2513 :市販マイクブースターの「ファンタムスルー」化アダプタを実現 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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 TODAY'S
 
 市販マイクブースターAMPの   「ファンタムスルー」化を実現

 

「マイクロホン・ブースター」(インライン・プリアンプ)が各社から高品位なものが競って出回るようになってきました。

 

30dB近くのゲインがあるが、ノイズや音質劣化を指摘するケースはあまり見かけません。

 

しかし大きな課題があります。

それは「コンデンサマイクには使用できません」というお決まりの注意書きです。

 

 

この便利ツール、「コンデンサマイクで使えたら」と思うのはごく自然なことでしょう。

 

 

でもマジ、使えたらどうします?

 

 

15年前、1022 :「ファンタム式 サテライト・プリAMP」のファンタム電源スルー化の試作と記事を世界にさきがけて発表しています。

 

 

 

 

 

今回の15年ぶりの取り組みは、市販品を使ったアダプタ形式として完全に実用を前提にしました。

 

 

 

 

 

  これでコンデンサマイクが使えるファンタムスルーアダプタの試作

 

「マイクブースター」により絶たれたファンタム電源をマイクに送り込む装置です。

 

ここでは以下の2機種を相手に「ファンタムスルーアダプタ」を作っていろいろ試してみました。

1.SE ELECTRONICS DM1(DYNAMITE)  : 13,100円(サウンドハウス)

2.Clasic Pro CSB1            : 4,580円(サウンドハウス)

 

他の機種も価格なりのパフォーマンスは異なるものの、概して性能は高く、似たり寄ったりと思って良い。

 

 

※ DM1の悪質な模造品(ニセモノ)が低価格で出回っています。ご注意ください。
 

 

 

 

 

  「不可能」を「可能」にする感動を

 

(C-38Bの出力をブーストUP)

 

 

 

 

比較的新しい設計のコンデンサマイクではどうってこともないかもしれないが、昭和からのコンデンサマイク名機は-60dB、-70dBという感度の製品に時折出会う。

 

28dBのゲインを持ち、SONY C-38Bなど古い設計のコンデンサマイクも最新機種同様の出力レベルとなります。

 

「マイクブースター」は100Ω台の平衡出力を持つため、近距離向け自作マイクの長距離延伸の手段としても向いている。

 

 

 

 

 

 

 

  その構成と回路図

 

 

ZOOM F3使用にてファンタム開放電圧=48.0V(実測)

 

マイクロトランス(SMD ED8)は一流の仕事をしてくれています。

 

 

 

 

「エッ、ファンタム電圧って48Vでしょ?」

 

そう、それは「開放電圧」の事ですよね。

しかしマイクを接続した瞬間、オームの法則通り電圧降下します。

これは「思い込み」ではなく、しっかり頭で考えてください。

 

 

この件は古い記事ですが、1611を今いちどご確認ください。

 

 

 

 

すなわち動作電圧48Vのコンデンサーマイクは実は皆無なんです。

最も省電流(0.5mA前後)のノイマンU87ですら47Vとなります。

 

コンデンサマイクには電流制限があり、P48では7~10mAとされています。このときの②③~①の電圧は24.15V~14Vとなります。

 

マイク回路はこうした制約の中でベストな動作をさせますので、やみくもにオーディオアンプの常識を持ってきてもマトはずれな結果となります。

 

ちなみに14mA流すとファンタム電圧は「0V」となります。

 

またツェナーダイオードを使ったばあい「ツェナー電流」に使う電流的余裕などないばかりか、アバランシェ降伏によるノイズ発生器となって襲ってきます。

 

コンデンサマイク回路の一般のアンプ回路と大きく異なる独特さには以上のような背景があります。

 

 

 

こういうとき

「理想回路」と称した複雑怪奇なモノを設計して、別途電池電源や外部電源で動かそうとする例がみられますが、邪道中の邪道。

「P-48」は伊達じゃない、

 

ファンタム式マイク回路とは限られた制約条件の中で最高の結果を生む芸術です。

 

 

 

 

 

 

(ファンタムスルー・マイクブースターセット)

 

SE DM1と組み合わせた「ファンタムスルー」セット

 

 

 

 
 
Probe-T infとの組み合わせた例
 
あまり長く継ぎ足すとシナってくる。
立上げケーブルとうまく組み合わせる必要があります。
 
やはり渡りケーブルは途中で切り離れるといいですね。
 
願わくば、「ファンタムスルーのブースター」がほしいですね。
頑張れば改造できそうですが、2ndファンタムON/OFFをどうするかとか・・・

 

 

 

 

結果

各マイクとも、ファンタム電圧の降下にはかなりの許容幅がありますが、今回の例では通常電圧マイナス1~2Vで全く問題なし。

 

案ずるより生むがやすし

心配されたSN比、音質上の問題もなく快適そのものです。

 

2507、2508の記事で使用した20本のマイクすべて動作することを確認しました。

 

 

Crasic Proもなかなか健闘してくれています。

特に、マイクブースターのみ接続してマイク接続のないときは、「CSB1」の全電流が1.4mA、これに対し「DM1」は2.5mA」でした。この時点で「CSB1」2ndファンタム電圧は43V、「DM1」で39.5Vとなりました。

 

当然、マイクを接続するとさらに、さらに低下します。

 

これを「無条件に48V」と誤解されている事が多いのが問題です。

 

オームの法則により、この電流が少ないほどコンデンサマイクの動作電圧は高くなりますが、これが結果に現われてくれたのかもしれません。

 

音質は、「DM1」の低域のエネルギー感と粘っこい魅力サウンドを引き出してくれ、「これでどうだ」という音作り。

 

CSB1はやや「サラッ」としたノーマルな高品位音、価格以上の内容を、筆者は感じました。持出電流が少ないのも助かります。

 

 

 

 

 

 

 ニセモノ

 

AliexpressDM1激安は、見た目では本物と見分けのつかない模造品でした。(外箱に相当する製品筒シールが中国語で埋めつくされている、本体はホンモノと見分けがつかず・・・と思ったらXLR OUTの指示刻印が② ①逆でした)

 

はホンモノとはもちろん、きちんと企画されたClasic Pro「CSB1」とも比較にならない「薄~い」音。

測定結果もまったく別物、これが本当の「真っ赤なニセモノ」でした。

 

 

 

以上。

 

 

 

 

 

 

 

 

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