師走にマーラーのCDを消化しよう ⑤
今年のマーラーは、これが最後です(笑)。ブーレーズのマーラーの買い置きは、第5番と第7番が家にあったのですが、結局そのままの流れで第7番を聴いてみました。前回が少々不発気味だったので、今回は好きなブーレーズのマーラーなので、ちょっと期待して聴いてみます。第7番では、クリーヴランド管弦楽団を指揮しています。
【CDについて】
作曲:マーラー
曲名:交響曲第7番ホ短調 (74:53)
演奏:ブーレーズ指揮、クリーヴランド管弦楽団
録音:1994年11月 クリーヴランド Masonic Auditorium
CD:447 756-2(レーベル:DG)
【曲に関して】
Wikipediaなどを読んでいると、マーラーがこの曲に関して何もコメントを残さなかったので、この曲の解釈については議論百出のようです。巨匠たちもこの曲をそれぞれの独自解釈で演奏しているような気がするので、いろいろな肌触りの演奏が生まれてきている気がします。と、この演奏を聴いていても感じました…。
【演奏についての感想】
第7番は、マーラーの曲の中でも、一応何通りかの演奏を聴いた曲。今回は立て続けに3つ目ですが、最後の締めはこれで、ということで聴いてみます。第一楽章の冒頭からかなり遅く感じます。でも、クレンペラーの27分強には及びません。時々テンポを上げたり、戻ったりして、波のように流れていきます。そもそもブーレーズの演奏なので、細部が克明に描かれていて、情感たっぷりという訳ではなく、じっくり作りこまれています。曲の流れはしっかりしていて、緩む事はありません。遅めですが、23分半という長さを感じさせない、集中力の高い演奏でした。最近はどんどん押していく演奏を聴いていましたので、新鮮です。
第二楽章は普通のテンポでスタートしますが、早くはなりませんでした。さらっとしていてあまり歌うことは意識していないと思いますが、真ん中あたりの木管のソロなどいいなぁ…。という感じで、聞かせどころが散りばめられています。第三楽章は、不気味な感じで始まります。この演奏は、この曲の夜の曲というイメージを前面に出しているのかな?そしたら逆に第五楽章が弾けそうだなと思ったりしました。第四楽章は意外と明るく感じます。夜が明けてきた?(笑)感情の起伏などは、あまり表現されていないとも思いますが、演奏密度は高いので、聴いていて曲に集中できます。誇張して押し付けがましい所もないので、いい感じです。
第五楽章。やはりねという感じで、かなり明るく闊達ですね。夜から夜明け、そして朝へという感じで進んでいった感じがします。この曲はそういう一面もあるとは思いますが、そこまではっきり表現していくのは珍しいかな? ブーレーズの演奏は、テンポや音楽の醸し出す表情は変えていきますが、細かいニュアンスでの強調とかは、ほどほどに抑えたバランスなので、ねっとりと絡みつかない演奏でした。クリーヴランドの音も乾いた感じで、この組み合わせの表情もよく出ているのではないでしょうか。ラストはしっかりと盛り上がって締められました。
【録音に関して】
細部までよく捉えられた、素晴らしい録音だと思います。
【まとめ】
ブーレーズのマーラーは今年は第6番や第9番も聴いていましたが、第7番はそれとはちょっと雰囲気が違った感じもします。ブーレーズはオーケストラも違えて、曲ごとに試みも多少変えているのかな?と感じました。
購入:2023/07/29、鑑賞:2023/12/16
年末にマーラーを5枚聴きましたが、結局第5番と第7番だけでした。楽しかったので、来年は普段は全く聴かない第3番や第8番あたりにも挑戦してみましょう…。多少マーラーに慣れた気もしますが、マーラー初心者の域はでません(笑)。
最後に今回聴いたCDのリンクです。