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※管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

プレミアムMEMS無指向性レコーディングマイク「Probe-T inf 」の自作
マイクロトランス搭載 IM73A135V01 MEMS無指向性「Probe-T inf」
形式 :「Probeシリーズ」音場型 無指向性、DCバイアス方式コンデンサマイク
マイクデバイス:Infineon社製「IM73A135V01」MEMSマイク
OUT :マイクロトランス式 ローインピーダンスOUT(112Ω 300m型)
応答周波数 :10Hz~80KHz
「Probe-T inf 」は、あの伝説の「Probe-T 」を原型として、さらにハイ・ダイナミックレンジ、ハイSPLで定評の IM73A135V0135V01」使用によって、高性能マイクロトランスの能力と相まってさらに現場環境に安定した信頼性の高いマイクとなりました。
❤ その音はヨーロッパのトップクラスマイクとの比較で判断下さい
使用MEMSマイクの「世代」について
筆者「第3世代」のMEMS型マイクは「第2世代」で獲得した”音質とSN比の良さ”を前提として「光環境への対応重視」へと移行しました。
その結果、使用MEMSマイクも変わりました。
不変の秀才Infineon IM73A135V01およびSingle動作が可能で光に無反応、マルチな実力派Knowles SPM0687LR5H-1との2品種は今後、役割りを分担することになるでしょう。
IM73A135V01(Infineon) :無指向性マイク向き
SPM0687LR5H-1 (Knowles):指向性マイクおよび無指向性向き
第一世代(黎明期): ADMP-411(Analog Devices)=Invensenseが買収,INMP-411に名称変更
第二世代(実用化期):Invensense社をTDKが買収しTDK invensenseとなる。
ICS-40730、ICS-40720、ICS-40740、ICS-40638など。2022年5月ドイツInfineon社が IM73A135V01発表、ICS-40730との2巨頭体制をつくってきた。
第三世代(実用発展期):IM73A135V01、SPM0687LR5H-1 この2品種を主力にしていきたい。
① (IM73A135V01はその構成からDifferential動作専用)
② (SPM0687LR5H-1はsingle、Differential両対応、絶大な2信号特性)
光ノイズはMEMSマイク実用化最大の落とし穴だった
「MEMSマイク実用化プロジェクト」の適正MEMSマイク機種は最近少し変化が見られ、主品種を光ノイズに強いinfineon
「 IM73A135V01」およびKnowles 「SPM0687LR5H-1」へと移行させました。
特にKnowles 「SPM0687LR5H-1」の再登場は、「MEMSマイクの光電作用」とは無縁なMEMSマイクとして同機種の再評価・再発見にあります。
光ノイズ=点滅(フリッカ)光、脈動光を受けた時発生する雑音
点滅(フリッカ)光ノイズは、現場では「調光(PWM調光)で連続したスイッチングノイズとなる。
❤ 実装上および音質の優劣からMEMSマイクは90度前方をデフォルトにします。
さらに音穴が外部環境に露出・半露出する場合、音穴を下向きにすることで「光環境」に一層強くなります。
Probe-T inf 製作の記録
(筐体)
これにより外観デザインが決まります。
「91M-602」、またはCLASSIC PRO「 AXP-221」が使用できます。
筆者の91M-602は台湾メーカー製の地厚で仕上げとデザインが優秀、1~2年前より国内入手が難しくなり海外からの入手のみとなった。
一方、AXP-221は同型がAMAZON、ALI EXPRESSなどにあり、作りやすさだけ言えばこちらは楽です。
音の素性はこの筐体材料と一体化剛性構造で決まる。(江川三郎理論)
EMC対策の中心はこの一体化構造の強化にあり、すべての金属同士をスポット溶接により金属の分子レベルまで一体化し、「ファラデーシールド構造」を1段UPさせて完成した。
〈ロングノーズ 先端部構造〉
MEMSマイクの単独実用使用において、
①MEMSマイク特有の音穴と音源との関係、
②光と音穴との関係。
この問題で最初からボタンの掛け違いをしているかたを見受けます。それは一般マイクカプセルに見立ててMEMSマイクを考えてしまっていることです。
そもそもMEMSマイクはそのような使用条件を考えられていません。
「コンデンサマイクロホン」はメカ要素7割、回路要素3割のメカトロ音響機器であり、機械音響要素の軽視・誤判断は致命的要素となります。
また、いずれのコンデンサマイクでも、電気特性の向上を指向して回路を複雑にすればするほど音の鮮度を失っていく運命にあり、それは生き物とハク製のような違いとなります。
さらに単一指向性マイクの設計では、メカニカルな音響要素の比率はさらに上昇し、決定的となります。
(基板)
厚さ1.2mm(max)が必須、1.6mmでは大幅な加工が必要になる。
ハイインピーダンス部分がない分、基板材質は問いません。
ケース内部は奥に行くほど狭くなるが・・・
低頭ケミコンは、最近入手の難しくなったディスクリートパーツの1つ、これには(Nichicon MW、日ケミ KMG・UMT、ELNA R3A
・RC3、など)があるが、「オーディオ用途の」 低頭・細径の筒型リード線タイプは増々入手が困難になってきた。
ここはAliexpressのニセモノは絶対使いたくない。

MEMSマイク手半田法には Shinの開発による手半田法、必須の手法があります。(英語版はこちら)
手半田リード線付け(AWG-32+0.08mmポリウレタン撚り線)
半田付け後、同箇所を紫外線接着剤で絶縁&機械的強化
(この5本を作り全部OK、感度偏差は±1dB未満であった)
すなわち、どれとでも無選別でペアや4本取りができるという事です。
❤このように工程一つ一つにワザがあります。
「職人ワザの時代は終わった」などと、それを嫌ってショートカットしようとすれば当然ながら「失敗」が待っています。
はっきり言えることは、「ハイエンド」を指向する筆者のMEMS型コンデンサマイクの自作は外形・構造から回路に至るまで「職人ワザの集合体」、「人の五感」で完成度を追求します。
それは世界のまともなマイクロホン共通の鉄則です。
筐体金属との絶縁には低粘着の「ガラスクロステープ」を使用
(回路図)トランス型の良さを最大限引き出したノンアクティブ素子回路

「マイクロトランス式」は一切のアクティブデバイスを使わない方式ですので増幅回路に起因するひずみは一切ありません。
「SMD ED-8 5Pマイクロトランス」は隠れたトランスの雄として自信をもってお薦めできる安価トランスだが、何と国内外高級トランスのパフォーマンスをあっさり超えるマレな実力と実績を持ちます。
片やその一方、Shinには「Lz回路」があります。
こちらはバイポーラTR使用のアクティブ回路で、超絶の低ひずみ率(Shoeps circuit超え)で定評のあるユニークなコンデンサマイク回路です。
どれだけ素晴らしい回路をシミュレーションソフトで理想的設計をするも「アクティブデバイス」がある限り一定のひずみ率は避けられない、そこをどう切り抜けるかがワザです。
そしてマイク回路は複雑にするほど音は劣化する必然性と宿命を持ちます。マイクロホンはオーディオアンプでないことを悟ることが大きな分かれ道となります。
「前人未踏」である「MEMSマイク実用化自作」は設計思想をあやまって臨むかぎりチープな実験の域を超えることはできません。
考え方×熱意×能力=仕事の結果
これは2010年、戦後最大の負債を抱えて倒産したJAL(日本航空)を復活再建した京セラの(故)稲盛和夫氏による「バリアを破る」法則です。(京セラフォロソフィーと呼ばれます)
・どれも大切ですが、考え方がマイナスである限り、どんなに努力しても、熱意を注いでも結果はマイナスとなって必ず失敗に至る。またそれだけでなく、マイナスの考え方をもって努力すればするほどその害は大きくなる。
・その反対に、能力はそこそこでも考え方がプラスであり、人並み以上の熱意と努力を持って望めば能力との掛け算でものごとは思い通り成就する。
このことは、筆者がこのブログサイトを開いて15年間一貫としてこの法則に従って経験してきた一連の事実と、特にMEMSマイクの一般マイク用途開発を世界に先がけて実施させ、さらに発展できていることをふりかえれば、この法則は正しいことが断言できる次第です。
というわけで、
Shinの「Lz回路」(ProbeⅡ inf Lz)にするか「マイクロトランス方式」(Probe-T inf )にするかの二者択一は、どちらを選んでもハイエンドな満足を得られるでしょう。
まじめに自作マイクに取り組む者にとっては幸せな選択となるはずです。ご成功をお祈りします。
以上
❤ PS)
一昨日、海外から一通のメールがありました。
soundskritの指向性MEMSマイク「SKR0600」を教えてくれたトルコの友人、映像ディレクター「Cezmi」氏から一昨日、「KUSHIMOTO」というトルコ航空新作のYOUTUBE動画、「ぜひ日本の皆さんに観てほしい」と紹介されました。 https://www.youtube.com/watch?v=K2a8r0aA84g
1985年イラン・イラク戦争中テヘランの空港に取り残された215人の日本人がいた。トルコ政府とトルコ航空のパイロットと乗務員は「日本人が取り残されている」と、すでに閉鎖され爆撃が始まっているテヘランの空港へ、危険をかえり見ず救援旅客機を飛ばしてイスタンブールまで無事救出してくれました。
一方、1890年和歌山県串本町、トルコからの親善使節団の船が帰路、和歌山県串本付近を神戸に向かって航行中、折からの台風で岩礁に激突して沈没し大海難事故となった。
587人の犠牲者を出してしまったが生存者69人を地元漁業者と村民によって必死で救った歴史がありました。
危機だからこそ救い合うという利他の心で結ばれた真の友情の歴史が両国とその人々の間にはあったのです。
ぜひご視聴ください。 Shin.
Thank you, C K.
I learned this fact for the first time when I watched the video.
I was surprised and moved.
Our two countries are bound by the trust and friendship that allows us to save each other in times of crisis.
Shin
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おしらせ
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡ Probe-T Probe-T inf L-730mems など、読者のみなさまからのご注文により優秀機種の手づくり製作・領布を承っておりますのでお問い合わせください
またFetⅡなど純正WM-61Aのファンタム式パナ改マイクも継続中です。
モノ作り日本もっと元気出せ!
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