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MEMSマイクの扱いは「半田付け」で90%決まる
このサイトではMEMSマイクの優れた点をご紹介しておりますが、記事を参考に取り組んではみたものの、敗退されているかたも多いようです。
MEMSマイクが手作業にはあまりにも小さいことに加え、そもそもMEMSマイクは量産用リフローパーツであり手半田には対応しないデバイスだということ、それは「熱的なプロセス」が決定的かつ致命的だからです。
ここを乗り切るノウハウこそが「成功」「敗退」の明暗を分けます。
「フグは食いたし命は惜しし」、筆者により2020年、「フグの調理法」ならぬMEMSマイクの手半田法を開発し、ご案内してきました。
今まで経験してきた半田付け常識とはかなり異なるのが特徴です。
IM73A135V01では 1.5mm幅の中に4本のリード線を半田付けします。
自信のないかたはふたまわり大きいICS-40730の使用をお薦めします。
(この7本の中で1本だけ配線色の間違っているのがあります、あのイヤな逆相音なので「あれっ?」と思った・・・わかるカナ)
「考えない」のは確実な失敗を 「考え過ぎ」もまた失敗の元です。
経験豊富なベテランの方で失敗確率が高いのはおそらく「考え過ぎ」なのでしょう、これが案外多く、初心者のほうがすんなり成功しています。
もちろん超小型工作の苦手なかたには、やはりハードルが高いでしょう。
その反対に、米粒に般若心経を書くわけでもないこの大きさはミニチュア好きには絶好のアイテムになっているはずです。
失敗事例には次の特徴があります。
1.MEMSマイク工作を始めようとするとき、同時にCADを駆使して「基板を発注」し、綿密な計画のもとで「実施」しようとするケース、これはまず失敗しています。
というよりも海外を含め、成功例を私は見たことがありません。
2.さらにパーツのマウントを含めた基板を発注するとさらに酷い状況が待っている、「動作するものは1つもない」ということになります。
それらは例えればメーカー製品において何の実験も試作もなく、WS(ワーキングサンプル)もPP(プリプロダクション)の工程もナシで量産ラインを立ち上げるのに等しいムチャクチャな蛮行です。
諸兄には「自分はこうしたい」という思いがあることと思います。
しかし、この際それは捨てて無条件でこの記事にしたがってください。
手半田を成功させる以外に道はなし
前例のない「MEMSマイク工作」にはまず、余計な事は考えず成功事例に学ぶことです、筆者の手法をそのままそっくりマネすること、これだけで失敗要素はほぼ消えます。
なぜならば筆者は数年前からこの事に特化しており、絶対に失敗のない手法である事を常に確認している裏付けがあるからです。
そして同じ成功体験をご自身で得てから次のステップを考えることこそがMEMSマイクとの付き合い方として適切ではないでしょうか。
ICS-40730は電極も大きく、電極間も広く扱いやすいです
自作の基本は「半田付け」、それは昔も今も変わりません。
例外はなくMEMSの世界でも同じです。
ただ、手半田を想定してない「MEMSマイクデバイス」をECMのような安易さで取り扱うことはできません。
筆者により2019年、それでもMEMSマイクを自作マイクの世界にひっぱりこんだのが事の始まりですが、手半田を成功させることに3か月、手半田手法をあみだしてから安定させるには1年くらいかかっているのは過去記事で分かると思います。
熱問題でNGにしたMEMSマイクは40個近く、電圧衝撃による破壊を加えると本日現在100個近くになります。1個500円としても安い授業料だと思います。
「SOLDERING PROFILE」は絶対的バイブルです
当初MEMSメーカー(Invensense)にも尋ねました、「手半田はまったく考えていません」というつれない返事、それは当然です。
「0.2秒瞬間半田」も成功率に問題あり、低温半田も試しました、コテペン精密半田ゴテも試しました。
そして行き着いたのはMEMSマイクメーカー発表の「SOLDERING PROFILE」、それはMEMSマイクメーカー設計の「ハンダ付けレシピ」、デバイスの熱偏位工程プログラムです。
これに従わない場合は「破壊」する設計になっている恐ろしい掟です。
【MEMSマイクの半田付け熱的設計図 「SOLDERING PROFILE」】
「この熱工程」を経なければ安定させない」という重要事項です。
前半プレヒート(Preheat)をヒートガンでおこない、実半田付けで後半を受け持つ。
AMAZONの簡易型ヒートガン使用、100℃1分間(慣れれば100℃は温度計ナシでわかる)
ただし、温度・時間はメーカー指示のそれよりも余裕があることも経験しています、つまりICS-40730では 「100℃1分間」には温度も時間もこれに近ければ大丈夫であることも経験してきました。
それはIM73A135V01でも同様です。
また、実際にはIM73A135V01よりICS-40730のほうがその厳密さはきびしいようです。
1.5mm幅の中に4本のリード線を半田付けします
写真を見るかぎり簡単にできそうな気がしますよね、それでいいんです。
やってみてください。
先行成功事例を踏襲してください
◎筆者が行き着いた手半田手法はこれです。
◎一方、先行の成功事例に学ばず失敗している例はこんな感じです。
自分の失敗例、海外事例を含めて下記のようなものがあります。
これは誰でもおちいりやすい内容ですが全部失敗要因となります。
失敗事例とその気構えの特徴
・「プレヒートは意味がない」と頑強にこれを拒否するかた
・ECMのように普通にリード線をハンダ付けした
・練習することなく慣れないシールド線をいきなり半田付けした
・「治具」を使わないと気がすまない:病気です!(両面テープ貼り一択です)
・Mouser、Digikyeから2~3個しか買わなかった、結果全部壊れた
・工場ラインでのリフロー経験があり、リフロー炉を自作した
・ハンダ付けには絶対的な自信がある(それが1番失敗します)
・ありあわせの太い線を使った、(Peak Temperature<TP> 超えが長時間となる)
・線材のAWG規格なんて気にしたこともない
・クリーム半田がなく一般半田を使った・・・(AMAZONで普通にある)
・低温半田なら大丈夫だろう
・リング状のGND部の半田がつきにくく、しばらくモタモタした
・「顕微鏡」や「ヘッドルーペ」で作業したが手先の感覚がつかめない
・カニ爪クリップに挟んで作業した、MEMSはどこかにすっ飛んだ
・そもそも小さすぎる
・基板業者に全部任せた、仕上がってきたが動くものは1つもない
・基板を発注し自身でマウントした、結果はノイズしか聞こえない
・プレヒートには強力なヒートガンで温度を気にせず熱した・・・etc
MEMSマイク工作のキモ
2208記事をまずご参考ください
・MEMSの半田付けは失敗を経験しないかぎり成功もしない
・「完成マイク」をいきなり作ることはできない
・まずはMEMSメーカーのデーターシートを把握してください。
・成功体験を得ればその先はもっと楽しい世界が開けている。
レシピを守って楽しい自作ライフを
新デバイスにはには特有の約束がある・・・「SOLDERING PROFILE」はその最たるもの。
成功事例のとおり作業すれば成功が待っている。
「未踏の領域」で、それでも自分流を通すことに意味がありますか?
以上
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おしらせ
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