2517-A :緊急レポート 最近のICS-40730 熱的な様子が変だ | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

 

 

本件、MOUSER以外では、状況は異なっているかもしれません

 

STEP.1最近のICS-40730の熱的な様子が変だ本件、他のMEMS品種では無関係です。      

 
 

5年前、記事:2006でMEMSマイクの手半田法を開発:公開しました記事:2208までに確立させ、海外にも紹介してきました。

 

その後、他のMEMSマイク(Infineon IM135V01やKnowkes  SPM0687LR5H-1や他社・他品種でも完全に信頼できる手半田法として確立してまいりました。

 

事故もなく海外の実例でも良好な報告を受けてまいりました。ところが・・・

 

 

 

 

 

ICS-40730 最近のロットが変です

 

前ロットから切替えはじめた3月ごろから同ロット分に手を付け始めたが、その後軒並みの異常発生に不安とロット不良を予感した。

(古いロット分をお持ちの場合は無関係です)

 

過去4年間ではじめて経験する異常です。

 

ICS-40730はその音質の優秀性に反して「光ノイズ」に極端に弱いため使用を控えていた品種でもあり、このことに気づくのは遅く、4月~7月ごろにかけて段々「ロット不良」を意識するようになった。

あきらかに今までとは様子が違います。

 

それは「不良率」が90%以上に及ぶようになり、たまりかねて8月になって「MOUSER」に申し出た。しかし保証期間の6か月を過ぎているので、有効な救済手段はありませんでした。

 

もっとも「リフロー」ではなく「手半田」については何も保証されませんが、手を付けてない新品がまだ多数ある。

 

 

 

STEP.2やむなく買った次ロットも同一でした。

やむなく、代替分を8月に買ったが、結局前回ロットと何も変わりませんでした。(前回と同一ロット在庫の可能性あり)

すなわち「ICS-40730」においてスペック上の「SOLDERING PROFILE」の一部であるプレヒートのみをおこなうというこのサイト発案の「手半田法」において、”100℃の熱風1分間” というレシピではほとんどのICS-40730が破壊するのいう事実が判明しました。

 

もちろんいきなり手半田すれば100%壊れましたが、

他社・他品種のMEMSマイクではこういう事実はまったくない事を確認しています。

 

 

 

この件に関し皆様のほうではどんな様子でしょうか。

お聞かせいただければ幸いです。(記事末 メール窓から)

 

 

 

MEMSマイクの基本構造

 

これは一般的なMEMSマイクの基本構造(例)です。

TDK社のHPから

 

 

 

 

 

 

  問題はこれだった

 

 

記事:2208で紹介した手法、ICS-40730の「SOLDERING PROFILE」の前半分を活用した手半田法の「プレヒート」部分(赤エリア)

 

この「T smin」~「T smax」の範疇である「100℃ 1分間」が許されなくなった。

 

これがICS-40730の2025年ロットの手半田ではほぼ不良となり、その現象を下記に書きました。

 

 

(現象)

・ただバリバリいうもの

・ノイズの中に音声があったり、なかったり。

・ややS/Nが悪化した軽いもの

 

 

 

 

 

 

STEP.3リベンジこの方法で安全に手半田できるようになりました

     (すなわち、この方法で正常動作します)

 

 

(試験サンプル10個で試験)

1.プレヒート温度を 100℃→60℃に下げた。

一挙に成功率が上がり、不良率は30%まで下がった。

 

2.動作不安定な場合、穴側からヒートガンの距離をおき、熱風が内部に吹き込むように45度程度の角度で15~30秒間追加熱するとまず正常動作するようになります。

 

これは通電し、小音量にして(耳を傷めるため)モニターしながら行うことをお勧めします。なぜならば、その修復プロセスが聞こえるからです。

 

 

プレヒート・追加加熱ともに冷めて常温になるまで絶対に手を触れてはいけません。

 

サンプル10個の評価では2.で発生した完全不良品は1個だった。

 

したがって10個中不良となったのは1個で成功率90%となったが、手を触れていなければ成功率100%となったはずです。

 

上記でリベンジできるのは、おそらくダイアフラム=メンブレンを含むMEMSチップの機械構造が「追加加熱」によりミクロorナノレベルで「正規位置」に納まる、と考えれば分かりやすい。

 

 

今までとはかなり手順が異なりますが、この方法で正常動作するようになりました。

 

また、「破壊した」ICS-40730もこの方法で復活するものがあります。

 

 

 

 

この実験には約20個の新ロットICS-40730を使用しました。

 

それはこの事象発生の再現性・復活法の正確さを担保する為です。

 

 

 

 

 

 

  ICS-40730 だけがなぜそうなる?  

 

 

この構造通り4つの独立したMEMS可動部がある。

手半田による部分的な熱膨張・熱収縮はこの動きを阻害したり、重症になると「ダイアフラム」=メンブレンと「バックプレート」間の微小空隙(ギャップ)が短絡すると推測。

 

 

すべてのMEMSマイクメーカーでは「SOLDERING PROFILE」を公開し、リフロー・プロセスを規定しています。

 

しかし最近ロットで何か重大な量産上の問題が発生しているだろうことは、筆者の「直感」で読み取った次第です。

 

それは元に戻るのか、このままなのか、それとば関係なく現実に起こっている問題にしなやかに従いたい。

 

 

 

 

ディストリビューター間

 

チューリップちなみにICS-40730の現在の在庫数は8月11日現在で

MOUSER :6,157個  DIGIKEY  :639個

となっています。このあとのロットがどうなるか。

或いは DIGIKEY分664個はどうなのか、

本日の注文したDigikey分が届き次第追加報告いたします

 

おことわり:あくまで「破壊試験」を主とした「損失テスト」につき個人研究者には経済的限界があることをご容赦ください。

 

2517-Bに続く

 

 

 

 

 

 

! ICS-40730の使用を当面あきらめるのが一番簡単な解決法です。

IM73A135V01は「差動動作」しかしませんがKnowlesのSPM0687LR5H-1ならシングル動作できます、S/Nは70dBと4dB低いですがMOLは7dBも高い、作業もしやすく熱衝撃にも強い。

 

ここしばらくはこの状態がつづくでしょう。

 

他のMEMS品種では無関係であることを重ねて申し上げます。

 

 

 

 

2517-Bに続く

 

 

 

 

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