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※管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

ZOOM F3の純正に見えてしまう不思議なマイクL-73A mems です。
前身「L-730 mems」譲りのフォルムはそのままです。
「ZOOM F3」専用だったはずが、その後発売された「TASCAM FR-AV2」にもジャストフィットすることがわかりました。
新機種は使用MEMSマイクをICS-40730からIM73A135V01に変え、高耐音圧型(max 135dB/SPL ,10%THD)としてブラッシュアップ、爆音対応も完璧になりました。
左右マイク間隔は前身「L-730mems」から10mm長い200mm。
パイプの2重化、自然綿による音響制動を強化しました。
これによりIM73A135V01の高品位音がそのまま手軽に楽しめる。
L-73A mems 回路図
MEMS(IM73A135V01)の手半田作業
これは2020年2月、筆者によって世界ではじめて完成させたMEMSマイクの手半田法です。
あれから5年、更に進化させて実用化しました。
!MEMSマイクの半田付けは一般部品のようなわけにはいきません。
なぜならば、リフロー専用半導体部品、特に「超超精密メカトロ部品」だからです。
しかし下記手順にしたがって慎重に作業すれば筆者の場合100%の成功率で手半田を可能にしています。
その「必須事項」は4つ。
①「プレヒート」=Preheat(指定「SOLDERING PROFILE」の前半を実施)
②「クリーム半田」使用(低温半田を含めたすべての「一般半田」使用禁止)
③「短時間半田付け」(0.2秒)
④ AWG-32の線材を購入使用(あり合わせのビニール線 厳禁):「熱的」な理由。
エポキシ絶縁は単に絶縁だけでなくリード線の半田付け部を決定的に強化できます。
注意!
①、②、③、④のどれを怠っても半田付けは失敗します。
(つまりMEMSマイクは破壊します)
(筆者の経験から)
プレヒートを終えたMEMSマイクにおいて
THT (Time x Heat Temperature) = 小手先温度x半田付け時間
が「100」を超えるとMEMSマイクの破壊率は急激に上昇します。
たとえば350℃×0.2(秒)=70(○)
380℃×0.2(秒)=76(○)
350℃×0.3(秒)=105(△)
350℃×0.5(秒)=175(×)
200℃×1(秒)=200(×)
180℃×1(秒)=180(×)
コツは、大きめで温度調整付き半田ごてで「シュンッ」と一瞬で済ませ、指をあてて冷やす。
厳禁なのは精密作業向きとされる「コテペン」や15W未満の小さいコテでいつまでも「ゴチャゴチャ」やることです。
また太い線がNGな理由は、冷めるまで時間がかかるためTHTは簡単に100を超えます。
したがって、あり合わせの線材使用は不適切で危険であり、さらに「シールド線」は最も危険な線材です。
基板
コツは「小さく作る」という強い意志以外にはありません。
筐体
前身「L-730mems」とはノイトリックNC3-MRX(B)も同一、先端部構造がブラッシュアップされました。
コネクタ脚の向きを左右180度変えてL用、R用としました。
基板角がコネクタケース内側のハリに当たるため、基板側のカドを取り、フタ内側の出っ張りボーンをルーターで削り取った。
形状に合わせて調整。
(ご注意=組み込み上の死守事項)
・基板:厚1.2mm、長さ12mm未満。
・抵抗:1/6~1/8サイズの金属皮膜型
・XLRコネクタ裏側は0.5mm以内に切り詰め
・部品実装基板の高さ制限:10mm
・ケミコンのサイズ制限:5φ,h5
・使用リード線:AWG32撚り線
各々これを超えたサイズでは製作は不可能となります。
まとめ
ZOOM F3はコロナ禍中2022年に登場し、半年以上も入荷を待つなど一大センセーションを巻き起こた超小型36bitフローティング録音機。フィールドレコーダーはここを境に大変貌をとげました。
「L-730mems」は「TASCAM FR-AV2」にも完全互換できるなどこの形状のマイクが待たれていたのでしょう。
「L-73A mems」になってもそれは変わらず、別メーカー2機種対応のステレオマイクとなりました。
「ZOOM F3」の発売直後から「L-730mems」が注目されました。(この原作はYOUTUBEのアサギマダラさんです)。
今回、MEMSマイク ICS-40730からIM73A135V01への変更要望があり、それにあわせてマイク収納構造の見直しを中心としたグレードアップを果たしました。
単にIC-40730とIM73A135V01の違い以上に超小型レコーダー用としては考えられないほど高度なマイクに進化しました。
以上
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