1968年12月~1969年2月に行われた北米ツアーを含め,この年 3度目となる レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の夏の北米ツアーは,伝説のウッドストック・フェスティヴァル(Woodstock Music And Art Festival)の約 1ヵ月前に当たる 1969年7月5日ジョージア州ハンプトンはアトランタ・インターナショナル・レースウェイで開催された アトランタ・インターナショナル・ポップ・フェスティヴァルAtlanta International Pop Festival)への出演で幕を開け,8月31日テキサス州ルイスビルはダラス・インターナショナル・モーター・スピードウェイで行われた テキサス・インターナショナル・ポップ・フェスティヴァルTexas International Pop Festival)への出演で幕を閉じますが,特に 7月は,色々なフェスティヴァルへの出演が目立ちます.

 本商品は,上述の夏の北米ツアーから,ツアー中盤に当たる 8月8日カリフォルニア州サンバーナーディーノはスイング・オーディトリウム公演のオーディエンス録音を収録した 『 San Bernardino 1969 (No Label) 』 です.
 私的にこの日の音源を聴くのは初めてなのですが,メーカー情報にも記載されているように,元々,余り商品化はされていないようで,有名どころでは,2006年に Rubber Dubberレーベルから 『 Summer Of '69 (RD-001) 』,2017年3月に Tranturaレーベルから 『 Get High! Be Free! (TCD-129) 』(3種類のジャケで TCD-129 A/B/C が存在)がリリースされている程度でしょうか.
 
 それにしても,最近,色々なアーティストの新音源や既発音源のアッパー版の発掘が目立ちますが,コロナ禍で自宅にいる機会が増加するのと関係しているでしょうか.

 録音位置の関係なのか,正直,ジミー・ペイジ(Jimmy Page)のギターの音が大きく,音に歪みもあり,殆どギターの音しか聴こえない部分も多い,オーディエンス録音なので,初心者には正直中々厳しい商品かも知れませんが,何と言っても ”I Gotta Move”(クレジット上は ”You Gotta Move”)を演奏している点がレアではあります.

 メーカー情報では
 『ZEP1969年のサンバーナーディーノと言えば「ああジミーのギターが爆音の音源ね」とマニアが思い浮かべる日。確かに本音源が捉えたジミーのギターの音量は飽和状態で、オープニングの「The Train Kept A Rollin'」に至っては完全に飽和状態。そうしたイメージからマニア向けな69年ライブ音源という印象が強かったのではないでしょうか。それを裏付けるように本音源のアイテムというのは多くなく、挙句の果てにはEmpress Valleyレーベルがリリースした1969年セントラルパークのおまけ扱として出されたことまであったという曰くつきの音源。
 確かにジミーのギターが歪んだ爆音で鳴り響く印象の強い音源ではあるのですが、そのいびつさを増幅させていたのがカセット・トレードによるジェネ落ちという問題でしょう。この音源に限らずカセット・トレードはダビングが繰り返されることで音が荒んでしまうという現象がどうしても起きてしまう。それが69年のサンバーナーディーノのような音源になると、完全に凶と出てしまうのではないかと。

 あらゆる意味で見過ごされがちな69年ライブ音源の一つだったのですが、今月に入って突如69年のサンバーナーディーノのロージェネ・バージョンがネット上に現れました。それをアップロードしてくれたのはトレーダー界ではおなじみKrw_co。これまでも数々のビンテージ音源を公開してくれた彼です。今年は69年夏のアメリカ・ツアーからの発掘が多いのですが、今回のサンバーナーディーノもこの流れに乗ってアッパー版が登場してくれるとは嬉しい驚き。
 さすがにこれまで出回ってきたジェネ落ちバージョンと比べて歴然とした鮮度の良さが際立っており、おかげでジミーのギターが飽和した状態なりにちゃんと聞きこめる状態へと進化してくれたことは特筆すべき点でしょう。こうした状態ですので、下手にイコライズなど加えると聞けたものではなく(これがまた過去にアイテムの少ない理由でもある)、むしろナチュラルな質感も保たれるべき音源の典型。それが今回のファースト・ジェネレーション・コピーという恩恵を受けて鮮度がはっきりと向上してくれたのです。当然カット個所も既発と比べて最小限。

 こうしてバージョンアップを遂げた新たなバージョンで69年サンバーナーディーノを聞いてみると本当に面白いですね。オーディエンス録音でジミーが鳴らない箇所ではしっかり歓声も聞こえるというのに、彼が弾き始めると途端にギターの音に支配されてしまう。いったいどのようなポジションから録音したのでしょうか?
幸いなことに69年夏のZEPのライブ構成のおかげで本音源もライブ全編がジミーのギターで覆われることはなく、緩急のある演奏になるとロバート以下、他の三人の音もちゃんと聞こえます。それ以上に幸いだったのが「I Can't Quit You」でジミーが愛機レスポールの弦を切ってしまい、場つなぎとして機転を利かせたブルースカバー「You Gotta Move」が3月のストックホルムのラジオ放送(その時もジミーが弦を切った)以来の登場を果たしてくれたこと。
ここではエンディングまで完全に三人で演奏されたことから、ジミーの音が大きい他の曲と違ってこの日のバンドの演奏というのを短い間ながらも楽しめるのがありがたい。それに場つなぎとは思えないほどカッコイイ演奏でもあり、さすがは69年のZEPならではと思い知らされる場面でもある。
この録音バランスでジミー独演の「White Summer」を聞かされるのはキツイかもと思っていたところ、ここでリールの掛け替えに当たったようで彼が弾き始めたところでカットとなってしまいます。皮肉にも災い転じて…といったところか。

演奏がさまざまな方向に展開することが功を奏し「How Many More Times」でもジミーが弾くのを止めると、そこでは意外な曲をロバートが歌い始めていて面白い。彼はこの日チャック・ベリーを歌いたい気分だったようで「Schooldays」と「Hail Hail Rock 'N' Roll」の一節を持ち出しているのがレア。また8月上旬はボンゾのステージセットにバス・ドラムを導入していた貴重な時期だったのですが、この曲のエンディングでは確かにツーバスを活かしたキックが聞かれるのも貴重。
そしてこの日のライブはジェルロ・タルとのダブルビルだったのですが、同じテーパーが残した二曲の演奏をボーナスとして収録。彼らの演奏まで含まれていることもロージェネ・バージョンの証と呼べるのでは。
今回のリリースに際し音質に関しては先の理由から一切の手を加えていませんが、徐々に狂ってゆくピッチに関しては緻密にアジャストしており、この部分だけでも既発より格段に聞きやすくなっています。それでいて音質自体もしっかりと向上。爆音ジミーで知られた69年オーディエンスを聞きこむハードルが遂に下がりました!

★驚きの聴きやすさ。素晴らしいアッパー盤です。』

San Bernardino 1969 (No Label)
 
 Live At Swing Auditorium,San Bernardino,CA,USA 08th August 1969
 [UPGRADE]

   1. Intro
   2. The Train Kept A Rollin' 
   3. I Can't Quit You
   4. You Gotta Move
   5. Dazed And Confused
   6. White Summer/Black Mountain Side
   7. You Shook Me
   8. How Many More Times
      incl.
       - The Lemon Song
       - Schooldays
       - Hideaway
       - Hail Hail Rock 'n Roll
     [Bonus Track]
     [Jethro Tull]
   9. Intro
   10. Fat Man
   11. Dharma for One 
   TOTAL TIME (66:02)

 The Train Kept A Rollin'
 
 White Summer / Black Mountain Side
 
 How Many More Times
 
 Dharma for One
 

[参考]
 Summer Of '69 (RD-001)
 
 Get High! Be Free! (TCD-129 A)
 
 Get High! Be Free! (TCD-129 B)
 
 Get High! Be Free! (TCD-129 C)
 

North America Summer 1969
 July
  05 Atlanta International Pop Festival,Atlanta International Raceway,Hampton,GA,USA
  06 Newport Jazz Festival,Festival Field,Newport,RI,USA
  11 Laurel Pop Festival,Laurel Race Course,Laurel,MD,USA
  12 Spectrum Pop Festival,Spectrum,Philadelphia,PA,USA
  19 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
  20 Musicarnival,Warrensville Heights,OH,USA
  21 Schaefer Music Festival,Wollman Skating Rink,New York,NY,USA
  25 Midwest Rock Festival,Wisconsin State Fair Park,West Allis,WI,USA
  26 PNE Agrodome,Vancouver,BC,CANADA
  27 Seattle Pop Festival,Gold Creek Park,Woodinville,WA,USA
  29 Kinsmen Field House,Edmonton,AB,CANADA
  30 Terrace Ballroom,Salt Lake City,UT,USA
 
 August
  01 Earl Warren Showgrounds,Santa Barbara,CA,USA
  02 Albuquerque Civic Auditorium,Albuquerque,NM,USA
  03 Houston Music Hall,Houston,TX,USA
  04 Fair Park Coliseum,Dallas,TX,USA
  06 Sacramento Memorial Auditorium,Sacramento,CA,USA
  07 Ice Palace,Las Vegas,NV,USA
  08 Swing Auditorium,San Bernardino,CA,USA
  09 Anaheim Convention Center,Anaheim,CA,USA
  10 International Sports Arena,San Diego,CA,USA
  11 Ice Palace,Las Vegas,NV,USA
  14 Municipal Auditorium,Austin,TX,USA
  15 HemisFair Arena,San Antonio,TX,USA
  16 Convention Hall,Asbury Park,NJ,USA
  17 Oakdale Theatre,Wallingford,CT,USA
  18 The Rockpile,Toronto,ON,CANADA
      ⇒ [2 Show]
  20 Aerodrome,Schenectady,NY,USA
      ⇒ [2 Show]
  21 Carousel Theater,Framingham,MA,USA
  22 Pirates World,Dania Beach,FL,USA
  23 Pirates World,Dania Beach,FL,USA
  24 Jacksonville Memorial Coliseum,Jacksonville,FL,USA
  27 Hampton Beach Casino Ballroom,Hampton Beach,NH,USA
      ⇒ [2 Show]
  29 Singer Bowl,New York,NY,USA
  30 Singer Bowl,New York,NY,USA
  31 Texas International Pop Festival,Dallas International Motor Speedway,Lewisville,TX,USA
  
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