2505 :MEMS単一指向性ブロック内臓 Probe型マイク V2の試作 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

 

 

 

これは試作です。

 TODAY'S
 
ちいさいものは小さく、大きいものは大きく

という必然性はMEMSマイクでも同じ、

しかし「小は大を兼ねる」マイクロホンの世界では「取扱いに適した大きさ」と視覚的デザインもまたマイクロホンとしての大切な要素です。

 

そんな基本概念で2021年に誕生したのが「ProbeⅡ」です。

このデザインはそれ以降のProbeシリーズMEMS型マイクにすべてに採用し、おなじみになりました。

 

 

台湾メーカー製「91M-602」という6.3mm Phone~XLR変換アダプターを使っており、ステンレスパイプを追加して「測定マイク形状」にしております。

 

91M-602は入手困難な場合、Sound houseのClasic pro AXP-221も使えます。

デザイン性はともかくこちらの方は工作しやすいのが特徴です。

 

 

 

 

丸いパイプに入れるMEMS単一指向ブロック

 

※ 細いMEMS単一指向性にしたい

今回もsoundskritのSKR0600(双指向)使用です。

 

複合型指向性マイクを構成する為には従来の縦方向装填だけでなく、横方向装填もこのパイプ内で行いたい、しかし丸い細パイプに四角いMEMSマイクはなじみにくい。

 

 

Western Electric 639A(B)由来の「双指向性」と「無指向性」ユニットからなる2つのMEMSマイクを装填して、細パイプ上で「単一指向性」を形成する一つの方法がひらめいた。

 

 

 

 

 

 

 

(その実態は)

 

 

 

(原型)

このシミュレーションを「単一指向性カプセル」(複合ブロック)として具現化させました。

 

 

 

 

フロントメッシュの内側には「ヒメロン」=(音響抵抗調整用不織布)を2枚重ねで音響調整。
 
フロントメッシュは金属製、これでマイクブロックのファラデーシールドを完結させる。
ここが開いていたり、接地が完全でないと低インイーダンスであるはずのMEMSマイクもケース金属間のインピーダンスが高くなり、対地間で交流電位を持つようになります。このため誘導ハムが発生し、実用になりません。
 
ヒメロン:ECMの前面に貼られた黒い円形不織布が「ヒメロン」です
 
 

 

 

 

 

回路・指向性

 

(回路)

 各部位相・極性注意

 

 

 

音の特徴

 

Checkと発音したChe部分のスペクトル波形

(周波数スケールは20Hz~100kHz)

 

特徴はきわめてワイドレンジであり、特に注目したいのはMEMSマイク特有の20kHz付近のピークは一切なし、超低域~約40kHzにわたって分布しているのが一目でわかります。

 

音質:お聴かせできないのが残念ですが、正面の音は「ProbeⅡ」「ProbeⅡinf」などと酷似しています。

 

近接効果により20cm未満は低域の出方が綺麗です。

背面にほとんど感度がないためヘッドホンで環境騒音を聴いた様子は無指向性型とは大きく異なり、騒々しさがありません。

 

 

しかし現状ではさらに作りこみが必要と考えています。

「サ」行強調低域不足もクリアし、完成度は上がってきました。

Shure BETA87Aとほぼ同じ感度、同じ音になりましたが・・・

 

しかし

こんなので手を打っちゃダメなんです。気に入ったところが本当の仕事のスタート点、メーカーを超えなければマイク手作りの意味はないでしょう、マイク作りは楽器作りと同じなんです。

 

 


 

 

(指向性)

 

今回の測定によるProbe 型 V2の指向性パターン

 

 

 

前モデル Probe 型 V1の指向性パターン 記事2504 でした。

 

 

Probe 型 V1(試作):SKR0600+ICS-40730

Probe 型 V2(試作):SKR0600+SPM0687LR5H-1

 

 

 

まとめ

今回マイクは方式が違うにもかかわらず、聴感上の指向性感が前回記事2504の試作品と比較してあまりにも似ているため、測定してみると0°~120°の指向感度は同一値、パターンも同一。

そして前回のV1で生じた150°の暴れは本機では静まり、良好な「カーディオイド・パターン」となった。

 

音質は前出の通りSure Beta 87Aほぼ同等。

 

ここまでの音作りで必須となるのは「耳」だけではなく「定番マイク」の存在です。

それは「好き嫌い」の問題ではなく「質」「キャラクタ」としての「お手本」です。

 

比較対象として、AKG C-451EB、C-480B、C-414XLⅡ、SONY C-38B、AT ATM-35、Oktava MK-012、そしてShure BETA87A、すべて業務用コンデンサマイクです、単一指向性モードを使いました。

(コンシュマー用を手本にしても何の役にも立ちません)

 

オフマイク適正を探るならC-480B、MK-012を。

オンマイク適正ならBETA87A、クリップオン適正はATM35を、

「安全性、中庸」ならC-38B、オールラウンドならC-414XLⅡ、C-451を、というようにモデリング相手が異なります。

 

現時点ではSN比の点でオフマイクには届かず、どうしても「オンマイク適正」を探らざるを得ません。

 

これら比較マイクなしで単一指向性マイクを設計、自作するならば、それはGPSもコンパスもなく砂漠を走るようなものです。

「測定器があるから大丈夫」・・??、それは無知をさらけだした不可能を絵に描いたようなバカげた妄想です。(70年~80年代の国産マイクの失敗で試され済み、とにかくひどかった、業務用未満製品では現在のC国製マイクに遠く及ばない製品で溢れた

 

 

それにしても「MEMS単一指向性」の音響回路(機械的等価回路)の特殊性・理解しにくさは、私には半端なく難しいです。

未踏領域を開いていますので「原理原則」には忠実に動いていますが、思わぬアクシデントが待っているかもしれません。

 

しかしここからが本番です。

 

 

 

ご存じですか?

 

[ご注意!] 正面向きに組み込まれたのMEMSマイクはMEMSマイクの光電作用で、正面の明かりによりノイズを発することがあります。照明のあたった舞台に向ける場合、注意が必要です。

「照明ハム」というShinの初造語を登場させざるを得ません。

 

その対策はMEMSマイクの正面向き装填をやめるか、光を遮断する以外にありません。

 

ほとんどの場合、黒ウィンドスクリーンで防ぐことができますが、照明光が強い場合はモレて「照明ハム」を防げないことがあります。

 

恐ろしい補足:この作用は一般コンデンサマイクでも多かれ少なかれ発生を確認しております。

実験結果はこちらの記事にあります。

 

したがって、今回の単一指向性方式は実用にならないことが判明。

出直します。

 

 

 

以上

 

 

 

 

 

 

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