2315:MEMSマイク手半田法の確実性とペア化の実態 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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はじめに

ものごとには肝心カナメイロハの「イ」のルールがあります。

 

MEMSマイクは「熱を与えてはならない」・・・ではありません。

「ルール通り熱を与えて使う」デバイスです。

誤解を含めこの理解が自作の世界ではまだ不十分なのは残念です。

        (「SOLDERING PROFILE」

 

 

このルールを自作の世界に確実に広げる必要性を痛感しています。

 

 

 

  自作MEMSマイクでは手半田が絶対的優位性を示す

 

このブログ読者の皆様からは記事:2006ではじめてご紹介した手半田法により良好な結果が得られている事を各方面から報告いただいております。

 

 

詳細なご理解はともかく、あれほど難儀してたどり着いたMEMSマイクの手半田法は、同じように皆様の所でもあっけなくうまくいっており、無理を承知で進めてきたこの方法が安全・確実・安定な「自作手法」として定着してきたことは嬉しく思います。

 

 

 

◎ IM73A135V01の線出し例

5本全部OK、感度は同一(±1dBの偏差を見つけるのは困難)。

当然、無選別でペアになれます、それはICS40730も同様です。

 

 

 

 

STEP.1「MEMSマイク手半田法」 その道のり

 

2020年以前の筆者はMEMSマイクの半田付の難しさ・不安定さには大いに苦しみ、できる限り「熱を与えない方法」で切りぬけていました。

 

 

「ICS-40730」をターゲットに低温半田や超技巧0.2秒瞬間半田付けを繰り出してでも安全な線出しの模索を続けていました。

しかし出力レベルのバラツキや、翌日になったらノイズまみれになっていたり、結局は死んだりと・・・熱破壊との根比べのような闘いの連続でした。

 

 

どうやら無秩序で局所的な「加熱」による手半田が決定的に問題であることを皮膚感覚から得た。

それなら低温半田ならマシか?と前例のない試行錯誤を続けた・・・

 

 

成功するまでやめないことを自ら誓ってまず100個を追加発注した。

これでいくら壊してもいい、全部壊れても構わない、壊した数だけ何かが見つかるはずだ、それでいい・・・と完全に開き直った。

 

 

 

(手半田による劣化・破壊、残骸の山)・・・戦場のよう

 

 

ANALOG DEVICES」→「Invensense」→「TDK invensence」とMEMSマイク部門の身売りを経てきたのがこのメーカーです。

Invensense社への問い合わせはTDK社から返事が来た。「手半田は考えていない」という当然ながら、絶望的回答。

 

 

 

クローバーそんなある日、

SNYに在職中の友人から「プレヒートやってみた?」の一言。

これで状況は一変した。

 

 

 

それまで「イチカバチカ」の瞬間半田付けで発生する熱破壊、劣化に悩んでいたのがウソのよう、まるで「青空」が見えたように、安定した均一でスカッとしたその結果にMEMSマイク使用自作マイクに道が開けた事を直感した。

 

 

「次元の違い」とはこういうことか・・・と、MEMSマイク手半田の確実性を初めて目の前にした。

この時のICS-40730初めての 「プレヒート」は怖ごわと。

 

 

現在のプレヒートの様子(IM73A135V01)

 

AMAZONのヒートガン

 


クリーム半田

 

 

 

「プレヒート」「クリーム半田がMEMSマイクの手半田を安定的に可能にしてくれた、しかしなぜこうなるのだろう?、とすべてが英語でよく分からず「スペック部分」程度であとは読み飛ばしていた「Data sheet」をもう一度注視。

 

 

ここに書いてあるではないか・・・・・という今さらながらのバカげた事実に自分自身あきれた。

「せめて日本語で書いてくれたら」・・・という次元の話ではない。

 

 

MEMSマイクのそれは「肝心カナメ」、「イロハのイ」だった。

 

 

 

 

STEP.2「SOLDERING PROFILE」

 

それはMEMSマイクメーカーの示す「SOLDERING PROFILE」です。

 

 

このことはInvensense  Infineonも他社でも同一です。

それは国際標準、IPC/J-STD-020 プロファイルに準じています。

 

 

 

(INVEVSENSE ICS40730のSOLDERING PROFILE)ICS-40730データシートより。

 

 

 

 

Shinの手半田法、「プレヒート」はSOLDERING PROFILEの前半重要部をまかなっている。

 

 

 

クローバーそして2006記事をきっかけに、少しづつMEMSマイク使用のマイク自作が散見されるようになり、2102記事と連携のYOUTUBEの音が決定的に支持され、MEMSマイクの自作例が一挙に増えました。

 

 

 

2208記事で初めて「SOLDERING PROFILE」にふれ、その後の成功推移によりMEMSマイクの手半田法として確立しました。

その後機会あるごとに自作・手半田の優位性を繰り返し説明してまいりました。

 

 

 

2006記事

 
 

 

2102記事

 
 

 

 

2102連携YOUTUBE

 
 
 
 

クローバーこれを境にMEMSマイク使用の自作の世界は大きく動いた。

当ブログへの世界中からのアクセスが激増し、国内よりも海外からの問い合わせが集中して返信に追われた。

 

 

 

 

 

2208記事

 

 

 

 

2307記事

 

 

 

 

 

STEP.3MEMSマイクは「感度バラツキが多い」だと?

 

 

星 自身、MEMSマイクを扱い始めて8年、あれ以来特にInvensense ICS-40730の特性バラツキのなさ、そして昨年(2022年)発表されたInfineon IM73A135V01でさらに向上し、実測では±1dBの偏差もなく、もはや感度のバラツキはナシという「ゼロディフェクト」が達成できています。

 

 

 

筆者提案のMEMSマイクの手半田法、これにより実現できた「ペア」取りに何の苦労もいらないという事実はマイクロホンデバイスとしての可能性を最大限にしてくれた。

 

 

 

 また先般、10ペア(20本)の製作依頼を受けた際、IM-73A135V01を20個準備して作業に取り掛かったが、けっして「多めに準備」などしません、確実にドンピシャレベルで仕上がるのでそんな心配は無用。

 

 

ところが1個音が出ない、「不良?」と思いきやよく見たら半田タッチ有り、修正でOKになり不良はゼロ、レベル差も皆無という安定・確実な結果で納品完了した。

 

 

 

 

  「自家製リフロー」に四苦八苦されているのを見かけますが

アセアセ 今頃、「自家製リフロー」と称してMEMSマイクの「鉄板焼き」おこなう方がおられました。

その方いわく、「MEMSマイクはバラツキが大きい・・・」と嘆きながら、感度や状態別にポリ袋に入れた大量の残骸ドクロを前にしています。

その姿は「血の池地獄」にあえぐ亡者のような哀れさしかない。

まるで2020年以前の自分の姿を見るようでつらい。

 

 

 

なりゆきを見ていると、なんとICS-40730で「1ペア」を取るのに6個の「不良品」を出し、どうにか1.5dBの偏差で「1ペア」が取れたとおっしゃるが、そんなのではペアは1つもとれていない、ということになります。

 

 

 

 

75~90%近くの・・・場合によれば100%の不良率、オシャカを許容しなければならないのは尋常ではなく実に気の毒、1個400円としても8個で3,200円です。

 

 

 

オシャカの中にはレベル差だけでなくノイズ不良やらいろいろあるようで不安定、「歩留まりの悪さ」と言うにはあまりにも酷い、見るに堪えない結果にMEMSマイクが可哀そうに思えました。

 

 

 

 

絶対的条件である「SOLDERING PROFILE」を軽視または無視した鉄板焼きのような炎フライパン・リフロー」で壊しているので当然の結果でしょう

 

 

 

それは当サイトで考案・開発してひろまった「MEMSマイクの手半田法」とは同じICS-40730を使用しながら天国と地獄ほど異なった結果に、自ら好んで不幸な道を選んで苦労されていることだけはもったいなく、ただ残念です。

 

 

 

 

!MEMSマイクがバラついているのではない、不幸な「自家製リフロー」をやめれば解決することを「技術者」ならすぐ理解します。

 

 

おびただしい残骸ドクロを好む「技術者」などどこにもいません。

 

 

 

以上

 

 

 

本記事の無断ネット盗用は犯罪です。

 

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