ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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記事:2616から続く

 

 

 TODAY'S
 
Probe-T2 MEMS型マイクから光ノイズを完全解放した

「静かだ!」これが合言葉となった「Probe-T  でしたが・・・

 

今回それに「光ノイズレス」 が加わりProbe-T2 となりました。

 

SN比74dBのMEMS名機 ICS-40730を光ノイズレス化した最初の実用作品です。

 

 

 

NEW  「Probe-T2

姿カタチからは想像もできない凄いヤツ

高域減衰など縁のない遮光材、音響抵抗ゼロのヒメロンを採用

 

 

 

 

 

光ノイズ 減衰55dB以上の実力

 

 「Probe-T2  は「別モノ」

 

結果的にはブッチギリの光ノイズ不感型のマイクロホンとなりました。

その光ノイズ不感性はC-414やDPA 4006A、C-451系をはじめ、ほとんどのヨーロッパ製コンデンサマイクをはるかに超えます。

 

 

それは「限界テスト」に耐えたのです。

「3000 lm PWM調光LEDを5 cmの至近距離から照射するという厳しい条件では、未対策のICS-40730を使用したProbe-T では265 Hz基本波および高調波からなる盛大な光ノイズを発生した。

 

 

一方、Probe-T2 では遮光材『ヒメロン HN606B』を音孔に適用しさらに「縦装填」である。これにより徹底的に「遮光」された。

 

 

これにより光ノイズ基本波は約55 dB以上低減され、その高調波は事実上消滅した(図参照)

 

 

しかし、これは「限界テスト」である。

当然一般環境、スタジオ、ホール環境でもここまでの光ノイズはあり得ない、条件さえよければProbe-T でも何の問題も起こさないがProbe-T2 としてここまで徹底すれば「完璧」ではないだろうか。

 

 

 

ブッチギリな光ノイズレス効果をどうぞ

 

FFT画面でその改善効果をご確認ください

(3000Lm LED、265Hz PWM調光光、距離:先端から50mm)

 

こんなきびしい条件の現場はあり得ません、「限界試験」です。

 

 

Probe-T 

 

 

Probe-T 2 

 

基本波では55~58dB減衰

倍調波を含む光ノイズ高調波はすべて消滅した。

 

PWM 265Hz音とその高調波は一切耳には聞こえないという事です。

 

 

 

この成果は縦実装とヒメロンの相乗効果です。

 

今後、ShinのMEMS型マイクすべてに適用する。

 

 


 

 

 

  Probe-T 2 」製作

この機種は2023年の「Probe-T」の内容そのままバージョンアップしたものです。

 

 

 

         

 

バージョンアップした部分はココ

 

1.ICS-40730の音穴を覆うように「ヒメロン HN-606B」を貼る。

注意)音穴部分にはけっして接着剤を付けないようにする。

 

 

 

 

2.ステンレスパイプの中の制動用脱脂綿を黒色の「ヒメロン606Bを小さく刻み、脱脂綿と取り換え密充填する。

 

これにてパイプ内からの光反射はなくなり、「パイプ鳴き静止」「背面ラビリンス」が成り立ちます。

 

 

この「Probe形状」こそがShinのたどり着いたMEMS型無指向性高品位マイクロホンの極められた形状であります。

 

 

以上


手元にはICS-40730は十分にあります。この「Probe-T2 」はご要望によりお作りします

 

 

 

 

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 TODAY'S
 
特報】「ICS-40730」の 光ノイズが撃退した

現在のアナログMEMSマイクで最もSN比の高さを誇るICS-40730

しかしその光への感応性が非常に高く、マイクとして組んだ場合光ノイズに悩まされやすい問題があります。

このため私はこのMEMSの使用を1年以上前から中止してきました。

 

ついに

元々の高音質をそのままになまま光ノイズが撃退できました。

 

未対策のMEMSマイクは「光電素子」そのものです。それは「メンブレン」「ASIC」とに分けた場合、音穴からの光が「ASIC」側に作用することが原因でありながら、「メンブレンへの光が主」ではないか、というこの現象の思い違いを余儀なくされるところです。

 

ASICとは「増幅用OP-AMPと成極電圧を作るチャージポンプを集合したIC」です。

増幅部は当然ながら、ASICの中のOP-AMPの信号も、チャージポンプからの高圧DCが調光リップルまみれでではもはや「雑音発生器」となる。

 

すなわちMEMSマイクの「光電対策」は「ASICへの遮光」がメイン課題であるわけです。

 

  

このように音穴部を黒いヒメロンでふさぐことです。

(測定の結果、このヒメロンHN606Bは音響抵抗ゼロと判明)

 

注意  接着剤が音穴にかからないようにします。

 

 

 

 

「ProbeⅡ」系ProbeⅡProbeⅡLzProbe-Tに焦点を当てた対策ができます。

この3機種はファンタム供給および出力回路の違いだけで同一の音響回路を持ちます。

 

おそらくこの対策で一切の音質変化なく光ノイズは数十dB改善を期待できるはずです。

 

世界一光ノイズに弱いマイクが世界一光ノイズに強くなるはずです。

 

 

 

 

おさえるべきポイント

◎ 音穴からの光の侵入を防ぐ具体的な対策

 

1.「音穴を前面に向けない」ことを絶対条件とする。

 

2.遮光による音質変化のないこと。

 

3.ヒメロン ※1による音穴の遮光。

 

4.パイプ内制動材である白い脱脂綿を黒色のヒメロンに交換。

 

 

 

 

 

 

 

ヒメロンとは、その入手法は

 

※1  の「ヒメロン」とは音響抵抗が少なくモノによっては「ゼロ」、遮光特性に優れた特殊不織布。ECMカプセル前面の黒い布が「ヒメロン」です。


「ヒメロン」とは 株式会社エフアンドエイノンウーブンズ(ニッケグループ)で製造される「高機能不織布」のブランドであり、ECMのフロント用には半世紀の実績をもつ音響用保護膜です。

 

 

① 私は「日化ポリマー㈱」NCショップから通販購入しました、大変安価で、ICS-40730 1個の値段で1m×1mが買えます。

ほんの切れはしでいいのだが、小サイズの販売は一切ない、

ハガキ大サイズ1枚で一生使えるのだが・・・

 

6Φ~10Φの不要なECMから剥がし取ることは簡単ですが、粘着剤が音穴をふさがないことが大切です。

写真はPRIMO EM-80からはがし取る丸いヒメロンの例。

どうやらHN606Bであるらしく、問題なく使えデータも同一でした。

 

ヒートガンで温めるとすんなりはがれます。類似のECMであれば他の品種でも大丈夫なようです、おたしかめください。

 

 

しかしその辺の「適当な不織布」では「不適当」、遮光特性は読めても「音響特性」を読めませんのでどんな結果になるかわかりません。

 

 

 

 

  ヒメロンによる光ノイズ対策検証

どうせなら、と「限界試験」に挑みました。

 

ICS-40730音穴に向けてPWM調光LED光をあてた

3000lmLEDライト(PWM調光)をマイクスタンドで5cmの直近

 

これがマイクか、と思うほどの光ノイズで埋まっている。

音としては「ビーーーー」という265HzのPWM調光波形と高調波が盛大に発生しているのがわかる。

 

 実際にここまでひどいノイズの発生条件はないはずです。

 

 

FFT画面

 

ICS-40730にPWM調光光 距離5cm

基本波265Hzの光ノイズ、整数倍調波、高次倍調波が盛大に発生している。

 

 

 

 

ICS-40730(音穴にヒメロンHN-606)にPWM調光光 距離5cm

 

PWM基本波265Hzを20dB抑制したことに加え、高域のスパイク波をほぼ消失させ、不快な光ノイズを劇的に遮断した。

 

(ノイズは電力比1/100減衰 、高次倍調波はほぼ消滅した。トータルでも光ノイズを20dBの電力比すなわち99%遮断に至りました)

 

 

◎ ただし実際にはここまでひどい光ノイズ発生環境はない。

 

 

 

両者合わせた比較

 

ヒメロンのアリ・ナシの状態の違いが良くわかります。

 

 

 

 

 

遮光材料と光ノイズ減衰度比較

 

ヒメロンは

HN603(0.15mm)、HN604(0.25mm)、HN606(0.35mm)

さらに

 HN611B(0.55 mm)、HN620B(0.90mm)、HN630B(1.50 mm)、HN640B(1.80 mm)

を入手したが、「HN606」が遮光と音響上のバランスがとれている。

 

 

 

  ヒメロンによる高域低下の懸念について

 

HN606BをMEMSマイクの音孔に装着すると、PWM光に起因する光ノイズは約20dB低減し、高調波成分はほぼ消失した。一方、10kHz、15kHzで正弦波による音響透過試験では装着前後のレベル差は0.5dB未満であり、実用上ほぼ音響特性への影響は認められなかった。また、Primo製ECM「EM80」に使用されている純正音響不織布との比較でも、遮光性能および同高域透過特性はほぼ一致した。

 

「遮光」「高域音声通過」という相反する作業をみごとにこなしてくれた、すなわちHN606Bは「音響抵抗ゼロ」といって良い。

 

 

 

あとがき

タネをあかせばどうってことのない今回の話です。

しかし、なぜMEMSマイクメーカーはいままでにこれを実施してこなかったのだろう?、SMDパーツとしてヒメロンの追加は生産性に逆行するからなのだろうか。

 

 

そうすると、Knowlesの「光ノイズフリー構造」もInfineonのこの点に対する徹底的な内部処理もさることながら、両社とも全く別な高度なアプローチでこれを克服していることには頭が下がります。

 

私たちは「組み込みマイク」ではなく「一般マイク」としてこのデバイスを流用しているのでSMDである必要すらない。

つまりデバイス段階で手も足も出ないことも、外部でいかようにもできること、これが今回の勝利となりました。

 

ICS-40730は生産中止になったが、Shinには大量に保管分がある。

 

 

 

 

次編ではさらに具体的に進めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 かつてMEMSマイクの「巨頭」と呼んだICS-40730である。

 

かつてMEMSマイクの「巨頭」と呼んだICS-40730である。

途中ロットより既発表の「手はんだ法」では成功率が低くなった。

発想の転換、「手はんだ法Part2」より成功率は90%を超えた。

 

 さらに次編ではICS-40730の光ノイズ対策を予定しています。

 

 

 TODAY'S
 
MEMSマイク手ハンダ法 Part2

(ICS-40730)(Mouserより購入  2025年3月入手ロット)

 

 

MEMSマイクはきわめて小さい。

良かれと思っても「治具」などかえって邪魔、仮固定には両面テープが最強です。


平らな台の上に両面テープを貼り、音穴からのフラックス・溶剤カスなど異物のメンブレンへの付着・混入を最低限に抑える。これにより成功率は飛躍的に高まる。

 

MEMSマイクICS-40730 を両面テープ上に置く。

塗装マスキングテープで音穴をふさぎ、GNDパターンは最低面積を残しておく。

 

 

クリームはんだ(ペーストはんだ)をはんだ付け箇所に爪楊枝の先で電極に少量を薄く塗る(落とす)。

 

 

 

こて先温度は約470℃と十分な高温設定にした、500℃でもでOK。

(白光FX-600)(高温で一瞬にしてはんだ付けを済ます)

 

 

 

 

これには法則があります。(注1)記事後ろで説明しています。

 

Time x Heat Temperature(THT)=100未満ではんだ付を終えること。

 

例えば470℃X0.2秒ではTHT値は94、     0.1秒では47です。

これを守ればMEMSマイクは壊れません。

 

 

各箇所0.1秒で「予備はんだ」をおこなった。

(こて先を一瞬当てるだけで"光った半田"が見える)それでいい。

 

 

はんだ付けの「局所的な熱」をデバイス内に広げない工夫が大切

低めの温度で同一箇所にいつまでもこて先を当てる事は最も危険。

 

 

 

リード線を0.1~0.2秒ではんだ付け。追はんだ厳禁!

 

(半田付けの仕上がりにこだわってはいけない、電極に付けることだけけが目的です)

 

 

 

注1)リード線はAWG32撚り線およびGND線は0.1mm2本撚りエナメル線、いわば「細線」を使用して一瞬ではんだ付けを完了させる。(それは半田付けの局所的な熱をデバイスとメカニカル構造に広げないためです)

 

注2)決して「理想的なはんだ付け」をしようと思わないでください。「ガッチリさ」は接着剤にまかせます。

 

それは温度と時間の掛け算(THT)を100未満にする為です。

 

 

 

防護テープを剥がし、基板に接続して音声を試聴する。

(音声レベル、周波数特性、SN比にバラツキがあるはずです)

 

 

 

 

手はんだの仕上げ(アフターヒート)

この「仕上げ」でマイクロホンの音質・SN比・周波数特性・ノイズフロアーレベルなどが決まります。

 

 

 

「100℃未満 サーマル・アニール・リカバリー法 TM」を組み合わせ、MEMSデバイスの音響状態の均一化をはかる。

このあと音声を試聴する(小音量でモニターしながらがお薦め)

 

「100℃未満 サーマル・アニール・リカバリー法 TM」は既に侵入したフラックス・溶剤カスなど異物が熱風により吹き飛ばされ、音声レベル、周波数特性、SN比ともに同一化整理されます。

 

 

既発表の手はんだ法の決め手は「プレヒート」でした。

これに対し「アフターヒート」というべき工程となりました。

 

 

 

 

 

(最後に)

2液性エポキシ接着剤ではんだ付け部を覆い、仕上げとなります。

リード線を半田付けした箇所の補強および絶縁をおこなう。

このあと音声を試聴する。

これで6Φ  t=0.2SUパイプにフロントメッシュと一緒に仕込んでも一切ショートなどしません。

 

 

 

 

 

 

THT (Time x Heat Temperature) について

THT=100未満が鉄則です。

 

 

 

(筆者の経験から)
THT (Time x Heat Temperature) = 小手先温度x半田付け時間
「100」を超えるとMEMSマイクの破壊率は急激に上昇します。 

たとえば

470℃×0.2=94(〇)

400℃×0.2=80(〇)

350℃×0.2(秒)=70(
350℃×0.3(秒)=105(△)
350℃×0.5(秒)=175(×)
200℃×1(秒)=200(×)
180℃×1(秒)=180(×) 

180℃×3(秒)=540(×) ・・・(注2)

コツは、大きめで温度調整付き半田ごてで「シュン」と一瞬で済ませ、指をあてて冷やす。指はヤケドなどしません。

厳禁なのは「精密作業向き」とされる「コテペン」や15W未満の小さいコテでいつまでも「ゴチャゴチャ」やることです。 (注2)

また太い線がNGな理由は、冷めるまで時間がかかるためTHTが簡単に100を超えます。

したがって、あり合わせの線材使用は大変不適切で危険であり、さらに「シールド線」は最も危険な線材です。

 

MEMSマイクへのリード線付けは必ずAWG28~32の撚り線材を使います。

 

 

 

 

 

あとがき

ICS-40730は基本性能がブッチギリ良いのですが、最近のロットで手はんだの難易度が高くなり、光ノイズに対しまったく無防備である、

そんな理由から約1年間使用を避けてきたもったいないMEMSマイクでした。

 

本篇では「手はんだ法 Part2」としてICS-40730の電極へのはんだ付けの不安定問題をクリアさせました。

 

 

次編はICS-40730の光ノイズ対策を予定します。

 

以上

 

 

 

 

 

 

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