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ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

※ないものねだりこそ開発の原点だ※ 
※すべてのマイクロホンは発展途上の音響デバイスだ※
※「常識」は思考停止へのブレーキです※
※百の議論より一つの事実※







© 2009-2025 Shin's PA workshop. All rights reserved.

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管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。(巻末詳細)

 

 

それはSONYから学びました。

 

明珍火箸(みょうちんひばし)によるマイクロホン試験 

 

SONYでは1950年代、C-37の時代からC800Gの現代に至るまで品質管理の手段として用いられていることは知っていましたが、この際思い切ってこれを入手しました。

 

この骨董品的姿には驚いたが、きっと何かが見えるだろう

 

 

(明珍火箸)

 

「マイクの音響試験」は、とどのつまり測定値など単に参考ファクターにすぎない。

物理特性による最終判断などあり得ず、マイクロホンの性能判断はそこから先こそが重要です。

 

またマイクロホンの音決めは「聴感覚」以外にあり得ません。

SONYでは60年以上前からこの一点に着目して独自の評価法を切り開いていたのです。

 

 

限りなく周回遅れのローテクは今の「ハイテク」より新しいかも

 

平安時代からの甲冑製造技術が元となった「純鉄」「和鐵」さらに「玉はがね」の鍛造火箸、明珍家によってのみその歴史が紡がれています。

室町時代、千利休の依頼で火箸を作ったのがはじまりといわれています。

 

この「明珍火箸」は糸で吊られた二本が触れ合うと「チーン」と和鐵独特のどこまでも澄んだ音が響き、二本の火箸の上方にかけて「うなり」とともに、それはまさに楽器そのもの。

2本の火箸から発する音と、うなり音が余韻となっていつまでも聴こえるという素晴らしい発音体です。

 

 

 

 

SONYの発表より

 

不鮮明なので下記に書き出します 「火箸が変えた世界の音色。」

 

 昭和は私たちの耳にいろいろな声を残しました。「前畑ガンバレ」「玉音放送」「東京五輪開会式」「ゴジラの快球」「ビートルズ来日」・・・実はその「声」が東京五輪を境に大きく変化しているのです。(聖火台に火が点りました。燃える、燃える、燃える)あの名セリフが昭和39年。

この時代以降、放送用国産コンデンサーマイクが普及します。先鞭を付けたのがソニーのC-37A。昭和29年にデビュー。外国製品一辺倒だったマイクの世界に革命をもたらしました。

世界のミュージシャンにC-37Aファンが続出したのです。

そして、世界で初めてトランジスタ化が図られたC-38。放送のやりかたを変えたタイピン型・超小型エレクトレットコンデンサーマイクECM50と世界に先駆ける最先端マイクの出現で、「マイクはソニー」という時代が到来します。 さてそのソニーの技術陣が音質検査に使うのは、2本の火箸。それも由緒正しい明珍火箸です。これを糸でつないで鳴らすと心地よい音がします。

音色と余韻が優れている生音源。マイク革命をもたらしたソニー技術陣の採用理由でした。

技術と火箸のアンサンブル・・・世界の音を支えたのは、日本古来の火箸ということになるでしょうか。

 

 

 

 

今回のテーマ「明珍火箸とC-38B」

 

 

 

 

明珍火箸、音の秘密

音の美しさには秘密があるようで、スペクトルを見ると「倍音」成分が実にきれいに整理されていることがわかります。

 

その整理された綺麗さが故にそれが障害原因となるとは・・・

 

そのアタックと余韻の特徴は「さんしん」「三味線」に見られる波形に似ています。

 

つまり「基音がしっかりしていて」「整理された倍音」はコンデンサマイクがひずみを誘発しやすい厳しいスペクトルだということをSONYのマイクロホン技術者である村上氏と富田氏が明珍火箸によるマイクテストの歴史と優位性の話をDU BOOKS発行 「音楽クリエーターのためのマイクロホン辞典」のなかで語られています。

 

 

2018年 林憲一氏著 DU BOOKS発行 「音楽クリエーターのためのマイクロホン辞典」より

※書籍ページの公開が不適切な場合は削除いたします。

 

 

SONYの業務用コンデンサマイクはこの波形をひずみなく収音することには徹底しており、「明珍火箸」による評価法をC-37以前の昔から用いて実績を上げています。SONYによって発案されたこのワザは同社のお家芸として、150万円マイクC-800Gの現在にいたるまで「音決め原器」として続いています。

 

それ以前は「人のトーク音声」で決められていた、と聞くとまさにShinの「マイボイス・リアルタイムモニター」と変わらない手法がメーカーの音質評価に使われていたのは、妙に納得できます。

そして、村上氏と富田氏はこう言い切っている。

 

「マイクは楽器と一緒、私たちは楽器をつくっているんです」

「マイク作りはやっぱり "職人” マイスターの世界なんですよね」

 

このご両人の名言は、途方もなくに腑におちた。

 

 

 

 

 

  明珍火箸によるマイクテストの実態(試聴できます)

 

 実験音源       

 

①C-38B  ②BETA-87A  ③C-451B 

 

 

 

 

音源との距離は一般収音ではもっとオフであるべきですが、これは「いじわるテスト」です。

このため、距離感はSONYに学んだ

 

 

 

これには驚いた。

 

・コンデンサ型特有でありダイナミックマイクでは見られない。

・無指向性型では発生しづらく、指向性マイクで見られやすい。

・マイクの値段の高低は無関係なファクター

・案の定SONY C-38Bは見事な結果を示した。

・「カナモノ」に強いというC-451系でも発生を見た。

・最後に、これがダメでも音楽全体をダメにするとは限らない。

 

 

AKG C-451B、これは「金物系」ならコレ!、というだけあって、見事な結果であった。

C-451E/Bはやや砕けが発生、C-480B、C-391Bではパーフェクト。

(ちなみにC-451E/BはCK-1カプセルのDCバイアス型、451B、480、391はECMです)

 

 

 

単一指向性を中心とした各種マイクでの「ひずみ発生」テスト

 

 

最悪結果であった「BETA87A」の波形

 

 

 

聴感では「チーン」に対し、

では聴くに耐えない「ビヨッ」というひずみ(異音)が発生。

(波形ではわかりにくい)

録音音源の比較でどうぞ

①C-38B  ②BETA-87A  ③C-451B  

 

 

 

 

 

 

私自身、ことの発端は

MEMSマイク単一指向性化が進むにつれ、妙な現象がついてまわるようになった。

それは自らの「さんしん」の収音ではマイクの作り方によっては「ベシャッ」「ペシャ」と簡単にひずむ。

 

サイン波やホワイトノイズでは何ともないのに、なぜだ?

 

どうやら、この「整理された倍音」が「このひずみ」の原因かも。

 

 

またMEMS単一指向性マイクでは、さらに衝撃音に対し1KHz以下全域で音程を持たない「バサッ」大きな異音を発する、という現象に悩まされ続けてきました。(原因は別にあるのかもしれないが)

 

 

 

 

(どう整理されたスペクトルなのか)

この例では415.3Hzを基音として5162Hzまでの間ではほぼ同一間隔(207~234Hz)で綺麗に分布されたハーモニクスが現れました。

 

 

          さんしんのスペクトル波形

 

ちんだみ(調弦)=G# C# G# 本調子の女弦(ミージル)を爪(水牛)で弾いた。クリップオンのATM-35で録ったスペクトル波形。

 

 

分布SPAN(間隔)は207~234Hzの狭い範囲、平均値は215.8Hzでした。

その中心値を決めるのはアプリケーション、そして最終的には筆者自身ですから、本当は「ビシッ」と揃っているかも知れません。

 

 

 

 

 

 

一方、明珍火箸はご覧の通り、見たこともない綺麗さ。

 

                                                                  明珍火箸のスペクトル波形

 

糸で吊った2本の明珍火箸どうしが触れ合う音をSONY C-38Bで収音したスペクトル波形です。

 

 

 

 

似たような音を出す楽器に「フィンガーシンバル」があり、どちらも高い金属音で「チ~ン」と鳴ります。

スズキ楽器SFC40(同社サイトより)

 

 

            フィンガーシンバルのスペクトル波形

 

2インチ(約5cm径)のフィンガーシンバルを打ちあわせた時のスペクトル、「似ても似つかない波形」、このちがい どう見ますか。

 

 

ちょっと聴いた限りでは似たような「チ~ン」音だが、この違いには唖然とします。

 

 

 

 

さんしんの音響

 

さんしんの演奏はPAを伴うことが多く、この整理された音であるが故、発生するひずみは決して「レベルオーバー」ではないコンデンサマイクの性(サガ)、というのが難しいところだ。

 

「単一指向性クリップオンマイク」ではまともに使えるものは少なく、速弾き(カチャーシー弾き)ではさんしんで試されつくした機種以外、大抵のクリップオンマイクで演奏を阻害するひずみが時々発生する。(無指向性クリップオンマイクは除く)

 

 

ためしに

YOUTUBEで「さんしん」音源を探すと、有名人であっても個人投稿の動画では高確率でこのひずみに遭遇します。

 

それは、弦を弾いた瞬間・直後に音程のない「パツッ パツッ」とか、「ペシャッ」という異音が伴うことです。

 

これは決して「レベルオーバー」などではなく、これこそが今回テーマの「謎のひずみ」です。

 

これはきちんとした手順で編集された演奏音源では見ることがありません。

 

 

 

これはいままで見ていただいたMEMS単一指向性マイクすべてに言える課題です。

 

現在、「明珍火箸」をつかって設計の見直しをおこなっています。

近い将来、MEMS単一指向性マイクは本当に力を持つものに変わっていくことでしょう。

 

 

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以上

 

 

 

本記事の無断ネット盗用は犯罪です。

無断盗用の無法者 YOUTUBEの   (H県K市H氏)による当サイトの利用は永久厳禁。

 

 

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★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。

★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。

★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。

★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリもOKです、ただしその場合、記事から得た情報の利用公開については都度、出典・引用を文字によってあきらかに、管理人の指示に従ってください。

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  Probe形状マイクの先端メッシュおよびプロテクター

 

 

2013年、FetⅡのフロント部に採用した「金属メッシュ」の絞り成型が自作マイクの世界に一気にひろまりました。

 

その後MEMSマイクに及んで真っ先に考えたのがそのアレンジです。

 


 

 

 

 

 

 

 

STEP.1マイク先端メッシュ

2012年ころから「ファンタム式パナ改マイク」においてムキダシのECMマイクカプセルフロント(WM-61A)をなんとかしよう、と先端部メッシュを追加して見た目のグレードアップをはかってきました。

 

皆さまの自作マイクにおいても、昨今は「カプセルむき出し」は時流に合わなくなり、「フロントメッシュ」によって見た目を改善する例が増えてまいりました。

 

それはMEMSマイクでも変わりません。

 

 

Probe形状のMEMS型マイクでは先端メッシュは傷みやすいことが気になっていました。

今年からメッシュ自体、多少の力では変形しないよう構造とメッシュ材料を見直しました。

 

 

上  :3年間無防備に扱ってきた「ProbeⅡ」

中:メッシュ材料を変えた「Probe-T inf 」 

下  :3年間無防備に扱ってきた「Probe Ⅱinf Lz」

 

 

 

 

 

れまではメッシュ60を標準としてまいりましたが、取扱いの問題でつぶれたり、変形のしやすさは課題でした。

 

最近はそれをメッシュ40にして強度アップをはかりました。

 

 

 

Q.ステンレスメッシュでドーム型に成型した場合変形しにくいのはどちら?

 ①60メッシュ

 ②40メッシュ

 

(A)答えは40メッシュでした。


 

 

 

 

60メッシュの線径 0.15mmに対し、40メッシュは0.29mmとほぼ2倍の太さになっています。

 

 

そして

線径が同じならメッシュの荒い=(メッシュ間隔が広い)ほうが外圧に強い、すなわち変形しづらい ということも経験してきました。

 

線径0.15と0.29、そしてドーム径4mmでは力学的に40メッシュの優位性はこの部分のレベルアップをはかりました。

(さらに30メッシュ、20メッシュとありますが、本体との形状バランスを考えるとここでは40メッシュが適切です。

 

材料切り出し (100均の「なんでも切れるハサミ」使用)

 

 

 

 

 ❤これ以降のメッシュ加工・絞り作業は記事:2318・2319をご参考ください。

 

 

 

 

 

 

 

YOUTUBEの一部で、「職人ワザは終わった!」と声高に叫び、「MEMSマイク実用化」において、このサイト情報をその都度盗用しては、自分の研究成果だとして派手に騒ぐ輩がいた。

(H県K市の寺院関係者)

 

机上でできる手作業である金属メッシュ絞り成型だが、この作業の為に、何と「旋盤」を買い込んで成型用金型を作ろうと、バカげたことを始めるではないか。

そして、「終わったはずの職人ワザ」をみずから繰り出してYOUTUBE動画にするという「落語」の落ちネタのような哀れな姿に涙が出た。

 

それはまるでチューリップ1本の植替えにユンボで挑むような滑稽な姿です。

 

工具・道具の適材適所、適切使用ができるかどうかはその本人の基本的な技術スキル。それに加えた愛情とセンスで決まるのではないでしょうか。

 

 

 

STEP.2先端部保護プロテクター

   Probe-T infとプロテクター
 
 
 
                          
プロテクター装着
 

 

材料のプラパイプ(AMAZON)

材料となるプラパイプは外径よりも「内径」が大切です。

 

 

プラパイプの切断

 

 

切り口端面の仕上げ、パイプ内側の平滑性および金属パイプへのフィット感に注力して切断後仕上げます。

 

 

 

完成 これで先端がしっかり保護されました。

「ユルユル」感なくフィットさせるのが決め手です。

 

 

 

以上

 

 

 

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 TODAY'S
 
 市販マイクブースターAMPの   「ファンタムスルー」化を実現

 

「マイクロホン・ブースター」(インライン・プリアンプ)が各社から高品位なものが競って出回るようになってきました。

 

30dB近くのゲインがあるが、ノイズや音質劣化を指摘するケースはあまり見かけません。

 

しかし大きな課題があります。

それは「コンデンサマイクには使用できません」というお決まりの注意書きです。

 

 

この便利ツール、「コンデンサマイクで使えたら」と思うのはごく自然なことでしょう。

 

 

でもマジ、使えたらどうします?

 

 

15年前、1022 :「ファンタム式 サテライト・プリAMP」のファンタム電源スルー化の試作と記事を世界にさきがけて発表しています。

 

 

 

 

 

今回の15年ぶりの取り組みは、市販品を使ったアダプタ形式として完全に実用を前提にしました。

 

 

 

 

 

  これでコンデンサマイクが使えるファンタムスルーアダプタの試作

 

「マイクブースター」により絶たれたファンタム電源をマイクに送り込む装置です。

 

ここでは以下の2機種を相手に「ファンタムスルーアダプタ」を作っていろいろ試してみました。

1.SE ELECTRONICS DM1(DYNAMITE)  : 13,100円(サウンドハウス)

2.Clasic Pro CSB1            : 4,580円(サウンドハウス)

 

他の機種も価格なりのパフォーマンスは異なるものの、概して性能は高く、似たり寄ったりと思って良い。

 

 

※ DM1の悪質な模造品(ニセモノ)が低価格で出回っています。ご注意ください。
 

 

 

 

 

  「不可能」を「可能」にする感動を

 

(C-38Bの出力をブーストUP)

 

 

 

 

比較的新しい設計のコンデンサマイクではどうってこともないかもしれないが、昭和からのコンデンサマイク名機は-60dB、-70dBという感度の製品に時折出会う。

 

28dBのゲインを持ち、SONY C-38Bなど古い設計のコンデンサマイクも最新機種同様の出力レベルとなります。

 

「マイクブースター」は100Ω台の平衡出力を持つため、近距離向け自作マイクの長距離延伸の手段としても向いている。

 

 

 

 

 

 

 

  その構成と回路図

 

 

ZOOM F3使用にてファンタム開放電圧=48.0V(実測)

 

マイクロトランス(SMD ED8)は一流の仕事をしてくれています。

 

 

 

 

「エッ、ファンタム電圧って48Vでしょ?」

 

そう、それは「開放電圧」の事ですよね。

しかしマイクを接続した瞬間、オームの法則通り電圧降下します。

これは「思い込み」ではなく、しっかり頭で考えてください。

 

 

この件は古い記事ですが、1611を今いちどご確認ください。

 

 

 

 

すなわち動作電圧48Vのコンデンサーマイクは実は皆無なんです。

最も省電流(0.5mA前後)のノイマンU87ですら47Vとなります。

 

コンデンサマイクには電流制限があり、P48では7~10mAとされています。このときの②③~①の電圧は24.15V~14Vとなります。

 

マイク回路はこうした制約の中でベストな動作をさせますので、やみくもにオーディオアンプの常識を持ってきてもマトはずれな結果となります。

 

ちなみに14mA流すとファンタム電圧は「0V」となります。

 

またツェナーダイオードを使ったばあい「ツェナー電流」に使う電流的余裕などないばかりか、アバランシェ降伏によるノイズ発生器となって襲ってきます。

 

コンデンサマイク回路の一般のアンプ回路と大きく異なる独特さには以上のような背景があります。

 

 

 

こういうとき

「理想回路」と称した複雑怪奇なモノを設計して、別途電池電源や外部電源で動かそうとする例がみられますが、邪道中の邪道。

「P-48」は伊達じゃない、

 

ファンタム式マイク回路とは限られた制約条件の中で最高の結果を生む芸術です。

 

 

 

 

 

 

(ファンタムスルー・マイクブースターセット)

 

SE DM1と組み合わせた「ファンタムスルー」セット

 

 

 

 
 
Probe-T infとの組み合わせた例
 
あまり長く継ぎ足すとシナってくる。
立上げケーブルとうまく組み合わせる必要があります。
 
やはり渡りケーブルは途中で切り離れるといいですね。
 
願わくば、「ファンタムスルーのブースター」がほしいですね。
頑張れば改造できそうですが、2ndファンタムON/OFFをどうするかとか・・・

 

 

 

 

結果

各マイクとも、ファンタム電圧の降下にはかなりの許容幅がありますが、今回の例では通常電圧マイナス1~2Vで全く問題なし。

 

案ずるより生むがやすし

心配されたSN比、音質上の問題もなく快適そのものです。

 

2507、2508の記事で使用した20本のマイクすべて動作することを確認しました。

 

 

Crasic Proもなかなか健闘してくれています。

特に、マイクブースターのみ接続してマイク接続のないときは、「CSB1」の全電流が1.4mA、これに対し「DM1」は2.5mA」でした。この時点で「CSB1」2ndファンタム電圧は43V、「DM1」で39.5Vとなりました。

 

当然、マイクを接続するとさらに、さらに低下します。

 

これを「無条件に48V」と誤解されている事が多いのが問題です。

 

オームの法則により、この電流が少ないほどコンデンサマイクの動作電圧は高くなりますが、これが結果に現われてくれたのかもしれません。

 

音質は、「DM1」の低域のエネルギー感と粘っこい魅力サウンドを引き出してくれ、「これでどうだ」という音作り。

 

CSB1はやや「サラッ」としたノーマルな高品位音、価格以上の内容を、筆者は感じました。持出電流が少ないのも助かります。

 

 

 

 

 

 

 ニセモノ

 

AliexpressDM1激安は、見た目では本物と見分けのつかない模造品でした。(外箱に相当する製品筒シールが中国語で埋めつくされている、本体はホンモノと見分けがつかず・・・と思ったらXLR OUTの指示刻印が② ①逆でした)

 

はホンモノとはもちろん、きちんと企画されたClasic Pro「CSB1」とも比較にならない「薄~い」音。

測定結果もまったく別物、これが本当の「真っ赤なニセモノ」でした。

 

 

 

以上。

 

 

 

 

 

 

 

 

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