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「接触抵抗」を完全ゼロにする必殺ワザ「スポット溶接」
かつてより筆者は2つ以上の金属同士を結合させた外筐についてはとりわけ注意をそそいでまいりました。
それはEMC耐力(ノイズ問題)と不可分な重要技術だからです。
目的は「分散金属を等電位化したグラウンディング」にあります。
しかし従来はどんなに頑張っても2種金属間の望まない物理現象は必然的に存在することに変わりありませんでした。
導電テープとの合わせワザが生きてきます。
技術のバリアは「発想の転換」で必ず突破できる。
2つ以上に分かれた金属の電気的一体化にはいくつかの方法がありますが、ついに「溶接、スポット溶接」にたどり着きました。
これにより「圧着端子」にすら存在する「2種金属間の物理的問題「接触抵抗」「圧着密度」「接触間電位差」、「両金属間の浮遊インピーダンス」など接触金属由来の難問を消し去りました。
「接合箇所が結晶レベルで連続性を持つ」・・・Wikipedia
メッシュ部にスズメッキ線を巻いて印加電極を作り、そこから溶接電流を流す。
メッシュが一瞬赤熱し、煙がわずかに上がる程度が適切です。
足りない、と思われるときは1~2回繰り返します。
この場合、スズメッキ線は「電流制限抵抗」としても動作しています(0.4Φモノ使用)
メッシュ溶接にはこの程度のパラメータがよさそうです(100A未満で複数回)
電流を流しすぎるとメッシュの一部が黒化したり、焼け切れて穴があきます。
パイプ溶接にはこの程度のパラメータがよさそうです(500A未満複数回)。
足りないと思われるときは1~2回繰り返します。
(二重巻きしたスズメッキ線は線径と無関係な大電流を扱える場所を使う)
GEAR:溶接時間
DELAY:溶接電極が材料に触れてから溶接が始まるまでの時間
TESTING:溶接電流
BAT:バッテリー電圧
・バッテリー式小型スポット溶接機が登場し、安価に、簡単に入手できるようになり最低限のスポット溶接が可能になったことは「半田付け」を超えるエポックと言えます。
「ハンディ溶接機」と言えど恐ろしいほどの大電流で溶接ができます。
・溶接電流(A)と溶接時間(ms)の兼ね合いで結果が決まります。
焼け切れ・黒化せず仕上げるにはクセをつかみながら練習が必要です。
・MEMSマイクを仕込んだステンレスパイプに80A程度までの電流で溶接をおこなっていますが、今のところ「迷走電流」によるデバイスの劣化・破壊は起きていません。
◎「ニホンゴ」の取説は読めば読むほど分からなくなるエンタメ魂豊富な取り計らいに「謝謝」
(現在使用しているスポット溶接機)
筆者使用のスポット溶接機はAMAZONで入手したこちらです。
※実使用の前にいろいろな材料で練習が必要です。
このスポット溶接機本来の使い方とはかなり異なっていますが、使えます。
ここでは「プロジェクション溶接」、「クロスワイヤー溶接」というプロセスで成り立っていると推測しています。
溶接後のSUパイプ〜SUメッシュ間の抵抗値
(デジタルテスターでは測りにくいのでアナログテスターで見やすくしています)
もしデジタルテスターで測定するなら「4端子法」でなければ不可能と言われていますが、普通にテスター棒をあてて最初に出た数字がアナログテスターとも整合性があり信用できるはず、長くあてていても、それ以降の値は「パラパラ」変わってとんでもない数字がでてきます。
特徴
最初から「溶接」を意識して進める必要はなく、「圧着」「圧接」の仕上げに溶接するだけです。
それにより「2種金属間」で避けられないあらゆる物理現象は皆無となります。
溶接例1
ここでは「ProbeⅡLz」を例にご説明します。
諸兄にはこの例からぜひ様々なジャンルへの応用をお考え下さい、従来の常識はあらゆるところで大きく変わるでしょう。
溶接ポイントの白丸は理想値であり、1箇所でも溶接できていれば2種金属間問題は一挙に解決します。複数ポイントを溶接するにはさらに訓練とノウハウがあると思います。
この例ではSUパイプ、導電銅テープ、ボディの金属間で「溶接」が成り立っています。
300A〜500A程度流し、金属同士大きくが溶け合う設定が適切です。
これとの合わせワザが有効です。
溶接例2
t=0.2の6ΦSUパイプは内径5.6ですので電極部を絶縁したメッシュ包みのICS-40730が収納できます。(パイプ切り口をキレイに整端する必要があります)
電極部の絶縁はエポキシ接着剤、紫外線硬化接着剤ともにこの目的には良好です。
A
B
C
※スポット溶接は最初におこなっても、エポキシ固定後でもどちらでもOKです。
※次元の異なる金属処理をわずか数千円で実現できるようになったことは有難いかぎりです。
おそらく(筆者の妄想)
「音の良い半田」はいくつかあるので、自分はxxx半田に限る」というかたは多いはずです。
半田付はどんなに良質であれ2つの金属の導通をはかるロウ付材料につき金属との境界面ができることは避けられない。
「チョン付け」より半田を選んだ「1回半巻き付け・押しつぶし半田付け」の方があきらかに音はいい、それは金属境界面が多いか少ないか、それに使用する半田で音質は当然変わるが・・・
スポット溶接化は「良い半田論争に終止符を打つことになるのではないか」という妄想。
パーツ脚と端子間のスポット溶接は「溶接材」すら用いないため2つの金属はお互いに溶け合って一体化しますので「金属境界面」は存在しない、ここのプロセスの違いはきっと音に現れるはず、その場合部品足と端子とを溶接することになる。一体化金属部を強化するのは半田付になるが使用半田は何でもいいという事になるでしょう。
以上
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