2504:soundskrit社のMEMSマイク初使用 複合単一指向性マイク試作 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

 

 

 

MEMS単一指向化、肝心カナメはココです

 

  MEMS単一指向性マイクを実現するための基本的コンセンサス

 ! これは試作です。

 

 

  他方式と違うMEMSマイクの音響構造

 

音の到来方向と直角にダイアフラムの張り方向を向ける従来型マイクカプセル(ユニット)とは大きく異なります。

 

 

 

 

MEMSマイクは一般のマイクカプセル(ユニット)とは異なり、機器内臓を前提としたマイクデバイスとして設計されています。

上に並んだ一般マイクデバイスとMEMSマイクを動作原理において「同一」とするにはきわめて無理があります。

 

 

外部音響ポート使用を前提とした音響設計がなされ、MEMSマイク単体を音空間にさらすことは、もともと考えられていません、「音響ポート」、それはMEMSマイクの小ささと波長由来のワザです。

 

この点でMEMSマイクを、あえて自作マイク材料とした場合、他のカプセル、ユニットとは大きく異なります。

 

さらに無指向性の場合「音場型」の概念が一般に理解が薄いことはMEMSマイク使用自作マイクに一定の障害になっています。

 

正しいが、誤解の元となっている「従来型マイク」動作説明例

(MEMSマイクは構造も形状もこれとはまったく違う、そしてすべてが極小です)

 

 

 

振動板の張り方向とは関係なく、パーツとしてのMEMSマイクに音響接続された「外部に設けた穴(音響ポート)を音の入り口」として使う、という従来常識の範疇にないマイクロホンデバイスです。

 

MEMSマイクではこの音の到来方向に向けた「音響ポート」面が正面、振動板(ダイアフラム)の向きがどうであれ、これが「正面」となる。これは無指向、双指向、単一指向問いません。

 

 

この「音響ポート」概念が自作マイクの世界ではまったく知られないまま、上図のみを正解とする誤り・古い考え方により大いなる誤解を招き続けています。

 

この事をあいまいにしたまま「MEMS単一指向性」実現は不可能であると判断した為、最も大切な要素を冒頭記としました。

 

 

 

 

  soundskrit 社双向性MEMSマイク初使用 複合型単一指向性Probeマイクの試作

 

 

 

 

今回はカナダにある新進の指向性MEMSマイク専門メーカー、「soundskrit」社の双指向性MEMSマイク、「SKR0600」を初めて採用しました。

 

 

 

 双指向性+  無指向性=単一指向性

 

 

 

双指向性側に「SKR0600」、無指向側に「ICS-40730」を使った複合型単一指向性マイクの試作です。

 

 

出来上がったマイクは指向性能も音質もsoundskrit 社の「Demo Kits」商品を超えます。

 

ただしSN比は67.5dBと、これまでの70dB超えの無指向性MEMSとはやや異なるため、オフマイク使用には厳しいと思います。

 

 

Soundskritの双指向性MEMSマイク「SKR0600」

MEMSマイクとしてはユニークで美しい外観です。

 

TOPカバー側は音響的に裏側、電極面が表側になっています。

ただし、「双指向性」ですので、出力極性を反転すればTOPカバー面を表側にすることも可能です。

 

 

 

SKR0600電極配置(Bottom View)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TODAY'S
 
Probe u2 試作MEMSによる 双指向+無指向=単一指向性マイク

 

指向性について

 

(at 1kHz 実測)

比較的きれいなポーラパターンではありますが、一般家庭の居間での測定ですので限界を考慮の上、ご参考ください。

 

 

 

 


チューリップ双指向性+無指向性による指向性の生成は

 

双指向性(∞)と無指向性(〇)の合成比によって

双指向 → ハイパー単一 → 単一 →オムニ単一 →無指向 に調整、設定することができます。

 

ただしECMやコンデンサマイクカプセル、DCバイアスダイアフラムとは大きく異なるMEMSマイク独特の音響構造の制約から、簡単には思い通りにならないのが事実であり、この点がもっとも難儀するポイントであります。

 

しかし「前回の記事:2502」の無指向性2個によるものを含め、「MEMS複合型単一指向性」マイクの大きな利点があります。

 

それは、MEMSマイク特有の20kHz前後のピークが完全に消え、フラットになることを発見しました。

 

 

 

 

 

単一指向 Sound Probe部の構成

 

 

1.「単一指向性シミュレーション」

 

双指向性+無指向性方式はこの方法でシミュレーションして「複合ブロック」の形状、レベル差、ポーラパターンほかパラメータを取得しました。

 

実現性を確かめるにはきわめて手軽で良い方法のようです。

 

 

 

 

2.「複合型 単一指向性MEMSマイクブロック」

 

主要部は「soundskritのSKR0600」と「InvensenseのICS-40730」を複合化した「単一指向性MEMSマイクブロック」です。

これを7mm(内径6.6mm)パイプの中に実装しました。

 

 

MEMSマイクの(光電作用によるノイズ防止のため正面音穴にヒメロン(黒色音響不織布を貼った)

 

 

シミュレーションによって得られたパラメータを反映させ、聴感と指向性測定により「指向パターン」、「オン・オフマイク適正」「音質」をある程度、粗読みをおこなった。

 

この形状は、バラック試聴だけでなく、筐体に収納しておこなうといろんな点が見えてくる、ヘッドホンモニターにて追い込んでいく。

 

 

3.「複合型MEMS単一指向性 Sound Probe」部

複合型単一指向性MEMSマイク「Sound Probe」部

 

 

(先端部に「単一指向性MEMSマイクブロック」が実装されています)

 

脱脂綿の適宜充填により管内共鳴防止と音響抵抗として指向性の調整、と音作りをおこなっております。

 

この状態で十分に「試聴」「指向性チェック」が必要です。

 

 

 

 

 

4.実装図

 

 

 

 

 

 

回路図

 

今回の回路はおなじみの「Shinさん回路」、信号の極性関係にはご注目いただきたい。

 

 

 

 

 

特記事項

1.「双指向性」+「無指向性」での「単一指向性」を細パイプ筐体で形成させました

 

2.「指向性」は双指向性側と無指向性側のレベル比および等価条件で決まります。

 

3.今回は音源に対し正面向きとなるためMEMSマイクの光電作用」によるノイズ(ハム音、キーン、ビー、ジュルジュル)防止のため、MEMS音穴に音響用黒色不織布(ヒメロン)を使用しました。

ただし、それでも不足する場合は黒色ウィンドスクリーンの使用を前提とします。

 

4.オフマイク適正、オンマイク適正、超オンマイク適正はおのずからノウハウが異なる事を前提にして取り組んでまいります。

 

 

ご注意! 正面向きのMEMSマイクはMEMSマイクの光電作用によるノイズを発します。対策は光を遮断する以外にありません。

 

 

MEMSマイク単一指向化プロジェクトは、この先もあらゆる方式を模索してまいります。

 

 

以上

 

 

 

 

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