ブクステフーデ:カンタータ「我らがイエスの四肢」 コープマン 他 (1987) | ~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

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学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

【CDについて】

作曲:ブクステフーデ

曲名:カンタータ「我らがイエスの四肢」BuxWV75 (60:22)

演奏:トン・コープマン指揮
   シュリック(s)、フリンマー(s)、チャンス(a)、プレガルディエン(t)、コーイ(bs)

   アムステルダム・バロック管弦楽団、ハノーファー少年合唱団
録音:1987年1-2月 マンデルスロー Kitche St. Osdag

CD:0630-17760-2(レーベル:ERATO)

 

【作曲家について】

ブクステフーデは、17世紀の中盤に活躍した作曲家で、当時のデンマーク領(現在はスウェーデン)のヘルシンポリに生まれ、主要な生涯をリューベックの聖母マリア教会のオルガニストとして過ごしました。J.S.バッハの前の世代として、教会カンタータの発展に貢献、またオルガンの巨匠でもあり、オルガン曲も多くの作品を残しています。今回は、そんなブクステフーデの規模の大きいカンタータです。

 

【曲と演奏について】

ブクステフーデは、デンマークから北部ドイツで活動した音楽家で、そのエリアから出ることはありませんでしたが、各地の音楽との交流は保っていたようです。曲は7つのパートから構成され、それぞれのパートは、曲ごとに部分的に違いはあるものの、ほぼ同一の様式で統一されています。それは、①器楽による序奏、②声楽コンチェルト、③アリア1、④アリア2、⑤アリア3、⑥声楽コンチェルトの順に奏されます。器楽は、ヴァイオリン2本またはヴィオラ・コンソートというシンプルなもので、これにコントラバス、テオルボ、オルガンによる通奏低音が加わります。声楽はS,S,A,T,Bのソロと合唱となっています。

 

全曲を構成する7つのカンタータは、十字架にはり付けられたイエスの体の一部、足、膝、手、脇腹、胸、心臓、顔に対応しています。歌詞はそれぞれ、聖書の言葉などから参照されているものです。
 

ブクステフーデと言えば、CDで聴いたことは無かったのですが、朝方のNHK-FMの放送の宗教音楽やバロック音楽の時間帯に時々聴いていたので、記憶の隅に残っています。もっぱらオルガン曲のイメージでしたが…。今回はこういった曲ですので、まず「理解」するのに手間取りましたが、まず聴いてみましょう。歌詞内容は、言葉を追う事は無理なので、ざっと訳語を読んでおきます。いずれも磔にされたイエスに対する祈りの言葉です。

 

前奏は通奏低音とヴァイオリンの意外と明るい音色で始まりました。曲調は哀感の漂うものですが、歌も含めて、優しく包み込むようで、とても身近な感じがする響きです。天国的な合唱とでも言いましょうか、器楽が小編成で、音も美しくクリアですね。そして、ちょっと物悲しく、かつシンプルで優しい音楽が続いていきます。そんな暖かく柔らかな雰囲気に包まれるので、ずっとそこにいられる感じがします。そして、事実最後までその雰囲気が続いていくのでした。

 

【録音について】

とても美しく澄んだ、暖かい感じのする音色を、存分に楽しめる録音です。

 

【まとめ】

今回は、バッハよりも前の時代の音楽を聴いてみました。いろいろな音楽の発展過程を勉強すると、またいろいろな楽しみがあると思いますが、今回はまず曲に親しんでみたという感じです。この時代の音楽も、折に触れて聴いてみると、また世界が広がるかも、と思いました。

 

購入:2024/01/15、鑑賞:2024/01/16

 

バロックの宗教曲の過去記事は、現状一つしかなかったと思います。