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ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

※ないものねだりこそ開発の原点だ※ 
※すべてのマイクロホンは発展途上の音響デバイスだ※
※「常識」は思考停止へのブレーキです※
※百の議論より一つの事実※







© 2009-2025 Shin's PA workshop. All rights reserved.

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管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

 

2517-A より

おことわり:あくまで「破壊試験」を主とした「損失テスト」につき個人研究者には経済的限界があることをご容赦ください。
 
 

 TODAY'S
 
Digikey分を追加テスト

8月11日に緊急発注した「Digikey」分。 同日664個あった一部がUSAから届きました。実質3日、早いですね。
 

 

 

 

すぐ試験をおこないました。(試験サンプル6個)

試験サンプル6個はDigikey  11-Aug-2025分です。

 

 

1.プレヒート100℃1分間 (サンプル3個)

(結果):3個全部熱破壊しました。(蘇生不可)

 

 

2.プレヒート60℃1分間 (サンプル3個)

(結果):3個全部正常動作しました。

 

 

 

 

生産ロットの問題か?

理由は分からないが、現流品(2025年8月14日時点)で市場のICS-40730では手半田時のプレヒート(100℃ 1分間)ではほぼ熱破壊すること。

 

60℃ 1分間では安定的にOKとなった。

 

 

すなわち、2025年8月14日時点でMouser品もDigikey品、どちらのICS-40730も熱的条件は同じということが判明しました。両者の生産ロットなどは不明です。

 

 

 

 

(追加試験)

ロット=MOUSER 20-Jan を2個使い、ほぼ同一Soldering profileをもつKnowles SPM0687LR5H-1で不思議なことになりました。

 

・このロットのICS-40730では 60℃ 1分間プレヒート後、2個とも軽い「バリバリ」音のみで、だんだんそれが大きくなる異常。

音声収音はナシ。すなわち「熱破壊」

 

・Knowles SPM0687LR5H-1では 100℃ 1分間プレヒート後、2個とも何の問題もなく動作。

 

 

データーシートの誤り?、「ICS-40730」には前例があります。

 

 

 

(結論)

1.ICS-40730MOUSER在庫品の中に、あきらかに熱条件の良くないロットの個体(すなわち熱的データ・スペックを満足しないモノ)が数多く存在する。

 

 

2.デバイスのディストリビューター各社とは関係なく、TDK InvensenseのMEMSマイク ICS-40730で2025年以前では問題なかった「SOLDERING PROFILE」が2025年製品ではそれを満たさなくなっているようである。

 

 

ちなみに

IM73A135V01及びSPM0687LR5H-1並びにsoundskrit社のSKR0600ではいずれもプレヒート 100℃ 1分間で破壊する個体は1個もありませんでした。

 

 

 

この件に関し皆様のほうではどんな様子でしょうか。

お聞かせいただければ幸いです。(記事末 メール窓から)

 

 

以上

 

 

 

 

本記事の無断ネット盗用は犯罪です。

無断盗用の無法者 YOUTUBEの   (H県K市H氏)による当サイトの利用は永久厳禁。

 

 

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またFetⅡなど純正WM-61Aのファンタム式パナ改マイクも継続中です。

 

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★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。

★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。

★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。

★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリもOKです、ただしその場合、記事から得た情報の利用公開については都度、出典・引用を文字によってあきらかに、管理人の指示に従ってください。

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本件、MOUSER以外では、状況は異なっているかもしれません

 

STEP.1最近のICS-40730の熱的な様子が変だ本件、他のMEMS品種では無関係です。      

 
 

5年前、記事:2006でMEMSマイクの手半田法を開発:公開しました記事:2208までに確立させ、海外にも紹介してきました。

 

その後、他のMEMSマイク(Infineon IM135V01やKnowkes  SPM0687LR5H-1や他社・他品種でも完全に信頼できる手半田法として確立してまいりました。

 

事故もなく海外の実例でも良好な報告を受けてまいりました。ところが・・・

 

 

 

 

 

ICS-40730 最近のロットが変です

 

前ロットから切替えはじめた3月ごろから同ロット分に手を付け始めたが、その後軒並みの異常発生に不安とロット不良を予感した。

(古いロット分をお持ちの場合は無関係です)

 

過去4年間ではじめて経験する異常です。

 

ICS-40730はその音質の優秀性に反して「光ノイズ」に極端に弱いため使用を控えていた品種でもあり、このことに気づくのは遅く、4月~7月ごろにかけて段々「ロット不良」を意識するようになった。

あきらかに今までとは様子が違います。

 

それは「不良率」が90%以上に及ぶようになり、たまりかねて8月になって「MOUSER」に申し出た。しかし保証期間の6か月を過ぎているので、有効な救済手段はありませんでした。

 

もっとも「リフロー」ではなく「手半田」については何も保証されませんが、手を付けてない新品がまだ多数ある。

 

 

 

STEP.2やむなく買った次ロットも同一でした。

やむなく、代替分を8月に買ったが、結局前回ロットと何も変わりませんでした。(前回と同一ロット在庫の可能性あり)

すなわち「ICS-40730」においてスペック上の「SOLDERING PROFILE」の一部であるプレヒートのみをおこなうというこのサイト発案の「手半田法」において、”100℃の熱風1分間” というレシピではほとんどのICS-40730が破壊するという事実が判明しました。

 

もちろんいきなり手半田すれば100%壊れましたが、

他社・他品種のMEMSマイクではこういう事実はまったくない事を確認しています。

 

 

 

この件に関し皆様のほうではどんな様子でしょうか。

お聞かせいただければ幸いです。(記事末 メール窓から)

 

 

 

MEMSマイクの基本構造

 

これは一般的なMEMSマイクの基本構造(例)です。

TDK社のHPから

 

 

 

 

 

 

  問題はこれだった

 

 

記事:2208で紹介した手法、ICS-40730の「SOLDERING PROFILE」の前半分を活用した手半田法の「プレヒート」部分(赤エリア)

 

この「T smin」~「T smax」の範疇である「100℃ 1分間」が許されなくなった。

 

これがICS-40730の2025年ロットの手半田ではほぼ不良となり、その現象を下記に書きました。

 

 

(現象)

・ただバリバリいうもの

・ノイズの中に音声があったり、なかったり。

・ややS/Nが悪化した軽いもの

 

 

 

 

 

 

STEP.3リベンジこの方法で安全に手半田できるようになりました

     (すなわち、この方法で正常動作します)

 

 

(試験サンプル10個で試験)

1.プレヒート温度を 100℃→60℃に下げた。

一挙に成功率が上がり、不良率は30%まで下がった。

 

2.動作不安定な場合、再度熱風加熱によって正常動作する場合があります。

穴側からヒートガンの距離をおき、熱風が内部に吹き込むように45度程度の角度で15~30秒間追加熱すると高確率で正常動作するようになります。

 

これは通電し、小音量にして(耳を傷めるため)モニターしながら行うことをお勧めします。なぜならば、その修復プロセスが聞こえるからです。

 

 

注) プレヒート・追加加熱ともに冷めて常温になるまで絶対に手を触れてはいけません。

(メンブレンを含む極少なメカニカル構造が変形することが原因と考えます)

 

サンプル10個の評価では2.で発生した完全不良品は1個だった。

 

したがって10個中不良となったのは1個で成功率90%となったが、手を触れていなければ成功率100%となったはずです。

 

上記でリベンジできるのは、おそらくダイアフラム=メンブレンを含むMEMSチップの機械構造が「追加加熱」によりミクロorナノレベルで「正規位置」に納まる、と考えれば分かりやすい。

 

 

今までとはかなり手順が異なりますが、この方法で正常動作するようになりました。

 

また、「破壊した」ICS-40730もこの方法で復活するものがあります。

 

 

 

 

この実験には約20個の新ロットICS-40730を使用しました。

 

それはこの事象発生の再現性・復活法の正確さを担保する為です。

 

 

 

 

 

 

  ICS-40730 だけがなぜそうなる?  

 

 

この構造通り4つの独立したMEMS可動部がある。

手半田による部分的な熱膨張・熱収縮はこの動きを阻害したり、重症になると「ダイアフラム」=メンブレンと「バックプレート」間の微小空隙(ギャップ)が短絡すると推測。

 

 

すべてのMEMSマイクメーカーでは「SOLDERING PROFILE」を公開し、リフロー・プロセスを規定しています。

 

しかし最近ロットで何か重大な量産上の問題が発生しているだろうことは、筆者の「直感」で読み取った次第です。

 

それは元に戻るのか、このままなのか、それとば関係なく現実に起こっている問題にしなやかに従いたい。

 

 

 

 

ディストリビューター間

 

チューリップちなみにICS-40730の現在の在庫数は8月11日現在で

MOUSER :6,157個  DIGIKEY  :639個

となっています。このあとのロットがどうなるか。

或いは DIGIKEY分664個はどうなのか、

本日の注文したDigikey分が届き次第追加報告いたします

 

おことわり:あくまで「破壊試験」を主とした「損失テスト」につき個人研究者には経済的限界があることをご容赦ください。

 

 

 

 

! ICS-40730の使用を当面あきらめるのが一番簡単な解決法です。

IM73A135V01は「差動動作」しかしませんがKnowlesのSPM0687LR5H-1ならシングル動作できます、S/Nは70dBと4dB低いですがMOLは7dBも高い、作業もしやすく熱衝撃にも強い。

 

ここしばらくはこの状態がつづくでしょう。

 

他のMEMS品種では無関係であることを重ねて申し上げます。

 

 

 

 

2517-Bに続く

 

 

 

 

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”オフマイク適正” MEMS単一指向性マイク実現の最大課題は

「既存の単一指向性マイク設計のノウハウ」では実現にはほど遠いことでした。

 

 

  オフマイク適正のMEMS型単一指向性マイク

Probe-T」「Probe-T infの高音質を引き継ぐ

 

 これは試作です

 

 

 

Probe-T u1 MEMS単一指向性マイク

 

 

指向性切替機構を含めた全体像

 

 

 

方式:Dual Mems 仮想傾度型単一指向性コンデンサマイク

見慣れない位置にある速度穴はこのマイクの特徴です)

 

 

 

 

こちらから試聴できます  You can listen to it here

 音源1(通行量のはげしい道路)

 

 

 音源2 (JR秋葉原駅ホーム)

 

 

 

   

 

 

 

 

 

指向特性  Polar Pattern

 

 

祈るように測定した指向特性はご覧の通りです。at.1KHz,

 

(指向パターンは大きく周波数依存します)

 

 

指向性試験

 

 

 

指向性切替シャッタースリーブ

速度穴は4つ。シャッタースリーブにより指向性可変可能。

 

 

①シャッタースリーブなし:「ワイドカーディオイド」

②穴1個:「ハイパーカーディオイド」

③穴1/3個:一般的な「単一指向性}(微調整可能)

 

マイク先端から16mm付近、90度~120度で2本交差させれば良質な「X-Y」ステレオマイクになります。

 

 

 

 

 

「MEMS型単一指向性マイク」は無指向性型の延長技術にあらず。

 

「無指向性MEMSが良かったから今度は単一指向性だ」という単純な想いでは決してたどり着けないノウハウが、指向性マイクには山のようににある。

指向性生成については、記事:2502で相当つっこんでいます。

こうした積み重ねを前提に「MEMS単一指向性 v05」と言えます。

 

ササッと「完成」など夢の夢、多くのことは手さぐりで、未踏の地を1人で歩く覚悟が必須です。

理屈では絶対にモノにならない「マイクロホン技術の職人領域」をあきらめず進む強い意志はあるか、それが明暗を分けます。

 

それは「音を聴く」ことに尽きます

 

 

 

 

  音を聴きながら作り込んでいく

まず、基準とする既存のコンデンサマイクが必ず必要です。(リファレンスマイク)

 

それがない場合、「無指向性」ではなんとかなっても、「単一指向性マイク」ではメチャクチャなものになるでしょう。

 

それほどにMEMS型単一指向性マイクの難しさは筆舌に尽くしがたい高いハードルがある。

それは同様の実験・試作をおこなわない限り経験できませんが、

「単一指向性」はECMや大口径ダイアフラムで経験されたとしても、そのノウハウではMEMSマイクには通じませんし、とても手に負えません。

 

MEMSマイクに対し半信半疑の状態ではNG、まずは卓越した「無指向性MEMSマイク」を経験し、そのクセを十分身につけてからです。

 

 

 

 

(MEMS型単一指向性を実現させる各種方式)

 

2つの無指向性MEMSマイクで「仮想音圧傾度」型を構成する

 

双指向性MEMSマイク(soundskrit社 SKR0600)等の背面空気質量の流入制御(イナータンス制御)

 

無指向性MEMSマイクのトップカバーをはずし、双指向性化し②同様のプロセスで。

 

2つの双指向性MEMSの物理位置による合成パターンを利用する。

 

 

 

 

 

「できなければやめる」選択肢も正しい

なぜならば、そこは無限地獄だからです。

MEMS単一には「回路の理想」をきわめても何の意味もありません。

覚悟と経験と想像力、そしてマイク独特の理論が無限に求められ続けます。

 

できなければ「やめる」は正しい選択です。

 

なぜならば、単体の「MEMS型単一指向性マイク」はこのサイト発表以外、業務実用をめざす例はまだ世界のどこにも存在しないからです。

 

 

 

 

 

 

オフマイク適正のむずかしさ

指向性マイク特有の「近接効果」に頼らない低域獲得の難しさ。

存在しないエネルギーはイコライザーでも出てこない。

そもそも「低域はどこまで出すか」そして「音源との距離関係」はMEMS型単一指向性の基本課題として悩みどころです。

 

たまたま完成しても、ほとんどの場合20cmも離れれば音はすっかりヤセて消えかかり、「Vo専用」または「クリップオンマイク」までがこれまでのMEMS型単一指向性マイクの能力でした。

 

なんとかして無指向性MEMS同様にホール3点吊り衛星部に乘らないか・・・

オフマイクでパフォーマンスを示す優秀マイクができないか・・・

波長、質量、管内共鳴、音響抵抗、音質、遮光、ボイス試験、明珍火箸試験、騒音評価etcと、チューニングに明け暮れた。

 

そしてたった1つの推測が状況を一変した。

それは「MEMSマイク」振動系の質量が人の鼓膜の1/10以下しかないこと。イナータンスとしてのそれは「速度穴」の状況を劇的に変えて答えを出してくれたのです。

 

 

「チューニング」がすべてでした。

 

 

 

 

 

 

衝撃異音をいかにかわすか

あきらめない「想い」と持続力に頼るのみです。

「衝撃異音」が出なくなるまで取り組む。

なぜならば、それはマイクの各ファクターの組み合わさり、絡み合ったファクターだからです。

 

成功するまで続ければ失敗など存在しない。

 

 

 

 

  「単一指向性」どんな方法で実現させたか

下写真のどの段階でも必ずを聴きながら進める。

 

しばらく使用を控えていたICS-40730音響用黒色ヒメロン(HN606B)による音穴の遮光処理によって光環境にきわめて弱かったこのMEMSマイクを「光ノイズ不感型」にバージョンアップして使用した。

 

 

(MEMSマイク実装方向について)

筆者のMEMSマイクの音穴方向(縦90度実装)に違和感を感ずるかたも居られましょう、それは当然です。

 

そのMEMSマイクを設計製造したメーカーは「穴を音源に向けた」設計をしていますし、測定データやスペックもしかりです。

 

しかしながら、筆者が初めてMEMSに出会って音を聴いた瞬間からそのスカスカした違和感に疑問を持ちました。

あちこち向けてテストする中で縦90度方向の音に自然感・力感を感じました。その後この経験を経て確実にこの方向が「正方向」であるという事を確信しました。

 

また、わずかながら実在するメーカー製MEMS単体マイク製品の例では国内外すべてがこのサイト同様に「縦90度実装」であり、アマチュアの方の自作以外では音穴を音源に向けた例は見当たりたりません。

そのメーカーでもおそらく、私が経験した事と同じ理由で方向決定されていると思います。

 

 

イタリア IKマルチメディア社の例(MEMSマイクの位置、方向を拡大強調しています)

 

 

 

「常識」は「思考停止ブレーキ」にもなる。

 

 

肝心なのは、筆者の私は「初歩的なマイク構造」を云々しているわけではなく、「マイクロホンのその先」を追求しています。

 

 

いままで「穴」を音源に向けていたMEMS自作者の空気録音やクラシック録音のベテランも、口をそろえて語るのは穴方向音の「引っ込み感、ひ弱さ、量感のなさ」を指摘し、さらに改良を進めるかたは、のちに必ず縦90度実装に落ち着きます。

 

 

また、既にかなり録音現場に行きわたっている「Probe型MEMSマイク」は全て「縦90度実装」です。

それは、 B&K(DPA)、NEUMANN、SENNHEISER、 EARTHWORKSといった列強を相手に同等または勝ち進んでいる事実をぜひ知ってください。

 

 

この一連の事実から突飛な方法」だと思われても、「縦90度実装」はこのように第一線エンジニアたちの評価と実績をもってこの能力が証明されています。

 

ここまでくると、半導体センサー・ジャンルである「MEMSマイクメーカー」「設計者」は私たち「音響人」とは異なった目標と音響哲学を持って音に向かっているとしか考えられません。

 

それは「サウンドセンサー」としての「MEMSマイク」「マイクロホン」との次元の異なる明確な違いです。

 


 

 

 

 

 

 

 

音を聴き続けながら完成度を上げていく

・室内騒音

・マイボイスリアルタイムモニター(オンマイク・オフマイク)

・明珍火箸(衝撃音ひずみ・余韻)

・さんしん演奏音(アタックひずみ・余韻)

・指向性テスト

・PAテスト(ハウリングマージン)

・屋外録音テスト

 

成功するまでやめない。(これが最も大切です)

 

 

 

 

 


d=33mm(1kHzの1/10λ) に調整した瞬間、モニタ音は激変、脳内に「ガツン」と衝撃が走り、すべての音はベールが剥がされた。

 

 

その音は

・明珍火箸のアタック音も余韻も澄んでいる。

 

・さんしんもアタック「異音」が消え、突き抜けた。余韻も綺麗。

 

・駐車場のアイドリングエンジン音(40Hz以下)が聴こえている。

 

・マイボイス・リアルタイムモニターによるトーク音はオフ領域まで綺麗。

 

・MEMSマイク特有の20KHz付近にあった鋭いピークは影もカタチもない。

 

 

かくして「近接効果」の少ない単一指向性マイクとなった。

 

 

 

回路図

 

カップリングコンデンサがない?

 

 

ひねくりまわした「低ノイズ、低ひずみAMP」も風流だが、これは「中出力レベルマイクロホン」元々AMPそのものがいらないはず、SMD ED8というトランスの音は折り紙付き、格別です。

 

 

 

後日

再度見直し、MEMS~トランス間にマイカベースの音響用ケミコン(R3A)を追加してトランス巻線へのDCカットと2個のMEMS-OUT間のDCループを絶った。これは2つのMEMSとトランス間のどこか1か所に入ればいいわけですが、フロントMEMS側がよい。

もともとは2個のケミコン使いでしたが、チューニングの中で上記回路に至りましたが、どうしても気になるポイントでした。

本当はBPタイプがいいのですが、いまどき好ましいBPケミコンはほぼ入手不可、収納サイズの問題もあり、割り切りました。

サンプル録音の例よりさらに「グイッ」と低域が伸びました。

 

 

 

 

 

 

MEMS型単一指向性特有の指向性生成

 

振動系が非常に小さい(質量がケタ違いに小さい)ので僅かなイナータンスの変化でも指向性は激変します、このあたりがMEMS型単一指向性マイクのクリチカルかつ難しい点なのかもしれません。

 

速度穴はφ7ステンレスパイプにキズなくφ1.5の穴4個をあけるのは途方もなく難しく丁寧に時間をかけた。ボール盤はない、パイプがつぶれてしまうのでセンターポンチは使えない。

 

さればミニルーターでと、0.5mmで開け、広げていった。

回転する0.5mmドリル刃が時々指を突き刺す痛みは格別でした。

その激痛と完成の喜びを秤にかければ、血まみれでも当然ステンレスパイプを掴んでいました。

結果から考えればそれ以外になく、よかったと思います。

 

ステンレスですから硬いですが、多少のズリ傷はペーパーでヘアラインを付けるだけで綺麗に消えてくれます。

 

穴4個の場合と、穴1個、そしてそれを2/3ふさいだ場合とでこれほどの指向パターンの差が出るとは思いもよらぬ事実。

 

当然、一般コンデンサマイクや他形式のマイク同様に「開けておけば良い」とルーズな感覚で速度穴に臨んでいたらここにたどりつくことは絶対になかったでしょう。

 

同様に、ピュアな「Cardioide」=(心臓型パターン)を得るにはMEMSマイクではハンパなくクリチカルであること。

そのキモは「振動系の質量」にあるのでしょう。

 

 

 

とにもかくにもはじめてたどり着いたのは、いままで経験したことのない「オフマイク適正」のMEMS型単一指向性マイクです。

 

遠方音でも低域落ちがなく、「近接効果」による30cm未満の低域盛り上がりも少ない、その性質はEVのRE-20など一部のダイナミックマイク(バリアブルD)で見られる「音響位相管方式」に似ている。

VOCALなど近接効果を利用した使用には向きません。

 

 

せっかくなので「指向性切替シャッタースリーブ」を外付け追加して、「カーディオイド」「ハイパーカーディオイド」「ワイドカーディオイド」の切替を可能にしました。

 

さらに、マイク2本を交差させると、ごく自然で良質な「X-Yステレオマイク」になることを確認しました。

 

 

 

今回の録音で良く分かったのは、フィールド録音において無指向性単一指向性とでは捉え方がかなり異なります。その選択は、目的次第となるでしょう。

 

 

 

 

 

以上

 

 

 

 

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