2313 :MEMSマイクの光電作用を実験・検証、そして | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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  MEMSマイクの光電作用を実験・検証、そして

(プロローグ)

MEMSマイクには一般に知られない重要な物理的ふるまいがあることがわかり、調査・検証実験を行いました。

 

 

先般、読者のT様からショッキングな報告をいただきました。

それはICS-40730使用マイクで直近の「蛍光灯スタンド」の光にマイクが照らされた場合、光源からのハムノイズが入るという内容でした。

またそのノイズは黒のウィンドスクリーンで止まり、しかし薄目のウィンドスクリーンではNGという内容でした。

 

きわめて重要なご指摘につき筆者はさっそく検証をおこない、この事を確認しました。

 

 

 

問題はこういう事実です

 

この話を受けてProbeⅡ、ProbeⅡLz、ProbeⅡinf、ProbeⅡinf Lz、730memsで試したところ、いずれも筆者の居間の照明下(照度164 lux)では発生を認められませんでした。

 

光源を変えたり、条件を変えて再現を試みました。

 

結果、MEMSマイクは「音穴方向からの強い光が入射した場合、ノイズ音を出す」ということが判明。

 

「音穴」に向けて電池式のLEDライトを大きく振ってやると「バサッ」「バサッ」という音、ライトをON/OFFすると「プツ」「ポツ」とノイズが出る、近づけると「バツッ」「バツッ」となり、マイクは飽和・破綻状態になる。

 

まさに「MEMSマイク実用化プロジェクト」だけでなくMEMSマイクを扱うすべてのファンにとって「寝耳に水」だと思います。

しかし、こういう課題の出現はMEMSマイクを研究する者にとってはさらにステップアップする起爆剤として甘んじて受けたい。

 

調べてみるとMEMSマイクは「音と光」に反応するデバイスであり、その応用研究も発表されている。

この論文は一度読まれるようおすすめします。

(あえてURLは記しません、必要なかたはかならず調べるでしょう)

 


次を参考文献といたしました : 国立情報学研究所公開資料

法政大学大学院理工学・工学研究科紀要 Vol.55 (2014年3月)石田龍矢氏「シリコンマイクの光センサーへの応用」

 

 

ICS-40730IM73A135V01ほか他のMEMSマイクで実験したところ例外なく光の点滅を電気信号(クリック音)に変えて出力することが判明し驚きました。

 

これまで想像もしなかったことですが、シリコンウェハー上に印刷構築されたコンデンサマイクなので理解はできますが。

 

 

 

さらに確かめた

ICS-40730を使った場合とIM73A13501の場合とでは音穴サイズの違いが有ってかIM73A135V01ではその影響はICS-40730よりやや少ないようです。【実験1】データ参照

 

音穴に向けて電池式LEDライト(3000ルーメン)の強い光を往復させたりON/OFFさせた場合、1mくらいの距離まで影響してノイズを発生するが、それは音穴方向をはずして同じ事をおこなった場合、90度からの入射光では極端に影響は薄く、裏側からはその影響はまったくないことがわかった。

 

実験ではAC式の照明器具蛍光灯からの光が最も大きなノイズを発生し、次が白熱灯、そして高品質LED照明器具の順になった、つまりフリッカーの大小がそのまま音となって現れているようである。

 

 

前述の論文から、「シリコンマイク=MEMSマイクは音と光に反応するデバイス」だということ、そして波長の長い赤色光~赤外域光では白色光比8~15倍の電圧が出力されることが報告されています。

 

 

 

  1.MEMSマイク単体の光電作用実験

(条件)3000ルーメンの白色LEDライト使用 このとき室内照度は164lux、

 

 

【実験1】   (実験結果および、この表の無断窃用は固くお断りします)

このあとICS-40800で試したところ最も残念な結果であったことを付け加えます。

 

すなわちICS-40730では、あえて音穴をマイク正面に向けた場合、周囲の照明を受けてハムノイズを発生することを意味します。

 

それは明るさとの関係で、SN比未満の影響は無視できます。

また筆者は2015年当初からマイクフロントを正面からはずし垂直に向ける方法を選んできたのはその時点のMEMSマイク(ADPM-411=現INMP-411)の正面音に違和感を感じていたからです。


筆者のMEMS使用マイクは「半音穴」を90度方向(垂直)に向けているため、この影響は激減できている事実も実験から読み取れます。

 

 

また日本では

耳や感性を無視した物理特性優先の高度成長時代すべての国産マイクの反省があるはずです。

 かつて  「BTS規格=放送技術規格」と「JIS規格」の呪縛(じゅばく)による「物理特性優先」の日本製マイクは「音はとれても音楽はとれない」と欧米から嘲笑された黒歴史があり、その後BTS規格は2001年廃止されたものの、業界では現在なお克服できていない実態があります。

 

筆者はMEMSマイクの正面向き使用については8年前、2015年のこの記事「1516」で異論を唱えており、音穴に近い垂直エッジ方向からの音に魅力と説得力があり、音穴方向の弱々しさ・エネルギーの薄さとの対比を唱えており、その考え方は現在までに発表したShinのすべてのMEMS使用マイクに引き継いでいます。

 

その元祖である下の2015年の記事形状はSANKEN COS11の構造とほぼ同一であり、MEMSマイクでも試作レベルを超える完全チューニングを果たすならば光侵入トラブルは完全にゼロとなるでしょう

 

 

 

2015年 この時の実験ノートから

 

 

 

筆者の想像上の話ですが、MEMSマイクで音穴からの光に敏感ということは、絶えず一定の光が侵入し続けている環境ではその「光バイアス」はMEMSマイクに対して何らかの影響を与える、と見た方が正常な考察ではないだろうか。

 

 

対策

音穴に強い光が入り込まない構造と配慮でそれは防げます。

 

1.最も大切なのは「MEMSマイクは正面配置しない」事。

 

2.黒いウィンドスクリーンは遮光にも大いに有効です。

   (但しわずかでも光の侵入があるとノイズ出力されます)

 

3.ProbeⅡ シリーズL-730mems のように垂直実装がきわめて有効であることがあらためて確認された。

さらにパイプから半穴露出させているフロント構造はその半穴方向を現在の上向き半露出をあらため、下向き半露出にするだけで事実上あらゆる現場でさらに安心できるようになるでしょう。

 

 

ProbeⅡProbe-T の場合

 

 

 

L-730mems の場合

 

上2つの写真の「半音穴」方向を180度変えた対策の有効性を確認した。

 

 

 

光電作用・一般コンデンサマイクでは

「もしや」一般コンデンサマイクではどうか、と片っ端から実験した。

Shinオリジナルマイク以外はいずれも定番業務用コンデンサマイクにつき分かりやすいと思います。

その結果一般コンデンサマイクでも同様に「光音響作用」=「光電作用」が確認できた。【実験2表】

しかし、それはMEMSマイクの場合よりかなり軽微であることもわかった。

これは発生プロセスが同一でないことを意味するのであろう、と推測しています。

 

 

 

  2.一般コンデンサマイクの光電作用実験

(条件)3000ルーメンの白色LEDライト使用 このとき室内照度は164lux、

 

【実験2】    (実験結果および、この表の無断窃用は固くお断りします)

※AKG C-480BのCK-61カプセルは弱めにエレクトレット・チャージされており、プリアンプからも成極電圧を与えられたハイブリッド・バイアス型コンデンサマイクです。

 

1.青掛け部はMEMS型のマイクロホン

2.カプセルの向きとの関係にご注目ください

 

 

特に一般コンデンサマイク(DCバイアス型、ECM型)ではどんなプロセスでこのノイズが発生するのか、私には正確に判断できませんが発生する事実だけは以上の通りです。(民生用マイクは対象としていません)

 

 

 

無指向性マイクの「正面向き」常識は正しいのか?

それは必ずしも正しくないことを従来からこのサイトで繰り返し述べています、特にMEMSマイクでは決定的に違う。

 しかしどうしてもそれが理解できない方が居られます、「平易な常識の範疇」では無理もありません、「教科書」では図入りでそれが正しいとされていますので。

 

「 BRÜEL & KJAEÆR」や「小野測器」など音響測定分野の老舗の技術から、またその文献から「音場型マイク」のあり方としてはじめて理解できるのかもしれませんが・・・「常識」という脳死のような思考停止の中では永遠に無理でしょう。

(参考)BRÜEL & KJAEÆR(B&K)社の技術資料より引用しました。

 

 

MEMSマイクのような超小型無指向性(全指向性)マイクは「音圧」は音源方向に限らず全方向から限りなく均等に入射する「物理特性」を持つこと。

 

また、ここが肝心ですがMEMSマイクの音質パフォーマンスの点ではその「物理特性」ともまた異なり『無指向性MEMSマイクにしかない「正方向」』があることを以前から実証し、報告してまいりました。

 

 

 

  YOUTUBE上のウソ、それは全世界に垂れ流されています

★YOTUBEにはこのブログで発表した新事実をただちに何から何まで無断でパクり、自分の研究成果だとするとんでもない輩がいます。

 

実際、このブログから出発してMEMSマイクの魅力にハマっていった、そんなマイクロホン初心者の輩は、自分ではしゃべらず、「女の子の質問に、物知りを装うシッタカ男の子が自慢げに答える」という設定のアバター・アニメとAi音声を使って自分の誤った思い込み理論をとうとうと展開し、「MEMSの音穴を正面を向けない筆者のマイクに対する実装方向」に対してYOUTUBEからこのブログサイトを攻撃する、そんな「短気なかた」 がおられます。(H県K市のH氏)

 

しかし、このかたの録音を聴いた結果から海外を中心に広まりつつある噂に「MEMSマイクは定位がダメだというのがあります。

 

 

ちなみに筆者の録音例YOUTUBEでご確認いただきたい。

どこか定位がおかしいだろうか?

 

 

 

 

ICS-40730やIM73A135v01など優秀なMEMSマイクの入手不可能な「ロシア」で日本のこの方のおびただしいメチャクチャな録音を聴き、自国の「オーディオフォーラム」で噂がひろまった。

 

しかしだれもそれを実験できない国なので、そこに集う方々の共通認識となり誇張され「MEMSの自作マイクすべて」を意味するようになってヨーロッパ・USAに伝わり、誤った情報はさらに誇張拡大されて全世界に広まりつつある憂慮する事態となっています。

 

 

その根源は  「悪質情報とその欠陥音源」にあることがロシアのオーディオフォーラムから判明しました。

 

「短気なかた」のマイクと録音方法ではそうなることは当然ですが、致命的誤情報は一刻も早く削除「MEMSマイクのセオリー」とならないようにしなければなりません。

 

それが判断できるのは決して測定器による「物理特性」ではありません、「耳」です。

 

その基本能力のない短絡思考者「H氏」には「音圧・振動板方向」云々と、「思い込みのウソ」(誤り情報)をその音源を含めYOUTUBEでタレ流し続けないでいただきたい。

 

  この振り上げたこぶしは誰に向かっているのか・・・

 

 

 

 

結論

MEMSマイクは「音・光デバイス」として、考え方をアップデートして取り扱うことが求められます。

 

したがって自作マイクで遭遇しがちな「ハム音」の発生も、そのプロセスを知るか知らないかでその先の行動はまったく異なってきます。

 

むきだしに近いMEMSマイクは正面に向けて使用してはいけない。

 

故意に光を当てなくとも、メッシュでは避けられない正面むきだしのメンブレンは照明による周囲光が強い場合、照度500luxを超えてくると光電作用により大いにハムります。

しかし、その状態でも半穴下向き90度ズラシの場合は事実上問題なく正常に収音可能でしょう。

 

 

「短気なかた」  YOUTUBE情報すべてを削除しない限りMEMSマイクの自作マイクロホンに未来はないでしょう。

 

 

以上

 

 

 

 

本記事の無断ネット盗用は犯罪です。

 

 

虹 おしらせ

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