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ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

※ないものねだりこそ開発の原点だ※ 
※すべてのマイクロホンは発展途上の音響デバイスだ※
※「常識」は思考停止へのブレーキです※
※百の議論より一つの事実※







© 2009-2025 Shin's PA workshop. All rights reserved.

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管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

 

 

本件、MOUSER以外では、状況は異なっているかもしれません

 

STEP.1最近のICS-40730の熱的な様子が変だ本件、他のMEMS品種では無関係です。      

 
 

5年前、記事:2006でMEMSマイクの手半田法を開発:公開しました記事:2208までに確立させ、海外にも紹介してきました。

 

その後、他のMEMSマイク(Infineon IM135V01やKnowkes  SPM0687LR5H-1や他社・他品種でも完全に信頼できる手半田法として確立してまいりました。

 

事故もなく海外の実例でも良好な報告を受けてまいりました。ところが・・・

 

 

 

 

 

ICS-40730 最近のロットが変です

 

前ロットから切替えはじめた3月ごろから同ロット分に手を付け始めたが、その後軒並みの異常発生に不安とロット不良を予感した。

(古いロット分をお持ちの場合は無関係です)

 

過去4年間ではじめて経験する異常です。

 

ICS-40730はその音質の優秀性に反して「光ノイズ」に極端に弱いため使用を控えていた品種でもあり、このことに気づくのは遅く、4月~7月ごろにかけて段々「ロット不良」を意識するようになった。

あきらかに今までとは様子が違います。

 

それは「不良率」が90%以上に及ぶようになり、たまりかねて8月になって「MOUSER」に申し出た。しかし保証期間の6か月を過ぎているので、有効な救済手段はありませんでした。

 

もっとも「リフロー」ではなく「手半田」については何も保証されませんが、手を付けてない新品がまだ多数ある。

 

 

 

STEP.2やむなく買った次ロットも同一でした。

やむなく、代替分を8月に買ったが、結局前回ロットと何も変わりませんでした。(前回と同一ロット在庫の可能性あり)

すなわち「ICS-40730」においてスペック上の「SOLDERING PROFILE」の一部であるプレヒートのみをおこなうというこのサイト発案の「手半田法」において、”100℃の熱風1分間” というレシピではほとんどのICS-40730が破壊するという事実が判明しました。

 

もちろんいきなり手半田すれば100%壊れましたが、

他社・他品種のMEMSマイクではこういう事実はまったくない事を確認しています。

 

 

 

この件に関し皆様のほうではどんな様子でしょうか。

お聞かせいただければ幸いです。(記事末 メール窓から)

 

 

 

MEMSマイクの基本構造

 

これは一般的なMEMSマイクの基本構造(例)です。

TDK社のHPから

 

 

 

 

 

 

  問題はこれだった

 

 

記事:2208で紹介した手法、ICS-40730の「SOLDERING PROFILE」の前半分を活用した手半田法の「プレヒート」部分(赤エリア)

 

この「T smin」~「T smax」の範疇である「100℃ 1分間」が許されなくなった。

 

これがICS-40730の2025年ロットの手半田ではほぼ不良となり、その現象を下記に書きました。

 

 

(現象)

・ただバリバリいうもの

・ノイズの中に音声があったり、なかったり。

・ややS/Nが悪化した軽いもの

 

 

 

 

 

 

STEP.3リベンジこの方法で安全に手半田できるようになりました

     (すなわち、この方法で正常動作します)

 

 

(試験サンプル10個で試験)

1.プレヒート温度を 100℃→60℃に下げた。

一挙に成功率が上がり、不良率は30%まで下がった。

 

2.動作不安定な場合、再度熱風加熱によって正常動作する場合があります。

穴側からヒートガンの距離をおき、熱風が内部に吹き込むように45度程度の角度で15~30秒間追加熱すると高確率で正常動作するようになります。

 

これは通電し、小音量にして(耳を傷めるため)モニターしながら行うことをお勧めします。なぜならば、その修復プロセスが聞こえるからです。

 

 

注) プレヒート・追加加熱ともに冷めて常温になるまで絶対に手を触れてはいけません。

(メンブレンを含む極少なメカニカル構造が変形することが原因と考えます)

 

サンプル10個の評価では2.で発生した完全不良品は1個だった。

 

したがって10個中不良となったのは1個で成功率90%となったが、手を触れていなければ成功率100%となったはずです。

 

上記でリベンジできるのは、おそらくダイアフラム=メンブレンを含むMEMSチップの機械構造が「追加加熱」によりミクロorナノレベルで「正規位置」に納まる、と考えれば分かりやすい。

 

 

今までとはかなり手順が異なりますが、この方法で正常動作するようになりました。

 

また、「破壊した」ICS-40730もこの方法で復活するものがあります。

 

 

 

 

この実験には約20個の新ロットICS-40730を使用しました。

 

それはこの事象発生の再現性・復活法の正確さを担保する為です。

 

 

 

 

 

 

  ICS-40730 だけがなぜそうなる?  

 

 

この構造通り4つの独立したMEMS可動部がある。

手半田による部分的な熱膨張・熱収縮はこの動きを阻害したり、重症になると「ダイアフラム」=メンブレンと「バックプレート」間の微小空隙(ギャップ)が短絡すると推測。

 

 

すべてのMEMSマイクメーカーでは「SOLDERING PROFILE」を公開し、リフロー・プロセスを規定しています。

 

しかし最近ロットで何か重大な量産上の問題が発生しているだろうことは、筆者の「直感」で読み取った次第です。

 

それは元に戻るのか、このままなのか、それとば関係なく現実に起こっている問題にしなやかに従いたい。

 

 

 

 

ディストリビューター間

 

チューリップちなみにICS-40730の現在の在庫数は8月11日現在で

MOUSER :6,157個  DIGIKEY  :639個

となっています。このあとのロットがどうなるか。

或いは DIGIKEY分664個はどうなのか、

本日の注文したDigikey分が届き次第追加報告いたします

 

おことわり:あくまで「破壊試験」を主とした「損失テスト」につき個人研究者には経済的限界があることをご容赦ください。

 

 

 

 

! ICS-40730の使用を当面あきらめるのが一番簡単な解決法です。

IM73A135V01は「差動動作」しかしませんがKnowlesのSPM0687LR5H-1ならシングル動作できます、S/Nは70dBと4dB低いですがMOLは7dBも高い、作業もしやすく熱衝撃にも強い。

 

ここしばらくはこの状態がつづくでしょう。

 

他のMEMS品種では無関係であることを重ねて申し上げます。

 

 

 

 

2517-Bに続く

 

 

 

 

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”オフマイク適正” MEMS単一指向性マイク実現の最大課題は

「既存の単一指向性マイク設計のノウハウ」では実現にはほど遠いことでした。

 

 

  オフマイク適正のMEMS型単一指向性マイク

Probe-T」「Probe-T infの高音質そのままで実現

 

Probe-T u1 MEMS単一指向性マイク

 

 

指向性切替機構を含めた全体像

 

 

 

方式:Dual Mems 仮想傾度型単一指向性コンデンサマイク

見慣れない位置にある速度穴はこのマイクの特徴です)

 

 

 

 

こちらから試聴できます  You can listen to it here

音源2個 (「今すぐ再生」でダウンロード不要)

Probe-T u1  Heavily trafficked road.wav 通行量のはげしい道路)

Probe-T u1 JR Akihabara Station platform.wav (JR秋葉原駅ホーム)

 

    

 

 

 

 

指向特性  Polar Pattern

 

 

祈るように測定した指向特性はご覧の通りです。at.1KHz,

 

(指向パターンは大きく周波数依存します)

 

 

指向性試験

 

 

 

指向性切替シャッタースリーブ

速度穴は4つ。シャッタースリーブにより指向性可変可能。

 

 

①シャッタースリーブなし:「ワイドカーディオイド」

②穴1個:「ハイパーカーディオイド」

③穴1/3個:一般的な「単一指向性}(微調整可能)

 

マイク先端から16mm付近、90度~120度で2本交差させれば良質な「X-Y」ステレオマイクになります。

 

 

 

 

 

「MEMS型単一指向性マイク」は無指向性型の延長技術にあらず。

 

「無指向性MEMSが良かったから今度は単一指向性だ」という単純な想いでは決してたどり着けないノウハウが、指向性マイクには山のようににある。

指向性生成については、記事:2502で相当つっこんでいます。

こうした積み重ねを前提に「MEMS単一指向性 v05」と言えます。

 

ササッと「完成」など夢の夢、多くのことは手さぐりで、未踏の地を1人で歩く覚悟が必須です。

理屈では絶対にモノにならない「マイクロホン技術の職人領域」をあきらめず進む強い意志はあるか、それが明暗を分けます。

 

とにかく「音を聴く」ことに尽きます

 

 

 

 

  音を聴きながら作り込んでいく

まず、基準とする既存のコンデンサマイクが必ず必要です。(リファレンスマイク)

 

それがない場合、「無指向性」ではなんとかなっても、「単一指向性マイク」ではメチャクチャなものになるでしょう。

 

それほどにMEMS型単一指向性マイクの難しさは筆舌に尽くしがたい高いハードルがある。

それは同様の実験・試作をおこなわない限り経験できませんが、

「単一指向性」はECMや大口径ダイアフラムで経験されたとしても、そのノウハウではMEMSマイクには通じませんし、とても手に負えません。

 

MEMSマイクに対し半信半疑の状態ではNG、まずは卓越した「無指向性MEMSマイク」を経験し、そのクセを十分身につけてからです。

 

 

 

 

(MEMS型単一指向性を実現させる各種方式)

 

2つの無指向性MEMSマイクで「仮想音圧傾度」型を構成する

 

双指向性MEMSマイク(soundskrit社 SKR0600)等の背面空気質量の流入制御(イナータンス制御)

 

無指向性MEMSマイクのトップカバーをはずし、双指向性化し②同様のプロセスで。

 

2つの双指向性MEMSの物理位置による合成パターンを利用する。

 

 

 

 

 

「できなければやめる」選択肢も正しい

なぜならば、そこは無限地獄だからです。

MEMS単一には「回路の理想」をきわめても何の意味もありません。

覚悟と経験と想像力、そしてマイク独特の理論が無限に求められ続けます。

 

できなければ「やめる」は正しい選択です。

 

なぜならば、単体の「MEMS型単一指向性マイク」はこのサイト発表以外、業務実用をめざす例はまだ世界のどこにも存在しないからです。

 

 

 

 

 

 

オフマイク適正のむずかしさ

指向性マイク特有の「近接効果」に頼らない低域獲得の難しさ。

存在しないエネルギーはイコライザーでも出てこない。

そもそも「低域はどこまで出すか」そして「音源との距離関係」はMEMS型単一指向性の基本課題として悩みどころです。

 

たまたま完成しても、ほとんどの場合20cmも離れれば音はすっかりヤセて消えかかり、「Vo専用」または「クリップオンマイク」までがこれまでのMEMS型単一指向性マイクの能力でした。

 

なんとかして無指向性MEMS同様にホール3点吊り衛星部に乘らないか・・・

オフマイクでパフォーマンスを示す優秀マイクができないか・・・

波長、質量、管内共鳴、音響抵抗、音質、遮光、ボイス試験、明珍火箸試験、騒音評価etcと、チューニングに明け暮れた。

 

そしてたった1つの推測が状況を一変した。

それは「MEMSマイク」振動系の質量が人の鼓膜の1/10以下しかないこと。イナータンスとしてのそれは「速度穴」の状況を劇的に変えて答えを出してくれたのです。

 

 

「チューニング」がすべてでした。

 

 

 

 

 

 

衝撃異音をいかにかわすか

あきらめない「想い」と持続力に頼るのみです。

「衝撃異音」が出なくなるまで取り組む。

なぜならば、それはマイクの各ファクターの組み合わさり、絡み合ったファクターだからです。

 

成功するまで続ければ失敗など存在しない。

 

 

 

 

  「単一指向性」どんな方法で実現させたか

下写真のどの段階でも必ずを聴きながら進める。

 

しばらく使用を控えていたICS-40730音響用黒色ヒメロン(HN606B)による音穴の遮光処理によって光環境にきわめて弱かったこのMEMSマイクを「光ノイズ不感型」にバージョンアップして使用した。

 

 

(MEMSマイク実装方向について)

筆者のMEMSマイクの音穴方向(縦90度実装)に違和感を感ずるかたも居られましょう、それは当然です。

 

そのMEMSマイクを設計製造したメーカーは「穴を音源に向けた」設計をしていますし、測定データやスペックもしかりです。

 

しかしながら、筆者が初めてMEMSに出会って音を聴いた瞬間からそのスカスカした違和感に疑問を持ちました。

あちこち向けてテストする中で縦90度方向の音に自然感・力感を感じました。その後この経験を経て確実にこの方向が「正方向」であるという事を確証しました。

 

また、わずかながら実在するメーカー製MEMS単体マイク製品の例では国内外すべてがこのサイト同様に「縦90度実装」であり、アマチュアの方の自作以外では音穴を音源に向ける例は見当たりません。

メーカーでもおそらく、私が経験した事と同じ理由で方向決定されていると思います。

 

 

イタリア IKマルチメディア社の例(MEMSマイクの位置、方向を拡大強調しています)

 

 

 

肝心なのは、筆者の私は「初歩的なマイク構造」を云々しているわけではなく、「マイクロホンのその先」を追求しています。

 

 

いままで「穴」を音源に向けていたMEMS自作者の空気録音やクラシック録音のベテランも、口をそろえて語るのは穴方向音の「引っ込み感、ひ弱さ、量感のなさ」を指摘し、さらに改良を進めるかたは、のちに必ず縦90度実装に落ち着きます。

 

 

また、既にかなり録音現場に行きわたっている「Probe型MEMSマイク」は全て「縦90度実装」です。

それは、 B&K(DPA)、NEUMANN、SENNHEISER、 EARTHWORKSといった列強を相手に同等または勝ち進んでいる事実に目を見開いてください。

 

 

この一連の事実から突飛な方法」だと思われても、「縦90度実装」はこのように第一線エンジニアたちの評価と実績をもってこの能力が証明されているのです。

 

ここまでくると、半導体センサー・ジャンルである「MEMSマイクメーカー」「設計者」は私たち「音響人」とは異なった目標と音響哲学を持って音に向かっているとしか考えられません。

 

やはり「サウンドセンサー」としての「MEMSマイク」「マイクロホン」の違いは明確にありました。

「常識」とは思考停止へのブレーキにすぎなかった。

 

 

 

 

 

 

 

音を聴き続けながら完成度を上げていく

・室内騒音

・マイボイスリアルタイムモニター(オンマイク・オフマイク)

・明珍火箸(衝撃音ひずみ・余韻)

・さんしん演奏音(アタックひずみ・余韻)

・指向性テスト

・PAテスト(ハウリングマージン)

・屋外録音テスト

 

成功するまでやめない。(これが最も大切です)

 

 

 

 

 


d=33mm(1kHzの1/10λ) に調整した瞬間、モニタ音は激変、脳内に「ガツン」と衝撃が走り、すべての音はベールが剥がされた。

 

 

その音は

・明珍火箸のアタック音も余韻も澄んでいる。

 

・さんしんもアタック「異音」が消え、突き抜けた。余韻も綺麗。

 

・駐車場のアイドリングエンジン音(40Hz以下)が聴こえている。

 

・マイボイス・リアルタイムモニターによるトーク音はオフ領域まで綺麗。

 

・MEMSマイク特有の20KHz付近にあった鋭いピークは影もカタチもない。

 

 

かくして「近接効果」の少ない単一指向性マイクとなった。

 

 

 

回路図

 

カップリングコンデンサがない?

 

ひねくりまわした「低ノイズ、低ひずみAMP」も風流だが、これは「中出力レベルマイクロホン」元々AMPそのものがいらないはず、SMD ED8というトランスの音は折り紙付き、格別です。

 

 

 

後日

再度見直し、MEMS~トランス間にマイカベースの音響用ケミコン(R3A)を追加してトランス巻線へのDCカットと2個のMEMS-OUT間のDCループを絶った。これは2つのMEMSとトランス間のどこか1か所に入ればいいわけですが、フロントMEMS側がよい。

もともとは2個のケミコン使いでしたが、チューニングの中で上記回路に至りましたが、どうしても気になるポイントでした。

本当はBPタイプがいいのですが、いまどき好ましいBPケミコンはほぼ入手不可、収納サイズの問題もあり、割り切りました。

サンプル録音の例よりさらに「グイッ」と低域が伸びました。

 

 

 

 

MEMS型単一指向性特有の指向性生成

 

振動系が非常に小さい(質量がケタ違いに小さい)ので僅かなイナータンスの変化でも指向性は激変します、このあたりがMEMS型単一指向性マイクのクリチカルかつ難しい点なのかもしれません。

 

速度穴はφ7ステンレスパイプにキズなくφ1.5の穴4個をあけるのは途方もなく難しく丁寧に時間をかけた。ボール盤はない、パイプがつぶれてしまうのでセンターポンチは使えない。

 

さればミニルーターでと、0.5mmで開け、広げていった。

回転する0.5mmドリル刃が時々指を突き刺す痛みは格別でした。

その激痛と完成の喜びを秤にかければ、血まみれでも当然ステンレスパイプを掴んでいました。

結果から考えればそれ以外になく、よかったと思います。

 

ステンレスですから硬いですが、多少のズリ傷はペーパーでヘアラインを付けるだけで綺麗に消えてくれます。

 

穴4個の場合と、穴1個、そしてそれを2/3ふさいだ場合とでこれほどの指向パターンの差が出るとは思いもよらぬ事実。

 

当然、一般コンデンサマイクや他形式のマイク同様に「開けておけば良い」とルーズな感覚で速度穴に臨んでいたらここにたどりつくことは絶対になかったでしょう。

 

同様に、ピュアな「Cardioide」=(心臓型パターン)を得るにはMEMSマイクではハンパなくクリチカルであること。

そのキモは「振動系の質量」にあるのでしょう。

 

 

 

とにもかくにもはじめてたどり着いたのは、いままで経験したことのない「オフマイク適正」のMEMS型単一指向性マイクです。

 

遠方音でも低域落ちがなく、近接効果による30cm未満の低域盛り上がりも少ない、その性質はEVのRE-20など一部のダイナミックマイク(バリアブルD)で見られる「音響位相管方式」に似ている。

 

 

せっかくなので「指向性切替シャッタースリーブ」を外付け追加して、「カーディオイド」「ハイパーカーディオイド」「ワイドカーディオイド」の切替を可能にしました。

 

さらに、マイク2本を交差させると、ごく自然で良質な「X-Yステレオマイク」になることを確認しました。

 

 

 

今回の録音で良く分かったのは、フィールド録音において無指向性単一指向性とでは捉え方がかなり異なります。その選択は、目的次第となるでしょう。

 

 

 

 

 

以上

 

 

 

 

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それはSONYから学びました。

 

明珍火箸(みょうちんひばし)によるマイクロホン試験 

 

SONYでは1950年代、C-37の時代からC800Gの現代に至るまで品質管理の手段として用いられていることは知っていましたが、この際思い切ってこれを入手しました。

 

この骨董品的姿には驚いたが、きっと何かが見えるだろう

 

 

(明珍火箸)

 

「マイクの音響試験」は、とどのつまり測定値など単に参考ファクターにすぎない。

物理特性による最終判断などあり得ず、マイクロホンの性能判断はそこから先こそが重要です。

 

またマイクロホンの音決めは「聴感覚」以外にあり得ません。

SONYでは60年以上前からこの一点に着目して独自の評価法を切り開いていたのです。

 

 

限りなく周回遅れのローテクは今の「ハイテク」より新しいかも

 

平安時代からの甲冑製造技術が元となった「純鉄」「和鐵」さらに「玉はがね」の鍛造火箸、明珍家によってのみその歴史が紡がれています。

室町時代、千利休の依頼で火箸を作ったのがはじまりといわれています。

 

この「明珍火箸」は糸で吊られた二本が触れ合うと「チーン」と和鐵独特のどこまでも澄んだ音が響き、二本の火箸の上方にかけて「うなり」とともに、それはまさに楽器そのもの。

2本の火箸から発する音と、うなり音が余韻となっていつまでも聴こえるという素晴らしい発音体です。

 

 

 

 

SONYの発表より

 

不鮮明なので下記に書き出します 「火箸が変えた世界の音色。」

 

 昭和は私たちの耳にいろいろな声を残しました。「前畑ガンバレ」「玉音放送」「東京五輪開会式」「ゴジラの快球」「ビートルズ来日」・・・実はその「声」が東京五輪を境に大きく変化しているのです。(聖火台に火が点りました。燃える、燃える、燃える)あの名セリフが昭和39年。

この時代以降、放送用国産コンデンサーマイクが普及します。先鞭を付けたのがソニーのC-37A。昭和29年にデビュー。外国製品一辺倒だったマイクの世界に革命をもたらしました。

世界のミュージシャンにC-37Aファンが続出したのです。

そして、世界で初めてトランジスタ化が図られたC-38。放送のやりかたを変えたタイピン型・超小型エレクトレットコンデンサーマイクECM50と世界に先駆ける最先端マイクの出現で、「マイクはソニー」という時代が到来します。 さてそのソニーの技術陣が音質検査に使うのは、2本の火箸。それも由緒正しい明珍火箸です。これを糸でつないで鳴らすと心地よい音がします。

音色と余韻が優れている生音源。マイク革命をもたらしたソニー技術陣の採用理由でした。

技術と火箸のアンサンブル・・・世界の音を支えたのは、日本古来の火箸ということになるでしょうか。

 

 

 

 

今回のテーマ「明珍火箸とC-38B」

 

 

 

 

明珍火箸、音の秘密

音の美しさには秘密があるようで、スペクトルを見ると「倍音」成分が実にきれいに整理されていることがわかります。

 

その整理された綺麗さが故にそれが障害原因となるとは・・・

 

そのアタックと余韻の特徴は「さんしん」「三味線」に見られる波形に似ています。

 

つまり「基音がしっかりしていて」「整理された倍音」はコンデンサマイクがひずみを誘発しやすい厳しいスペクトルだということをSONYのマイクロホン技術者である村上氏と富田氏が明珍火箸によるマイクテストの歴史と優位性の話をDU BOOKS発行 「音楽クリエーターのためのマイクロホン辞典」のなかで語られています。

 

 

2018年 林憲一氏著 DU BOOKS発行 「音楽クリエーターのためのマイクロホン辞典」より

※書籍ページの公開が不適切な場合は削除いたします。

 

 

SONYの業務用コンデンサマイクはこの波形をひずみなく収音することには徹底しており、「明珍火箸」による評価法をC-37以前の昔から用いて実績を上げています。SONYによって発案されたこのワザは同社のお家芸として、150万円マイクC-800Gの現在にいたるまで「音決め原器」として続いています。

 

それ以前は「人のトーク音声」で決められていた、と聞くとまさにShinの「マイボイス・リアルタイムモニター」と変わらない手法がメーカーの音質評価に使われていたのは、妙に納得できます。

そして、村上氏と富田氏はこう言い切っている。

 

「マイクは楽器と一緒、私たちは楽器をつくっているんです」

「マイク作りはやっぱり "職人” マイスターの世界なんですよね」

 

このご両人の名言は、途方もなくに腑におちた。

 

 

 

 

 

  明珍火箸によるマイクテストの実態(試聴できます)

 

 実験音源       

 

①C-38B  ②BETA-87A  ③C-451B 

 

 

 

 

音源との距離は一般収音ではもっとオフであるべきですが、これは「いじわるテスト」です。

このため、距離感はSONYに学んだ

 

 

 

これには驚いた。

 

・コンデンサ型特有でありダイナミックマイクでは見られない。

・無指向性型では発生しづらく、指向性マイクで見られやすい。

・マイクの値段の高低は無関係なファクター

・案の定SONY C-38Bは見事な結果を示した。

・「カナモノ」に強いというC-451系でも発生を見た。

・最後に、これがダメでも音楽全体をダメにするとは限らない。

 

 

AKG C-451B、これは「金物系」ならコレ!、というだけあって、見事な結果であった。

C-451E/Bはやや砕けが発生、C-480B、C-391Bではパーフェクト。

(ちなみにC-451E/BはCK-1カプセルのDCバイアス型、451B、480、391はECMです)

 

 

 

単一指向性を中心とした各種マイクでの「ひずみ発生」テスト

 

 

最悪結果であった「BETA87A」の波形

 

 

 

聴感では「チーン」に対し、

では聴くに耐えない「ビヨッ」というひずみ(異音)が発生。

(波形ではわかりにくい)

録音音源の比較でどうぞ

①C-38B  ②BETA-87A  ③C-451B  

 

 

 

 

 

 

私自身、ことの発端は

MEMSマイク単一指向性化が進むにつれ、妙な現象がついてまわるようになった。

それは自らの「さんしん」の収音ではマイクの作り方によっては「ベシャッ」「ペシャ」と簡単にひずむ。

 

サイン波やホワイトノイズでは何ともないのに、なぜだ?

 

どうやら、この「整理された倍音」が「このひずみ」の原因かも。

 

 

またMEMS単一指向性マイクでは、さらに衝撃音に対し1KHz以下全域で音程を持たない「バサッ」大きな異音を発する、という現象に悩まされ続けてきました。(原因は別にあるのかもしれないが)

 

 

 

 

(どう整理されたスペクトルなのか)

この例では415.3Hzを基音として5162Hzまでの間ではほぼ同一間隔(207~234Hz)で綺麗に分布されたハーモニクスが現れました。

 

 

          さんしんのスペクトル波形

 

ちんだみ(調弦)=G# C# G# 本調子の女弦(ミージル)を爪(水牛)で弾いた。クリップオンのATM-35で録ったスペクトル波形。

 

 

分布SPAN(間隔)は207~234Hzの狭い範囲、平均値は215.8Hzでした。

その中心値を決めるのはアプリケーション、そして最終的には筆者自身ですから、本当は「ビシッ」と揃っているかも知れません。

 

 

 

 

 

 

一方、明珍火箸はご覧の通り、見たこともない綺麗さ。

 

                                                                  明珍火箸のスペクトル波形

 

糸で吊った2本の明珍火箸どうしが触れ合う音をSONY C-38Bで収音したスペクトル波形です。

 

 

 

 

似たような音を出す楽器に「フィンガーシンバル」があり、どちらも高い金属音で「チ~ン」と鳴ります。

スズキ楽器SFC40(同社サイトより)

 

 

            フィンガーシンバルのスペクトル波形

 

2インチ(約5cm径)のフィンガーシンバルを打ちあわせた時のスペクトル、「似ても似つかない波形」、このちがい どう見ますか。

 

 

ちょっと聴いた限りでは似たような「チ~ン」音だが、この違いには唖然とします。

 

 

 

 

さんしんの音響

 

さんしんの演奏はPAを伴うことが多く、この整理された音であるが故、発生するひずみは決して「レベルオーバー」ではないコンデンサマイクの性(サガ)、というのが難しいところだ。

 

「単一指向性クリップオンマイク」ではまともに使えるものは少なく、速弾き(カチャーシー弾き)ではさんしんで試されつくした機種以外、大抵のクリップオンマイクで演奏を阻害するひずみが時々発生する。(無指向性クリップオンマイクは除く)

 

 

ためしに

YOUTUBEで「さんしん」音源を探すと、有名人であっても個人投稿の動画では高確率でこのひずみに遭遇します。

 

それは、弦を弾いた瞬間・直後に音程のない「パツッ パツッ」とか、「ペシャッ」という異音が伴うことです。

 

これは決して「レベルオーバー」などではなく、これこそが今回テーマの「謎のひずみ」です。

 

これはきちんとした手順で編集された演奏音源では見ることがありません。

 

 

 

これはいままで見ていただいたMEMS単一指向性マイクすべてに言える課題です。

 

現在、「明珍火箸」をつかって設計の見直しをおこなっています。

近い将来、MEMS単一指向性マイクは本当に力を持つものに変わっていくことでしょう。

 

 

限りなく周回遅れのローテクは「ハイテク」より新しい。

 

 

以上

 

 

 

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