ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番 他 スメタナSQ (1984/5) | クラシックCD 感想をひとこと

クラシックCD 感想をひとこと

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。
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2月はベートーヴェンの弦楽四重奏曲 ①

2月は寒いですね。そこで、弦楽合奏でも聴いて温まりましょう…。ということで、しばらく聴いてなかったなと思って、ベートーヴェンの弦楽四重奏を聴くことにしたいと思いました。このブログでも1曲だけ登場しただけです。それもシューベルトとセットで。久しぶりなので、ほとんど曲を忘れていますね(笑)。その昔買った未聴CDの消化でもあります…。

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ⑳

【CDについて】

作曲:ベートーヴェン

曲名:弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調 op131 (39:40)

   弦楽四重奏曲ヘ長調 Hess34 (13:15)

演奏:スメタナ四重奏団

録音:1984年7月18-25日①、1985年6月13-20日②

   プラハ 芸術家の家、ドヴォルザークホール

CD:COCO-85094(レーベル:DENON、発売:日本コロムビア)

 

【曲に関して】

ベートーヴェンは最晩年に大フーガを含む6曲の弦楽四重奏曲を作曲しました。このうち、第12番、第13番、第15番は、ロシアの貴族であるニコライ・ガリツィンの委嘱によるもので、これは前作のセリオーソから14年の歳月を経て作曲されています。その後、自らの欲求によって書かれた弦楽四重奏曲がこの第14番と、生涯最後の作品となった第16番になります。この2曲はベートーヴェンの創作の到達点ともいえるものとなりました。

 

【演奏についての感想】

弦楽四重奏曲第14番に親しんだのは、バーンスタインとウィーンpoによる弦楽合奏版だったかもしれません。比較的聴きやすい弦楽合奏での体験は、新たな世界を垣間見る、非常にいい体験だったと思います。この曲はそもそも7楽章構成という、なかなか敷居の高いものです。しかしながら、第一楽章のフーガと、第二楽章のロンドを一楽章と見立て、第三楽章と第六楽章を次の楽章への経過句あるいは序奏と見立てれば、四楽章の曲のイメージでも鑑賞できると思いました。全部が続けて演奏される曲で、演奏時間もそう長いものでもないのです。

 

ベートーヴェンがその創作の最後に於いて作曲した、後期四重奏曲の中でも最後の2曲は、自らの欲求に基づいて作曲した最後の2曲で、第16番がもはや彼岸の境地ともいえる雰囲気となっていることもあり、晩年の楽想をすべて盛り込んだこの曲は、ベートーヴェンの集大成ともいえるのではないかと思います。冒頭の荘重なフーガで幕を開け、連続的にロンド、変奏曲、スケルツォ、ソナタと変転していく曲は、古典的な形式の美しさや、構築感の素晴らしさを持つ曲の最高峰に達しています。

 

そんなことを考えつつ、スメタナ四重奏団の演奏で鑑賞しました。この演奏は新盤の再録音の方ですね。揺るぎのないアンサンブルや、滑らかで温かみを湛えた音色を持ちあわせており、大変安定感があって、この曲を聴くにはいい演奏の一つではないかと思います。聴いていて、曲がすっと入ってくる感じがしました。カプリングのヘ長調の曲は、ピアノ・ソナタ第9番op14-1の自身による弦楽四重奏編曲です。シンプルですが、明るくしっかりした曲でした。

 

【録音に関して】

スメタナ四重奏団のここの楽器の音やアンサンブルの響きが、たいへん明瞭に捉えられた録音でした。

 

【まとめ】

ベートーヴェンの弦楽四重奏に再び向き合ってみました。これから何枚か聴く予定ですが、在庫の都合上(笑)、後期の曲が主になると思います。こうやって、続けて聴くのも楽しいですね。

 

購入:不明、鑑賞:2024/01/22