【ご注意】
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ただし記事から得た情報の利用公開については出典・引用をあきらかに、管理人の指示に従ってください。
YOUTUBE で
新発売のZOOMのF3フィールドレコーダの設定ノウハウや使い勝手と併せて当ブログ記事を参考にされ、MEMSマイクを精力的に研究・自作され発信しているAさんの作品を参考にさせていただきました。
(今回の記事はAさんのご了解をもとに公開しています)
「ZOOM F3」はかわいい手のひらサイズでありながらデュアルADコンバータを装備し32ビット、フローティング録音は絶大な威力を発揮し、今年1月に新発売後大ブレークしたまま、筆者も求めているが「納期未定」。
入力部はXLRのみ、ファンタム48V給電問題なし。その他のinputを持たないことで余分なトラブルを避け、高品位なマイクAMPとDual ADコンバータによる32bitフロート録音、の絶大な能力が光ります。
YOUTUBEでAさんが発表されたノイトリックのL型XLRコネクタに収納したコンパクトなマイクはデザイン的にも、このヘビーデューティな超小型高性能フィールドレコーダーにはピッタリ、「純正」のような自然な出来あがりです。
Aさん製作の「ZOOM F3/MEMSマイク」 (YOUTUBEより)
一方、こちらはそれを参考にShinが製作したものです。
(2022.6.1追記)
Aさんの作品はKnowles SPM0687LR5H-1が使用され、私はInvensense ICS-40730を使用しました、その違いだけでしょう。
機種名を「L-730 mems」と命名しました。
いわば「ProbeⅡ」のL型版。外形はAさんの作品と同一です。
その「ProbeⅡ」とはこんな音、最新MEMSマイクの実力にはじめて触れたかたは「エッ?」と驚くそうです。(この録音はZOOM H6使用です)
「L-730 mems 」 ZOOM F3向けマイク(左右対称に作りました)
追記
※のちに2023年2月 このクラシック録音をおこないました
https://youtu.be/PhHZx3lNI8A 驚きのコメントでいっぱいです。
実はまだ筆者の手元にF3の現物が届いてない為、読者のみなさまにはAさんの作品をYOUTUBEで参照いただく事を含め、コラボ記事とさせていただきます。
「L-730 mems」マイクロホン製作記録
(ノイトリック L型XLRコネクタについて)
ノイトリック「NC3MRX」を完全にバラして使用します。
L/Rで基板収納は180度変えます、「切り欠き」を合わせます。
(マイクの左右で実装法が異なります)
(使用ステンレスパイプについて)
藤野金属のステンレス(SUS)パイプ: φ6.0×t0.2×2000Lを使用しました。
外径6.0mmですが t(厚さ)=0.2mmという薄地のため内径は5.6mmです。
メッシュに包んだMEMS(ICS-40730)を収納しました。
実際にこれをやってみると・・・・・
「そもそもステンレスメッシュに包まれ、線付部をエポキシ絶縁されたICS-40730を6Φパイプに通すことができるのか?」という疑問に襲われます。
考えられないような隙間でも犬もネコもアタマが通ればまずまちがいなく通り抜けられるのと同じです。
「為せば成る」を絵に描いたような現実。
・パイプ端面だけは6mm~6.5mmドリルでザグって入り口を入りやすくすることが肝心。
・パイプ内側の「バリ」をダイヤモンドやすりで徹底的にサラっておく。
・成型メッシュに包んだICS-40730は手の中でよく揉んていくとMEMSの外形になじんでいく。
・「はいれ!」と念じて頭から入れていくとメッシュ包みのMEMSは入っていく・・・はず。
・「軽い抵抗感」などではとても入らない場合はパイプ端面処理をやりなおし。
・うまくいくときは竹串を使って押していくと「スッスッ」と進み、反対の端面から顔を出す。
そうしたらMEMSの音穴を1/2まで顔を出させてSTOPする。
・最後にパイプとメッシュとの間1mm程度をエポキシ接着固定する。
・決して無理やり押し込んではいけない、これはICではなくメカトロパーツなので変形破損します。
・線付けしたICS-40730をエポキシ絶縁したものに無理な力が加わって絶縁が破れてしまい、メッシュの金属に触れる場合は最初からやり直し。
(だからマイク製作はあらゆる工程で実モニターが必要なのです)
・このようなことから使用線材選びは「命」なのです。(AWG-32や0.1mmエナメル撚り線使用)
一般的には6Φパイプの場合、t=0.5mmですのでその場合の内径は5.0mmとなります。
ICS-40730は不可能ですが Knowles SPM0687LR5H-1でしたら収納できます。
しかしここではt=0.2のパイプ使用でICS-40730が使用できました。
※なおこのパイプは7mmとかこれより太くするとMEMSマイクはこの向きでは背面の「管共鳴」防止音響処理がかなり難しくなると思います。
(管共鳴防止処理)
竹串を使い脱脂綿をピッチリと詰めます。量は0.06gでした(化学綿NG)。
パイプにマイクカプセル・ユニットを仕込む場合の最大難題は「管共鳴」(レゾネーション」です。
有害なレゾネーションはカプセル・ユニットの前・後ろそれぞれに発生し、適切な回避策が必要です。
また音の進入路を90度折り曲げた場合は一層難しくなります。
今回はMEMSマイクの音穴を管より1/2顔を出す方法をとり、さらに背面の管共鳴は脱脂綿の密充填による r m(音響抵抗)により実質的に管の音響的Qを無効化しています。
(ステンレスパイプのGND処理)・・・誘導ノイズ対策
電子機器を構成するなかで「浮いた金属」であるステンレスパイプはこのマイク最大表面積の金属であるXLRコネクタシェルとの間に高周波的に一切のインピーダンスを持ってはいけません。
分散した金属同士は異なった大地電位を持つコンデンサです、互いに周囲電界に対し異なったポテンシャルを示します。
この為「金属部を手でさわるとハムが止まる」または「さわるとハムが出る」という障害にぶつかります。
しかしそれは典型的なEMC上の設計不良です。
金属パイプとコネクタ部の2つの分散した金属は高周波的に同電位一体化した構造が必要です。
「EMC」(電磁環境両立性)適応構造です、ご参考ください。
なお基板を覆っているのは寺岡「ガラスクロステープ」による絶縁です。
3Mの導電性銅箔テープ No.2245は表裏(粘着面)間で限りなくゼロオームに近い導通がありますので今回の使い方にピッタリです。
(データーシートが添付されています)
今回はパイプをアルミホイルで固く包み、それを「3M導電性銅箔テープ」で包み、半田付を可能にして太線(AWG-24)でシェルアースをおこなってステンレスパイプとの同電位化・グランディングをはかりました。
(この場合のグラウンディングは分布定数の等価的接地であり「大地アース」を意味しません)
金属筐体のマイクは「適当につくる」が最も不適当、原理原則に従うことが成功への早道。
不可能な場合「あきらめる」も宇宙の法則です。
ところで、そのままではコネクタ(筐体)が結構ガタつきます。
(対策が必須です)
「ボンドG-17」限定、上写真のように接着剤を薄く点置きし、接着力がなくなるまで乾燥させる。
これで勘合させた場合、ボンドはゴムパッキンの役割となり一切のガタつきはなくなる。
(基板の様子)
基板、作り込みの様子:4x4穴(11mm長にすべてを納め切りました)
上蓋にぶつかるため基板GND側角を少し切り欠きます。
基板をXLRコネクタと分離してシェル内に絶縁して収納する方法もあります。
(回路図)
回路的にはケーブル延長を考える必要が一切ないため「ProbeⅡ」と同一回路を採用した。
なかでもこの場合ICS-40730は差動使用に期待できるものは何もなく、むしろシングル接続の結果に一日の長があります。
これはデーターシートから判明しますので筆者もその後差動使用をやめました。
(完成)
一般動作確認ではProbeⅡ同様の高品位なマイクに仕上がった。
◎「入荷未定」のZoom F3の入手がいつになるのか、その時は絶大なる相棒になることでしょう、入手が待ち望まれます。
(5/16) お待たせしました、
この記事「2217 :緊急告知 ZOOM F3はここで買える」の通り
ZOOM F3を入手することができました。
💓 「L-730mems」 (上写真、シルバー・黒)はご注文により製作・領布いたします。 下記メール窓よりお問いあわせください。
おしらせ
fetⅡ、fetⅡi、fet3、LZⅡb など、読者のみなさまからのご注文により人気機種の製作領布を承っておりますのでお問い合わせください (いまや貴重品、秋月のパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作します)
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡおよびFetⅡmemsも同様にリリースしています。
モノ作り日本もっと元気出せ!
【おことわり】
★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。
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Shinさん独特のこだわりと非常識をもって音響の世界を刺激してまいります。
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