【ご注意】
★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリもOKです。
ただし記事から得た情報の利用公開については出典・引用をあきらかに、管理人の指示に従ってください。
今もっとも新しいMEMSマイクと向き合う
これは発売前の入手品です、まもなく注文を受付けると思います。(2022.5.28現在)
周波数特性:20~20000Hz
感度 :-37dB±1dB
SN比 :73dB (A)
AOP :135dB SPL
Noise Floor :-111 dBV(A)
サイズ:3 x 4 x 1.28 (このクラス最小)
ICS-40730: 3.72 × 4.76 × 3.5
SPM0687LR5H-1: 3.76 ×4.72 × 1.15
(2022.6.3追記)
ICS-40730と人気をニ分するかもしれない予感。
ただしこちらは、より超小型、かつ差動出力のみの為取り扱い難易度は高い。
前記事でご紹介した Infineon社の新製品「IM73A135V01」はまさに新雪を踏むような新鮮な気分、バラック実験ですが大いなる可能性を認識するまでテスト開始から10秒とかかりませんでした、「マイボイス・リアルタイムモニター」はそんな能力を持っています。
それにしても空中配線アリのバラック状態ではあまりにも可哀そう・・・
「美しい音は美しいカタチを求める」は座右の銘です。
そして「ProbeⅡ」形状のマイクとしてカタチにすることにしました。
ECMでも同様ですが、バラック状態の「米粒マイクではリード線鳴きも避けられず軽めの音、質量の高い金属ケースと一体化することでしっかり「腰の入った音」に変った。
(故江川三郎氏の「メカニカルアース理論」参照)
新MEMSマイク「IM73A135V01」はそのサイズからは想像もつかないしっかりした設計・音作りがされている驚くべき内容が確認された次第です。
音源(ギガファイル) ダウンロードなしで個別に聴けます(2023.10.8迄)
MEMSマイク3種類トーク音声比較 .wav
1.Infineon IM73A135v01 (ProbeⅡinf 使用)
2.InvenSense ICS-40730 (ProbeⅡ 使用)
3.Knowles SPM068LR5H-1 (ProbeⅡkw 使用)
*PC録音(オーディオI/FとしてZOOM F3使用)
車両走行音 IM73A135v01.wav
*ZOOM F3による録音
Infineon IM73A135v01 (ProbeⅡinf使用)
*ZOOM F3による録音
(次の特徴があります)
1.InvenSense ICS-40730と酷似した良質な音。
2.135dB/Aの高音圧を無ひずみ(THD10% )で許容する。
つまりICS-40730 の124dB/Aを11dB上回る。
3.SN比73dB/AはICS-40730の74dB/Aとほぼ同じと見て良い。
4.ダイナミックレンジは110dBとみられこのクラス最高値と思われる。
5.ノイズフロア111dB、圧巻の静寂を許容する。
6.極端なサブソニック(超々低域)が抑えられた「ウェルバランス」設計。
7.Vddの値によりNomal modeとLow power modeの動作が自動移行する。このためファンタムフィード回路のブリーダー抵抗値が動作modeを決める。(MEMSマイク接続状態で動作電圧を測定する必要あり)
8.マイク回路でのツェナーダイオード(雑音発生デバイス)使用はこのサイト設立以来、「禁忌」としております。
9.差動出力で使用する。(シングル動作はS/Nの点で不適切)
10.高域のしゃくれあがりは感じられない。
11,80kHzまでの超音波マイクとして優れた特性をギャランティしている。実質は100kHzを超えていると思われる。
(長所)
1.電気的ショックにはきわめて強く、誤配線・誤使用でも比較的壊れにくい(ICS-40730比)
2.公称感度偏差±1dB以内は事実上「無選別ペア化」が可能。
3.きわめて小さいためマイク製作の自由度が広がる。
4.あの忌まわしい「プラグインパワー」なる欠陥方式では絶対に動作しない。
(短所)
1. 4(5)つの電極が極小サイズ(3×4mm)の中に密集していて結構精密作業となる。
2.芯線が多くなりセパレート型(ピンマイク、バイノーラル、ダミーヘッドマイク)としては手間がかかるだろう。
Mogami 3019など3芯シールド線が必須となります。
3.なにしろ名前が長い (*_*;
ProbeⅡ形状マイク(ProbeⅡ inf)の試作
先端部のパイプサイズは「ProbeⅡ」6mmに対し試作品「ProbeⅡinf 」は1mm細い5mm、AMAZONなど一般市販のステンレスパイプが使える。
「手作りマイクにもっとも大切な要素は「手づくり感の排除」です。
音はその精神状態になじみ、それについてくる。
これまでの自作マイクに多くみられたのはむき出しの「自作っぽさ」ですが、筆者がマイクつくりに注力するポイントは「自作感の排除」というこだわり・美学にほかなりません。
!後日 パイプ構造をバージョンアップ
(接続図)
(リード線について)
AWG-32~36が適正ですが実質的なところでAWG-32です。
千石電商にあり。
このシリーズのAWG36は芯線の引き出しもままならないのでおすすめできません。
あり合わせの線材使用はECMではなんとかなってもMEMSマイクでは絶対に不可能です。
なんとかなるだろう、ではどうにもならなりません。
新しいことに挑むときはそれに等しい覚悟が必要です。
リード線色分け (筆者の場合)
1:黄 2:赤 3:白 5:極細エナメル撚り線
(MEMSマイクへの半田付け)
1.プレヒート
ヒートガンを使用して約100℃、1分間「プレヒート」をおこなう。
(これを省略して半田付けに及ぶとMEMSマイクは熱破壊し、まともに動作しません)
このパーツは量産工程での「リフロー専用パーツ」の流用であることを認識しなくてはなりません。
2.「クリームはんだの使用=瞬間半田付けの必須ツール」
爪楊枝などを使って電極4か所に「クリーム半田」を乗せる。
(ムリヤリ一般半田使用しても予備半田すら0.2秒では不可能、低温半田ならどうか・・・というズレた意識は禁物)
3.コテをあてる
コテ先を一か所0.2秒程度当てるだけで端子の予備半田は完了する。
(チョン・チョン・チョンで完了、MEMSマイク1個 4か所合計で3秒程度)、あとは指をあてて冷却するなどしてそれ以上時間をかけてはいけません)
4.下写真のように各電極にリード線を半田付する。
頭を切り替えます。(従来型の「電子工作」ではありません)
(予備半田済みのリード線=AWG32またはそれより細いモノ)
GND線は0.1mmエナメル撚り線を使用しました)
ProbeⅡ形状では全長200mm位。
シールド線の場合は3芯シールドのMOGAMI 3019(AWG-36)が直接半田付けできます。
途方もない半田付ですが対象が小さいからといって15Wクラスの「精密コテ」では失敗します。(筆者は白光のDFX-600=50W温度調整付を使用しています)
温度も350℃以上、指あて冷却を含め瞬間的に半田作業を終わらせるのがコツです、予備半田がきちんとできていればこれも0.2秒で完了。
まだ5~6個しか線付けをおこなっていませんがオシャカになったMEMSマイクはまだ1個もナシ。
この作業は前にも申し上げていますが、肉眼で行います。
ヘッドルーペなどで作業が慣れているかたなら別ですが、得てして遠近感の不自然さが原因で「コテ先の長当て」やこて先のマト外れなど思いがけない失敗の元となるかもしれません。
もっとも危険なのはコテ先の長当てです、0.2秒+指冷却でまちがいなく済むなら構いませんがヘッドルーペ作業は私には不可能です。
その失敗結果は品質管理されたMEMSマイク本来のコンデションから外れた音声として現れます。
特にレベルのバラツキと低域不足はその典型的な症状です。
リード線付けが終わったら2液性エポキシ接着剤で固定・絶縁。
この状態でステンレスメッシュ包みをおこないます。
ステンレスメッシュとMEMS筐体、そしてパイプ~本体GNDと、「GND構成する金属同士」は限りなく0Ωの関係であることが求められます。
(管鳴き防止)
D=4.0 L=75mmにて閉管動作させた時の管鳴き周波数はほぼ1kHz。
聴感上、かなり大きなピーク「Q値」を伴い可聴域を汚します。
脱脂綿の密充填により、「管共鳴」は完全に抑えられます。
充填する綿の量も約0.3gと、このパイプには「莫大」となる量を使います。
1.3M銅箔・導電テープ 2245(代替品ナシ)にて外形を太らせます。
2.秋葉原「小沼電気」のPhone/XLR変換プラグ(91M-602)をベースに製作し、6.3mmジャック部臓物を取り除いて筒部だけにする。
入手困難な場合はCLASSIC PRO AXP-221でも製作は可能ですがデザインランク(見た目)は小沼の方がぐっと上位になります。
3.MEMSマイクを実装したパイプとPhone/XLR変換プラグを電気的一体化して組み合わせることが肝心です。
このとき2液性エポキシ接着剤にて両者を完全に接着すると同時に3Mの銅箔導電テープ 2245(代替品ナシ)による電気的な接合を生かし、ファラデーシールドを確保させます、不完全な場合はハムります。
(試作マイク「ProbeⅡinf 」回路図)
本マイクロホン回路はInfineon IM73A135V01に適正化しました。
ブラックボックスな「MEMS」相手につき思い違いがあるかもしれません、
ぜひIM73A135v01のデータシートを参照をしてご一緒に考えましょう。
★お気づきの点がありましたらご連絡ください。
あとがき
新MEMSマイク到着からまだ数日。
本国ドイツでは昨日(2022.5.31)に発表されています。
一刻も早くみなさまにこのMEMSマイクのレビューをお伝えしたく、一足先の到着と同時に実験を開始しました。
翌日までにはオーバービューとしての判断は完了でき素晴らしいMEMSマイクとの出会い、うれしさで指を立てた次第です。
なにしろ「バラック配線」のMEMSマイクではいかんともしがたいものが有り、ProbeⅡ形状のマイクとして作りこむ中で新しい発見をまじえてお伝えしたい、と頑張りました。
今後設計変更前提でお願いします。
情報としては不完全、あるいは部分的には誤っているかもしれません。
どうぞお気づきの点はメールにてご連絡くださるようお願いします。
★ 本記事の無断ネット盗用は犯罪です。
以上
※ このマイク「ProbeⅡinf 」は個人の方に限りご注文による製作領布を承ります
おしらせ
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モノ作り日本もっと元気出せ!
【おことわり】
★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。
★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。
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Shinさん独特のこだわりと非常識をもって音響の世界を刺激してまいります。
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