師走にマーラーのCDを消化しよう ③
3枚目は、第7番にしました。どうも、いざ聴こうとすると、第5番~第7番あたりに集中する傾向があるようです。やはり歌無しの方が馴染むのでしょう。歌無しでは、第1番はなんとなく今更感がつきまとうし、第9番は真剣に向き合うと構えてしまうので…。好きな方ごめんなさい。
【CDについて】
作曲:マーラー
曲名:交響曲第7番ホ短調 (72:33)
演奏:クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団
録音:1970年11月 ミュンヘン
CD:UCCG-4988(レーベル:DG、販売:ユニバーサルミュージック)
【曲に関して】
交響曲第7番は「夜の歌」という副題で呼ばれることもありました。これは、第二楽章と第四楽章に「Nachtmusik」と記されているところから来ています。マーラーは第二楽章をレンブラントの「夜警」に例えたと言われていますが、絵そのものではなく夜を徘徊するイメージということと思われます。
【演奏についての感想】
第7番は、マーラーの交響曲の中でも、現時点では一番好きな曲ですが、きっとそれは、いろいろと楽しげなメロディが入っているからかもしれません。全体的にシメントリーになっていて、統一感があると思っています。これは異論はもちろんあると思います。真ん中に穏やかな感じの楽章が3つ続くので、ちょっと眠気に襲われることはありますが…。それでは、クーベリックの演奏を聴いてみましょう。1970年のものですが、マーラーブームが始まる頃のものですね。
第一楽章は、クーベリックのテンポは少々早めで、どんどん前へ進んでいく感じがします。金管の音が渋めで大きく感じます。時々現れるテンポの転換も絶妙で、サクサク進んでいく感じがとてもいいと思います。サクサクというよりは、ゴツゴツとかドカドカ進むという感じかもしれません。このテンポ感といい、何か能天気に進んでいく感じが好きだなぁ…と思います。第二楽章は緩徐楽章ではありますが、基調は同じような雰囲気だと思います。冒頭のホルンの音も、渋くていいと思いました。早めのテンポの中での揺れも絶妙です。メリハリがあって、聴いてて飽きない演奏だと思いました。
第三楽章は、穏やかでメリハリがあり、第四楽章は十分に歌い込まれて、美しい演奏でした。そして、それまでの穏やかな流れから一転して一気に爆発する第五楽章に入ります。それほどうるさくはなく、ある意味コントロールされた感じもします。輪郭ははっきりして細部も明晰で、まとまった感じでした。リズムやテンポの変化が面白く、ラストはとても華々しく決まる。思わずブラボーと言いたくなるようなラストです。この演奏以降たくさんの第7番が録音されていますが、この演奏は1970年とはいえ既に何か懐かしいような、こういう時代だったんだよな…、となんとなく思ってしまう演奏でした。なかなかいいです。
【録音に関して】
音は大変クリアで、細部まで無理なくよく捉えられている美しい録音だと思います。フォルテも十分余裕があります。しかし、今の基準で行くと、少々古い音という感じがしないでもありません。
【まとめ】
マーラーの中でも、第7番はいつでも気軽に聴ける曲なのですが、それほどたくさんの演奏を聴き込んだという訳でもないので、もっといろいろ聴いてみたい曲なのでした。
購入:2023/03/20、鑑賞:2023/12/08