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~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

最近リリースされた新譜から ㉘

レオンスカヤの新譜が出ていましたので、聴いてみました。よくカプリングされる二つの名曲のセットなのですが、このブログを始めてから、意外にシューマンを1回聴いただけでした。しばらく聴いていなかったということになります。久しぶりの鑑賞楽しみです。

【CDについて】

作曲:シューマン

曲名:ピアノ協奏曲イ短調 op54 (32:58)

作曲:グリーグ

曲名:ピアノ協奏曲イ短調 op16 (31:38)

演奏:レオンスカヤ(p) M.ザンデルリング指揮 ルツェルン交響楽団

録音:2023年3月27-29日 ルツェルン KKL

CD:5054197837838 (レーベル:Warner Classics)

 

【曲について】

グリーグのピアノ協奏曲は、1868年、作曲者が25歳のときの作品で、グリーグを代表する傑作となりました。グリーグは2曲目にも取り組みましたが完成されず、この曲を何度も改訂したとのことです。最終版は最晩年の1907年のもので、これが現行版となっているものになります。シューマンのピアノ協奏曲と似ていると言われますが、実際グリーグは、ライプツィヒに留学していた頃、にクララ・シューマンの演奏でこの曲を聴いていて、大きく影響を受けたと言われています。

 

【演奏について】

新譜のCDを聴くときは、ワクワクしますね。特に有名演奏家だと尚更です。まずは、開封の儀式から…。なんて、特別なことをやる訳ではないですが、最近はCDによってはなかなか外装の袋を開くことができない、というか開くための糸口が設置されていないのもよくあります。このCDはすんなり開きました。さすがビックネームのレーベルです。さて、そんなことはいいとして、聴いてみます。

 

まず、シューマン…。これはテンポが遅いです。レオンスカヤは美しい音で、たっぷり時間をかけて演奏している感じです。すごく表情をつけてとかいう感じではないと思うのですが、音楽を十分な時間をかけて、丁寧に大きく表現している感じでしょうか。ニュアンスはむしろオーケストラについていると感じるくらいでした。奏でられる音楽はとてもロマンティックで、シューマンのこの曲が凄く恰幅のいい堂々とした曲に聴こえます。最後まで聴き終わって、この巨大さは、たとえは変ですが、ベートーヴェンを聴き終わった感じといいますか…。

 

グリーグも同じようなテンポでした。これもこの曲をとても雄大に見せるのですが、このコンパクトで美しい曲が、こういった形で表現されると、何かショパンやチャイコフスキーのような濃厚なロマンティックな曲のイメージに聴こえてきました。シューマンがベートーヴェンに聴こえ、グリーグがショパンに聴こえるというのも、この2つの曲のルーツのようなものも感じて、勝手に喜んでいました(笑)。ちょっとおかしな感想になってしまいまってお恥ずかしい限りですが、ピアノの音が大変美しく、また堂々とした演奏であったと思います。

 

【録音について】

音は美しく、大きな音量で捉えられていて、演奏そのものがよく捉えられていると思います。

 

【まとめ】

リヒテルに師事し、時代を乗り越えてきたレオンスカヤですが、風格のある演奏でした。アルゲリッチの4つ下で、ポリーニの3つ下。ピリスの1つ下。同世代の名演奏家の一人ですね。これからも新しい録音を期待したいです。

 

購入:2024/01/14、鑑賞:2024/01/23

【CDについて】

作曲:ブクステフーデ

曲名:カンタータ「我らがイエスの四肢」BuxWV75 (60:22)

演奏:トン・コープマン指揮
   シュリック(s)、フリンマー(s)、チャンス(a)、プレガルディエン(t)、コーイ(bs)

   アムステルダム・バロック管弦楽団、ハノーファー少年合唱団
録音:1987年1-2月 マンデルスロー Kitche St. Osdag

CD:0630-17760-2(レーベル:ERATO)

 

【作曲家について】

ブクステフーデは、17世紀の中盤に活躍した作曲家で、当時のデンマーク領(現在はスウェーデン)のヘルシンポリに生まれ、主要な生涯をリューベックの聖母マリア教会のオルガニストとして過ごしました。J.S.バッハの前の世代として、教会カンタータの発展に貢献、またオルガンの巨匠でもあり、オルガン曲も多くの作品を残しています。今回は、そんなブクステフーデの規模の大きいカンタータです。

 

【曲と演奏について】

ブクステフーデは、デンマークから北部ドイツで活動した音楽家で、そのエリアから出ることはありませんでしたが、各地の音楽との交流は保っていたようです。曲は7つのパートから構成され、それぞれのパートは、曲ごとに部分的に違いはあるものの、ほぼ同一の様式で統一されています。それは、①器楽による序奏、②声楽コンチェルト、③アリア1、④アリア2、⑤アリア3、⑥声楽コンチェルトの順に奏されます。器楽は、ヴァイオリン2本またはヴィオラ・コンソートというシンプルなもので、これにコントラバス、テオルボ、オルガンによる通奏低音が加わります。声楽はS,S,A,T,Bのソロと合唱となっています。

 

全曲を構成する7つのカンタータは、十字架にはり付けられたイエスの体の一部、足、膝、手、脇腹、胸、心臓、顔に対応しています。歌詞はそれぞれ、聖書の言葉などから参照されているものです。
 

ブクステフーデと言えば、CDで聴いたことは無かったのですが、朝方のNHK-FMの放送の宗教音楽やバロック音楽の時間帯に時々聴いていたので、記憶の隅に残っています。もっぱらオルガン曲のイメージでしたが…。今回はこういった曲ですので、まず「理解」するのに手間取りましたが、まず聴いてみましょう。歌詞内容は、言葉を追う事は無理なので、ざっと訳語を読んでおきます。いずれも磔にされたイエスに対する祈りの言葉です。

 

前奏は通奏低音とヴァイオリンの意外と明るい音色で始まりました。曲調は哀感の漂うものですが、歌も含めて、優しく包み込むようで、とても身近な感じがする響きです。天国的な合唱とでも言いましょうか、器楽が小編成で、音も美しくクリアですね。そして、ちょっと物悲しく、かつシンプルで優しい音楽が続いていきます。そんな暖かく柔らかな雰囲気に包まれるので、ずっとそこにいられる感じがします。そして、事実最後までその雰囲気が続いていくのでした。

 

【録音について】

とても美しく澄んだ、暖かい感じのする音色を、存分に楽しめる録音です。

 

【まとめ】

今回は、バッハよりも前の時代の音楽を聴いてみました。いろいろな音楽の発展過程を勉強すると、またいろいろな楽しみがあると思いますが、今回はまず曲に親しんでみたという感じです。この時代の音楽も、折に触れて聴いてみると、また世界が広がるかも、と思いました。

 

購入:2024/01/15、鑑賞:2024/01/16

 

バロックの宗教曲の過去記事は、現状一つしかなかったと思います。

 

 

2月はベートーヴェンの弦楽四重奏曲 ①

2月は寒いですね。そこで、弦楽合奏でも聴いて温まりましょう…。ということで、しばらく聴いてなかったなと思って、ベートーヴェンの弦楽四重奏を聴くことにしたいと思いました。このブログでも1曲だけ登場しただけです。それもシューベルトとセットで。久しぶりなので、ほとんど曲を忘れていますね(笑)。その昔買った未聴CDの消化でもあります…。

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ⑳

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調 op131 (39:40)

   弦楽四重奏曲ヘ長調 Hess34 (13:15)

演奏:スメタナ四重奏団

録音:1984年7月18-25日①、1985年6月13-20日②

   プラハ 芸術家の家、ドヴォルザークホール

CD:COCO-85094(レーベル:DENON、発売:日本コロムビア)

 

【曲に関して】

ベートーヴェンは最晩年に大フーガを含む6曲の弦楽四重奏曲を作曲しました。このうち、第12番、第13番、第15番は、ロシアの貴族であるニコライ・ガリツィンの委嘱によるもので、これは前作のセリオーソから14年の歳月を経て作曲されています。その後、自らの欲求によって書かれた弦楽四重奏曲がこの第14番と、生涯最後の作品となった第16番になります。この2曲はベートーヴェンの創作の到達点ともいえるものとなりました。

 

【演奏についての感想】

弦楽四重奏曲第14番に親しんだのは、バーンスタインとウィーンpoによる弦楽合奏版だったかもしれません。比較的聴きやすい弦楽合奏での体験は、新たな世界を垣間見る、非常にいい体験だったと思います。この曲はそもそも7楽章構成という、なかなか敷居の高いものです。しかしながら、第一楽章のフーガと、第二楽章のロンドを一楽章と見立て、第三楽章と第六楽章を次の楽章への経過句あるいは序奏と見立てれば、四楽章の曲のイメージでも鑑賞できると思いました。全部が続けて演奏される曲で、演奏時間もそう長いものでもないのです。

 

ベートーヴェンがその創作の最後に於いて作曲した、後期四重奏曲の中でも最後の2曲は、自らの欲求に基づいて作曲した最後の2曲で、第16番がもはや彼岸の境地ともいえる雰囲気となっていることもあり、晩年の楽想をすべて盛り込んだこの曲は、ベートーヴェンの集大成ともいえるのではないかと思います。冒頭の荘重なフーガで幕を開け、連続的にロンド、変奏曲、スケルツォ、ソナタと変転していく曲は、古典的な形式の美しさや、構築感の素晴らしさを持つ曲の最高峰に達しています。

 

そんなことを考えつつ、スメタナ四重奏団の演奏で鑑賞しました。この演奏は新盤の再録音の方ですね。揺るぎのないアンサンブルや、滑らかで温かみを湛えた音色を持ちあわせており、大変安定感があって、この曲を聴くにはいい演奏の一つではないかと思います。聴いていて、曲がすっと入ってくる感じがしました。カプリングのヘ長調の曲は、ピアノ・ソナタ第9番op14-1の自身による弦楽四重奏編曲です。シンプルですが、明るくしっかりした曲でした。

 

【録音に関して】

スメタナ四重奏団のここの楽器の音やアンサンブルの響きが、たいへん明瞭に捉えられた録音でした。

 

【まとめ】

ベートーヴェンの弦楽四重奏に再び向き合ってみました。これから何枚か聴く予定ですが、在庫の都合上(笑)、後期の曲が主になると思います。こうやって、続けて聴くのも楽しいですね。

 

購入:不明、鑑賞:2024/01/22

【CDについて】

作曲:マーラー

曲名:交響曲第4番ト長調 (53:32)

演奏:ブーレーズ指揮、クリーヴランド管弦楽団、バンゼ(s)

録音:1998年4月 クリーヴランド Masonic Auditorium

CD:463 257-2(レーベル:DG)

 

【曲に関して】

マーラーの交響曲第4番は、天国的な美しさを持つ曲ですが、ワルターはこの曲を「天上の愛を夢見る牧歌である」とも表現しています。もともとは、「少年の魔法の角笛」の歌詞に基づいて「天上の生活」が作曲され、これを交響曲第3番に置く構想もありましたが、最終的にはこの「天上の生活」を最終楽章に置いて、前の三楽章を作曲する形で、この曲が成立しました。

 

【演奏についての感想】

ブログでも何回か登場したブーレーズのマーラーですが、今回第4番をGETしたので聴いてみました。もちろん期待大です。第4番はクリーヴランド管弦楽団の演奏ですね。さて、印象的な導入ですが、とても快調に感じます。この少々早めのテンポは落ちることなく軽快に進んでいきます。そして何と言っても音が美しいという印象が大きいです。これは録音とかそういった問題では無くて、この音を出しているのだと思いました。

 

適度に温かみのある、澄んだ美しい音で、最初から最後まで演奏されていると思います。演奏の表情もとても美しいもので、それは大きなニュアンスをつけながら美を強調するものではなく、曲そのものが持っている美を沸き立たせるような演奏ではないかと思いました。過度に見える表現は抑えたうえで、細かなニュアンスで音作りをしていると思います。盛り上がるところはしっかり盛り上がるのですが、上品に盛り上がっています。バンゼの歌もこれと溶け合っています。

 

ブーレーズは作り上げる音のイメージを、曲によって変えているのでは?と思いました。テンポや強弱は極めて普通に聴こえますが、ごく細かなニュアンスや音色、精緻なアンサンブルから、自然に曲の美しさや内容の濃密さが現れてきます。ねっとりした耽美ではなく、精緻に磨いた天上の美を追求しているのでは?と感じました。じっくり味わいたい演奏だと思います。

 

【録音に関して】

文句なく、素晴らしい録音です。DGではないみたい…(笑)。

 

【まとめ】

こういった音作りへのこだわりは、類型的な見方ではありますが、フランスの指揮者の特徴なのかなと思いました。ブーレーズもそうですが、デュトワとか、この前初めて聴いたロトもそういったこだわりが感じられました。まぁ、これは一概には言えないかもしれません…。

 

購入:2024/01/18、鑑賞:2024/01/21

 

ブーレーズのマーラーもこれで3曲目ですね。関連記事のリンクです。

 

 

 

 

ショスタコーヴィチの時代 ㉘

交響曲第8番は、第7番に引き続き第二次世界大戦中に作曲された交響曲。同じく大戦中という環境の中での作品ですが、戦況は変化していき、その中で作品がどう変化していったかなども考えさせられるものがありました。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:交響曲第8番ハ短調 op65 (63:07)

演奏:ゲルギエフ指揮、キーロフ管弦楽団

録音:1994年9月 ハールレム Concertgebouw

CD:446 062-2(レーベル:PHILIPS)

 

【曲と演奏について】

交響曲第8番は、第7番に次いで、第二次大戦によって生まれた交響曲です。時系列的に並べると、独ソ戦開戦が1941年6月、交響曲第7番作曲が1941年8-12月、スターリングラード攻防戦1942年6月-1943年2月、交響曲第8番作曲1943年7月-9月という順序になります。ショスタコーヴィチは交響曲第7番と交響曲第8番の間には、娯楽音楽や民謡、国威発揚の音楽以外には、ピアノソナタ第2番、ローリー、バーンズ、シェイクスピアの詩による6つのロマンスを作曲していました。その中で交響曲第8番は、その時代に向けた外向きの作品であり、スターリングラード攻防戦の墓碑として作曲されました。

曲のあらすじとしては、第一楽章から第四楽章まで、抑圧や戦争と荒廃といった内容を込めた形で進行し、最終楽章で勝利は収めるものの、まだ戦争は続くという形の暗い終わり方となっています。勝利で終わる第7番と比較しても、基調が暗いうえ将来への不安を残す構造となっており、ソ連では人気が出ず、政府からも批判される結果となりました。そして、後のジダーノフ批判の対象となって、しばらく演奏が禁止される結果に繋がりました。全体の雰囲気は第5番に近い感じがしますので、あの曲を暗く終わらせるとこうなるのかもしれません。

この曲の録音は、かつてはコンドラシンやムラヴィンスキーなどのソ連時代の録音ものが大半をしめるなかで、唯一東芝EMIのカタログにプレヴィン=ロンドン響のLPが載っていて、異彩を放っていたという記憶があります。そして、その後全集の一環として、ハイティンクの録音が出たので早速購入して楽しみました。以降はいろいろな録音がでて、実演の機会も増え、今に至っているようです。私の数少ないライヴ経験では、フェドセーエフ(都響)を聴いたことがありますが、確かに迫力はありました…。1993年のことですね。

今回聴いてみたのはゲルギエフの1994年の旧録音です。しっかりと明快かつ丁寧にこの曲の演奏がされていると思います。迫力もありますので素晴らしい演奏だと思います。ただ何と言いますか、もう一つ何か迫ってくるものが足りないような感じもしました。いろいろな解釈はあると思いますが、普通に曲の内容を最大限に表現するとこうなるのだ、というものなのかとも思いました。

 

この演奏を聴きつつ感じたこと。一つは、この曲はスターリングラードの攻防戦を悼むものということですが、現実にあまりにも悲惨な攻防戦という悲劇があり、これを音楽で表現しようとしても、その悲劇の全貌は単純ではなく、ましてや後世にすべてを表現しようとすれば、どこか絵空事になるのではないかという気がしました。もう一つは、交響曲第5番、第7番と抑圧や戦いというテーマを描き続けて、曲調もかなり似た範囲の中で内容が変化していっています。ショスタコーヴィチは第9番をさらにこの延長で描こうとして、あるいは求められ、実際にはそういう形での作曲は取りやめました。これ以上、政府や一般大衆を意識せざるを得ない交響曲という形で、身近にあった戦争を表現し続けることに限界を感じたのではないかと感じました。この演奏を聴きつつ、そこにバランスをとるのは無理があるなと感じた次第です。

 

ショスタコーヴィチはその翌年に同じような雰囲気を持った弦楽四重奏曲第2番を作曲し、一方で交響曲第8番も、過去の戦争の墓碑銘ながらも、期せずして新たな悲劇や抑圧を悼んで演奏され続けられることとなるのでした。

 

初演者ムラヴィンスキーによる演奏。この淡々とした表情の中に何を見るか…。

 

 

関連する過去記事です。

 

 

購入:2024/01/09、鑑賞:2024/01/27

【CDについて】

①作曲:シベリウス

 曲名:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 op47 (26:33)

②作曲:プロコフィエフ

 曲名:ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調 op63 (23:02)

③作曲:グラズノフ

 曲名:ヴァイオリン協奏曲イ短調 op82 (18:56)

演奏:ハイフェッツ(vn)

   ヘンドル指揮 シカゴ交響楽団①、RCA交響楽団③

   ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団②

録音:①1959年1月10,12日、②1959年2月24日、③1963年6月3,4日

CD:BVCC-5066(レーベル:RCA、販売:BMGビクター)

 

【曲に関して】

シベリウスは、1904年にこのヴァイオリン協奏曲を完成させましたが、評判が芳しくなく、翌年ブラームスのヴァイオリン協奏曲を初めて聴いたシベリウスは衝撃を受け、この曲を改訂しました。初稿は演奏が禁止されていましたが、1991年に遺族の許可によりカヴァコスによって演奏され、録音もされています。

 

【演奏についての感想】

有名なヴァイオリン協奏曲が3曲入ったお徳用CDです。私はあまりこういうスタイルのCDは好きではありませんが、今回はどの演奏も聴いたことが無かったのでGETしてみました。この3曲だと、お目当てはシベリウスですね。では、シベリウスから聴いてみます。

 

ハイフェッツのヴァイオリンが強烈ですねぇ…。強く美しい音で目の前に現れたという感じでした。オーケストラも負けてはいません。協奏なんですが、競奏しているようです。決してそんな競うような激しい曲ではないのですが、ちょっとしたシナジーを感じます。そして、この音というか雰囲気にアメリカを感じます。ラフマニノフを聴いているようにロマンティック。あるいはハリウッド映画を見ている感じかもしれません。どちらかというとこの曲の繊細な感じに慣れていたので、ちょっと衝撃的なシベリウスでした。素晴らしい演奏です。

 

思い切りシベリウスを堪能した感じで、プロコフィエフ、グラズノフと続けて聴いていきます。確かに、ハイフェッツのこの音とテクニックは永遠に不変で、ずっと出ずっぱりで、同じ調子で奏でています。いろいろな曲を聴いているというより、ずうーっとハイフェッツを聴いている感じです。オーケストラは最後のグラズノフがちょっと弱いかなという感じを受けましたが、ハイフェッツは全く変わりません。この2曲は、シベリウスほどの強烈な個性まではないので、ハイフェッツの演奏が余計に印象に残ったのかも…、というくらい、ハイフェッツに当時の巨匠の演奏の凄さを感じるのでした。かつては、こんな演奏を聴いて、喝采をおくっていたんだなぁと、ちょっと感じ入った次第です。

 

【録音に関して】

ハイフェッツのヴァイオリンの音が浮き立って、前に映像を結んでいるような録音でした。オーケストラもしっかりした音で鳴っています。60年前後の名録音ですね。

 

【まとめ】

ただただ、かつての巨匠の凄さを感じたCDでした。一気に聴き通してしまいました(笑)。

 

購入:2023/12/23、鑑賞:2024/01/22

 

このブログの過去記事からのリンクです

 

 

 

 

 

【CDについて】
作曲:ブラームス

曲名:①交響曲第4番ホ短調 op96 (41:08)

   ②ハイドンの主題による変奏曲 op56a (21:10)

演奏:フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団①

   ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団②
録音:1948年10月24日 ベルリン(ライヴ)①

   1943年12月18-23日 ウィーン Musikvereinssaal②

CD:TOCE-3792(レーベル:EMI、発売:東芝EMI)

 

【曲について】

ブラームスの交響曲第4番は、ウィーン西南のミュルツツーシュラークでの避暑のための滞在中に書かれています。1884年に書き始められましたが、その年は第一楽章と第二楽章のみが完成され、ブラームスは更に翌年同じ土地に赴いて全曲を完成させました。特に2年目の1885年には、この交響曲の完成に集中した形になっており、ひと夏で書き上げられた第2番や第3番と違って、入念に仕上げられて形になっています。

 

【演奏について】

思いつくままに、いろいろと聴いていましたが、ふと今に続く演奏というものの原点に立ち返って、フルトヴェングラーの演奏を聴いてみようと思い、2枚ほどCDをGETしました。そのうちの1枚。ブラームスの第4番です。この曲に関しては、私は今一つつかみ切れていない感じがしています。今回はどうでしょう。

 

この演奏の冒頭のメロディがとてもいいです。叙情的にじっくりと歌わせながら演奏されています。大変ロマンチックな表現でした。このCDを聴きながら、ちょっとおかしな表現ですが、フルトヴェングラーの演奏って、なんと解りやすいのだろうと思いました。細かな動き、音符の一つ一つが、フルトヴェングラーの目指す表現に向かって、一斉に形を作り積みあがっていくような感じがします。そして、出来上がった音楽が迫力を持って迫ってきます。

 

そんなフルトヴェングラーの音楽が最後まで展開されていきます。第三楽章がまた、とても迫力があります。切れが良くて堂々とした、素晴らしい演奏でした。正直今回この演奏を聴いて、この楽章を見直しました。第四楽章は、最後の追い込みがすごいと思いました。という訳で、有名な演奏のようですので、書くのがお恥ずかしいところもありますが、私としてはブラームスの第4番がすごく近く感じられるようになりました。聴いてみるもんです…。

 

【録音について】

第4番は当時のライヴ録音ですが、鑑賞には問題ない音質でした。時折音量のふれがあった気がします。ハイドン変奏曲の方は、ノイズが多い感じでしたが、迫力ある音で聴けました。

 

【まとめ】

お恥ずかしながら、今さらフルトヴェングラーという事なのですが、やはり聴いてみるもんです。ちょっと衝撃的でした…。

 

購入:2024/01/19、鑑賞:2024/01/20

 

このブログからのブラームスの第4番の記事のリンクです

 

 

最近リリースされた新譜から ㉗

今週の新譜は、スッペです!先週のブルックナーとほぼ同時代のウィーンの音楽ですね。昨年突然たまにはスッペでも聴きたいな、と思いついたのですが、うちにある唯一のCDが奥の方にありそうなので、仕方がないな…と、取り出しませんでした。ところが、新譜でスッペが出ているではないですか。それもスッペの交響曲的作品が、世界初録音です。詩人と農夫もついています。いいですね(笑)。

【CDについて】

作曲:スッペ

曲名:①劇音楽「詩人と農夫」序曲 (9:54)

   ②交響的幻想曲 (31:56)

   ③歌劇「水夫の帰国」第1幕 前奏曲 (4:14)

   ④歌劇「水夫の帰国」第1幕 キャビンボーイの踊り (2:14)

   ⑤カール劇場の展示会のための序曲 (6:27)

   ⑥劇音楽「ウィーンの朝・昼・晩」序曲 (8:40)

演奏:ルードナー指揮 トーンキュンストラー管弦楽団

録音:2022年10月27日①⑤⑥、28日③④、27-29日② グラフェネッグ Auditorium

CD:8.574538 (レーベル:NAXOS)

 

【曲について】

このCDの指揮者であるルードナーは、スッペにオーケストラのための「幻の交響曲」があることを知り、ウィーンの博物館・図書館に遺されたスッペの手稿譜を丹念に調査して、この交響的幻想曲を見つけました。当時のイタリアにルーツを持ち、ドイツで成功したスッペの劇的な管弦楽をここに聴くことができます。

 

【演奏について】

スッペと言えば、「軽騎兵」と「詩人と農夫」ではありますが、オッフェンバックに触発されてウィーンのオペレッタを作り出した作曲家です。そのオペレッタは大正時代の日本でも紹介されていました。そんなスッペの管弦楽曲を今日は楽しみましょう。

 

「詩人と農夫」序曲

いろいろな大指揮者も録音を残している名曲ですね。ルードナーは、ソロはよく歌わせて、ラストに向けてはなかなかノリのいい展開を見せてくれます。音は素朴感もありますが、雰囲気がとても良く出た演奏でした。

 

「交響的幻想曲」

このCDの目玉ですね。世界初録音です。第一楽章は、ロマン派の交響曲をイメージさせる重厚な雰囲気も持ったもので、ちょっとメンデルスゾーン的雰囲気を感じました。構造は比較的シンプルだと思いました。ただスッペ独特の装飾が細かく入っている感じです。第二楽章の緩徐楽章は、静かな主部と舞曲風の中間部の対比が際立ちます。スケルツォ風の第3楽章は明るい舞曲風の楽章。そして、最終楽章でいろいろな楽想が展開され、楽しい感じでまとまりました。先入観もありますが、オペレッタ作家の交響曲的ではあります。最後は古典派的な雰囲気もあり、コーダは祝祭音楽のようでした。打楽器が好きだね、と思いました。まとまりなどはどうか?というところはありますが、楽想豊かで楽しい交響曲でした。

 

「水夫の帰国」

ピアノ版のスコアが残っていた曲を蘇らせたもの。前奏曲は、水夫の音楽でもあり、「さまよえるオランダ人」を連想するような雰囲気や、祝典的なフレーズの組み合わせを感じました。劇音楽の序曲ならではの展開で、いろいろなメロディが続けて登場します。

 

「カール劇場の展示会のための序曲」

これも世界初録音になります。カール劇場はスッペ後期の有名なオペレッタが上映された劇場でした。楽しげな曲が続く序曲ですが、曲は静かに終わりました。

 

「ウィーンの朝・昼・晩」序曲

これは、よく演奏される音楽ですね。「詩人と農夫」と同じような展開をする序曲スタイルでした。そうなんです。最初に「詩人と農夫」を聴いたので、以降の曲を、「詩人と農夫」を基準に比較してしまいます。

 

なかなか面白いCDでした。こうなれば「軽騎兵」も欲しいところですが、それはまたいずれ聴きましょう。

 

田谷力三さんの歌う、「恋はやさし野辺の花よ」。スッペの喜歌劇「ボッカチオ」からの曲です。朝ドラのブギウギでも取り上げられました。

 

【録音について】

ちょっと固い感じはしましたが、問題の無いいい録音です。

 

【まとめ】

楽しいCDでした。スッペの曲はかつてはカラヤンやショルティなど錚々たるメンバーが録音していましたが、最近の新譜事情はどうなんでしょう。迫力のある曲なので、豪華なオーケストラで聴いてみたい曲です。

 

購入:2024/01/14、鑑賞:2024/01/21

【CDについて】

作曲:ブラームス

曲名:①クラリネット五重奏曲ロ短調 op115 (36:33)

   ②クラリネット三重奏曲イ短調 op114 (26:01)

演奏:キング(cl)①②、ガブリエリ弦楽四重奏団①

   ゲオルギアン(vc)②、ベンソン(p)②

録音:1983年1月24-25日 ロンドン Barmabas's Church

CD:CDA66107(レーベル:Hyperion)

 

【曲について】

この2曲を同時に世に送り出したブラームスですが、「クラリネット五重奏曲」のあまりの評価の高さに対し、「自分は三重奏曲の方が好きだ」と言ったそうです。しかし、私にもこれは、五重奏曲の方だよね…と、失礼ながら思えます。一つ一つの楽章ごとの完成度も素晴らしく、全体の構成も大変まとまりのいい曲だと思います。

 

【演奏について】

クラリネット・ソナタで愛聴盤となっているシア・キングさんの演奏した、クインテットとトリオを組み合わせたCDをGETしたので、さっそく鑑賞してみました。思い入れもありますが、いい演奏に違いないと思っています(笑)。

 

まず五重奏曲、第一楽章は少し弦が強めに感じますが、ヴァイオリンがよく歌います。メリハリが効いていて良かったです。聴きどころは第二楽章でやってきます。穏やかな弦楽器の波に乗って、クラリネットが高揚したメロディを奏でます。高らかとしたモノローグ。素晴らしい音楽です。第三楽章も面白くて、冒頭はクラリネット主導でスタートし、中間部では弦のリズムの上に、クラリネットが合いの手のような音を乗せていきます。最終楽章は変奏曲で、次々に押し寄せてくる楽想を漂いながら、最後に第一楽章が帰ってきて、印象的に曲を閉じます。人生の回想を聴いているようです。シア・キングさんのクラリネット。この漂うような哀愁は好きです。

 

三重奏曲は、チェロとピアノとのトリオになります。第一楽章は哀感漂う楽章で、静かな中で、情熱の炎が時として燃え上がります。消え入るようなフレーズと燃え上がるフレーズの対比が見事で、三つの楽器のアンサンブルも素晴らしいです。第二楽章は明るく切ない感じの緩徐楽章。過去の回想かも知れません。第三楽章と第四楽章は比較的明るい基調になります。そして情熱的な終曲を迎えます。この二つの曲。ブラームスとしては、どちらも自信作だったようですが、現時点では私はやはり五重奏の方がいいですねぇ。今回は、シア・キングさんのクラリネットが聴けて、大変良かったです。特に五重奏の第二楽章は最高です。

 

【録音について】
録音年代は1983年なんですが、アナログ録音なんですね。クリアという訳にはいかないのですが、暖かい音色でいいと思います。

 

【まとめ】

思い入れたっぷりで聞いていたので、とても幸せな時間を過ごせました。ブラームスのクラリネット五重奏曲。以前はそれほどでもなかったのですが、ハマりますね。歳かな…。

 

購入:2024/01/15、鑑賞:2024/01/17

 

こうしてみると、クラリネット五重奏曲はもう4回目なのでした(笑)。

 

 

 

 

 

1月はメンデルスゾーンで ⑤

メンデルスゾーンの最終回。交響曲⇒室内楽曲⇒器楽曲ときたので、最後はこれで。この曲は聴いたことが無かったので、是非この際聴いておきたいと思って取り寄せました(笑)。誰の演奏でも良かったのですが、この分野では安定のコルボで。演奏の派手さを狙うのであれば、サヴァリッシュ盤も良かったかなぁ…と思ったりしています…。

【CDについて】

作曲:メンデルスゾーン

曲名:オラトリオ「エリア」 op70 (142:34)

演奏:コルボ指揮 リスボン・グルベンキアン管弦楽団・合唱団

   ヴィーンス(s)、ワトキンソン(a)、ルーイス(t)、ルクソン(bs)、

   レー(boy,s)、アルタヴィッラ(s)

録音:1983年4月 リスボン グランド・オーディトリアム

CD:RECD-1017/19(レーベル:ERATO、発売:RVC)

 

【曲に関して】

メンデルスゾーンは聖書に基づく大規模なオラトリオとして、「聖パウロ」と「エリア」を作曲しました。「エリア」は2部構成で、第一部はイスラエルにバール信仰が広まったことよる神エホバの怒りから、エリアがバールの預言者たちとの対決に打ち勝つところまでが描かれ、第二部では、バールの預言者を滅ぼしたことにより、イスラエル王に命を狙われることとなったエリアがイスラエルから逃げる場面から、火の馬車により天に上げられるところまでが描かれ、終末部で救世主の出現に関する預言が歌われます。主要な歌詞は聖書によるものですが、創作も一部含まれています。

 

【演奏についての感想】

エリアのレチタティーヴォから始まり、序奏へと入っていきます。このような宗教曲は今まで聴いてきた経験は、ごくごく少ないのですが、イメージはなんとなくヨハネ受難曲とか、マタイ受難曲の雰囲気で、聖書に書かれたキリストの誕生や受難の物語や、それを取り巻く当時の歴史的背景と聖人の物語を劇音楽風にアレンジしたものと理解しています。聖書に親しんだことのない者としては、まず物語風に吸収するという形になっていきました。序奏は弦楽を中心とした音楽で、古典派のイメージを持ちました。

 

こういった物語からイメージとして頭に浮かんでくるのは、私は映画の映像からの印象が大きいですね。「十戒」とか有名ですが、ヨーロッパ映画であれば、例えばパゾリーニの「奇跡の丘」とか、聖書の中の物語を芸術的に扱った映画がたくさんあります。私としては日常の中のこととして感じることは難しいですが、ヨーロッパの世界ではより身近に感じられるのだろうなと思いを巡らせます。しかし、実感にはほど遠いです。そんなことを考えているうちに音楽は進みます。

 

メンデルスゾーンは、バッハやヘンデルを深く研究していましたので、この曲にはそれらの影響が多く残されていると言われています。コルボの演奏は柔らかい音で、この物語を綴っていきます。曲もアリア、レチタティーヴォ、合唱と組み合わされて、物語を劇的に表現していきます。第二部の冒頭に置かれたソプラノのアリアがとても美しく、また、物語の節目には迫力のある合唱が登場して劇的に区切りを作っていきます。内容は異なるものの、オペラと同じような表現形式ですね。ただただ、美しい合奏と合唱と歌唱を楽しむばかりの2時間でした。

 

【録音に関して】

バランスよく全体が捉えられていて、弦楽器の音なども大変美しい録音でした。

 

【まとめ】

もう1月も終わってしまいましたか…。1月はメンデルスゾーンの普段は聴かない曲も含めて網羅的に聴いてみました。まだまだ聴いたことのない曲はたくさんありますが、また機会があれば勿論聴いてみたいと思います。

 

購入:2024/01/08、鑑賞:2024/01/14

 

1月はメンデルスゾーンシリーズの過去の4回分のまとめです。