肌モノですが、中でも当時リリースされたばかりのニュー・アルバムからの Heartbreakerではいかにも新曲らしく、ペイジがもったいぶりながらイントロを弾き始めます。しかも彼のギター・ソロから再びバンドが戻った 際、ペイジのギターのチューニングが狂っているように聴こえるのですが、これは例のソロを弾いている最中に弦が切れてしまったのでしょう。そういった生々 しさもしっかりと捉えられています。
 69年のDazed And Confusedと言えばサイケデリックな雰囲気を残した演奏のイメージが強いですが、ここでは中間でペイジがハードなリフを弾く展開が面白く、ファース ト・アルバムからセカンド・アルバムのサウンドの変化を現わした展開と言えるでしょう。そのニュー・アルバムからのMoby Dickですが、この時期はまだボンゾがPat’s Delight時代からのドラムソロのパターンを引きずったような手探り感が伝わってくるもの。しかもこの曲のイントロを弾く前ではペイジが一瞬ですが ジェフ・ベック・グループRice Puddingのリフを弾いており、当時から彼のお気に入りのリフであったことが伺えます。
そしてこの演奏における最大の目玉がHow Many More Timesのメドレー。69年を通してフィナーレとして演奏されたこのナンバーですが、最初の10分はこの年の典型的な展開で進みます。ところがThe Hunterパートに行くかと思いきや、そこで何とWhole Lotta Loveに切り替わる、文字通りサプライズな展開。既にこのライブの時点でセカンド・アルバムとそこからのシングルとなった同曲短縮バージョンの大ヒット は決定的なものとなっていましたが、フランスの観客にはまだなじみが薄いようです。そんな中でバンドがこの曲をスタジオ・バージョンに忠実な形で演奏して いる点がまた貴重。まだテンポも上がっておらず、何よりもペイジのプレイは正にスタジオ・バージョンを踏襲した丁寧なもの。春から散発的に演奏していたこ の曲の69年完成版と呼べる演奏でしょう。ところがこの曲の前半部分を演奏したところからペイジは意外にもGood Times Bad Timesのリフへと移行。ここからZEPお得意のインプロ展開となりますが、基本的にペイジが主導権を握る中でHidawayやBoogie Chillenといったブルース・ナンバーへのメドレーが繰り広げられました。しかし最後はプラントのシャウトからHow Many More Times本体に戻って幕を閉じるという、これまた69年のZEPらしいスリリングな展開で演奏が終わりました。このように初期ZEPライブでは久々の発 掘、それでいて演奏内容、音質どちらも驚きの充実度を誇る新音源を丁寧に磨きあげたリマスター・バージョンと、元の状態を尊重したバージョンの両方で収 録。この超貴重で衝撃の音源が限定のプレスCDにてリリース決定です。69年ZEPの自由でワイルドな躍動感をどうか心ゆくまでお楽しみください!』
との事.

 そして,この音源の発掘は色々なレーベルからの商品のリリースを誘発しました.各レーベルで,そのレーベル特有のトリートメントを行っての発売です.
 これだけあると正直どれを選択するかは悩みますねぇ.(笑)

 ちなみにレーベル間では色々言われているようです.例えば「既発他社製では派手目でレベルオーバーによる歪みの目立つタイトル」,「音質が信じられないほどに劣化したタイトル」,「若干EQで深みがなくなり線の細くなったタイトル」,その他「お馴染みの某論外盤(音源は本来Monoなのに音が左寄りの極悪盤)」と物議を醸す内容ですが,各コメントとレーベル名はご想像にお任せします.(爆)


Chatenay - Malabry 1969 (No Label)
 $cinnamon の裏音楽、そしてときどき競馬予想-Led Zepplin Chatenay - Malabry 1969
 Live At L'Ecole Centrale, Chatenay-Malabry,
      Paris,FRANCE 06th December 1969

[Remaster]
 Disc 1 
  1. Good Times Bad Times
  2. Communication Breakdown
  3. I Can't Quit You Baby
  4. Heartbreaker
  5. Dazed And Confused
  6. White Summer - Black Mountain Side
  Total Time (52:50)

 Disc 2
  1. You Shook Me
  2. Moby Dick
  3. How Many More Times
  Total Time (51:39)

[Original Master]
 Disc 3
  1. Good Times Bad Times
  2. Communication Breakdown
  3. I Can't Quit You Baby
  4. Heartbreaker
  5. Dazed And Confused
  6. White Summer - Black Mountain Side
  Total Time (52:50)

 Disc 4
  1. You Shook Me
  2. Moby Dick
  3. How Many More Times
  Total Time (51:39)

 Communication Breakdown
 
 Heartbreaker
 
 Dazed And Confused
 
 How Many More Times
 



[参考]
 他レーベルからの発売物
 Graf Zeppelin
      / LZ Au Gala De L'Ecole A Great Discovery (LZSC-015)

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 Akashic Records
      / No Cancellation (AKA-35)

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 Tarantura
      / Seconds After Catching Fire (TCD-127)

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 Empress Valley Supreme Disk
      / Les Randez-Vous de Paris (EVSD 376/377)

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 Wendy
      / Centralien (WECD 212/213)

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 当日の写真等 [ネット上から拝借]
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