2318 :自作マイクレベルUPの決め手「SUメッシュ絞り加工」 前編 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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はじめに

自作マイクの目標と理想は「自作」に見えないことです。

 

最初は録音結果優先で、姿カタチなど二の次三の次であってもしばらくすると欲が湧いて来る。

事実、見栄えを良くすると確実に音も良くなる、それは錯覚ではありません。

 

「外観」の完成度をアップさせたいという健全な欲求は永遠のテーマでしょう。

 

自作の世界で次のステップを踏むとき、ある人は既存マイクのケース内に仕込む、またある人は手作業でなんとかしようとする。

前者が簡便ではありますが筆者の場合、基本後者につき「外観形状」だけでなく焼付塗装・黒染め・メッキなど「表面処理」まで自身でやる、というスタイルを追求してきた経緯があります。

 

 

これまで実施してきた表面処理の例

 

 

 

 

 

 

 

 

ひょうたんからコマも

「素人には無理」と塗料店で断言されたことで、かえって火がついて始めたこのオリジナル「焼付塗装法」は食いつき・仕上がり共に専門業者の結果と遜色ないため、あるDIYジャンルではこれを標準塗装法として現在に至ります。

 

 

 

 

 

 

    話はかわって・・・

 

 

最重要なのは「マイクフロント」だ!

そこで始めたのがマイクフロントの「金属メッシュ絞り加工」です。

 

 

これは悪戦苦闘の連続でしたが、自作マイクのセオリーを変える力になってくれたかもしれません。

 

 

 

 

 

こんな他愛ないモノだが、二重編にして始めた。

 

このブログトップにこの写真を使っています。

「ピアノ用X-Y フリーバウンダリーステレオマイク」で採用

 

 

課題は「シワ」であることに悩み学んだ。

切れ込みを入れて絞りによるひずみを逃がすことも学んだ。

 
 
 

大田区羽田の工場でいただいたこの廃材ツールも役立った。

 

 

そして2013年FetⅡのフロントは従来からありがちなWM61AのむきだしからSUメッシュ絞りフロントに変わりました。

『1334 :あの「fetⅡ」のフロントが変わった!手作りマイクのフロントデザイン革命だ』

 

 

 

 

 

歴然とスタイルUPできるこの路線は改善を繰り返してその後Shinのすべてのマイクに受け継いでいます。

 

 

 

ProbeⅡ系にはさらなる進化形が採用されています。

 

 

今回はこの全手順をご紹介します。

 

 

  SUメッシュ絞り加工

筆者の場合、当初より大がかりな工作機械など一切使わない、机上で誰でもができるフロントメッシュ絞り加工法を2011年頃から実験開発してまいりました。

「簡単に」「簡単に」を追求してたどりついた現在の方法は実に単純な道具で綺麗にできる手法ですのでどなたでも参考いただけると思います。

 

 

 

(材料と道具はこれだけです)

たったこれだけの道具でマイクロホンのフロントメッシュ作りすべてをまかないます。

 

「匠の時代は終わった!」と声高に叫びながら、自作マイクのメッシュ加工のために悪夢のように旋盤を買い揃え、ヤケクソな機械設備を使って「匠ワザ」を繰り出す、という落語ネタのような事例もあります。それは私たちのいう「手づくり」とは次元の異なる世界、コスモス1本の植え替えに「ユンボ」を使うような本末転倒ぶり、YOUTUBEではそんな常軌を逸した哀れな例を目にします。

 

 

 

「小さな加工はコンパクトな道具」で、それは加工センスと大切な技術の一部。

手づくりの本懐は能率や「短気」ではなく「愛情」です。

 

 

 

 

「ProbeⅡや「L-730mems」ではパイプ径6Φ、内径5.6mmと細くなりました。

購入先により「色味」「ヘアラインの有無」といった見た目の違いがあります。

筆者は「藤野金属」のSUパイプからt=0.2の薄地品種を選んでいます。

また、この先細の独特なデザインに踏み切った音響上の考察はこの作業以上に重要です。

 

 

 

 

  まずはProbeⅡ、L-730memsのここまでたどりつく手順

これはできにくいですが、0.1mmのアロアンスがある以上かならずできます。

 

※軽い抵抗感だけで通るように成形を進めます。

先端が不自然に変形した場合はピンポンチ先端を使って再成形する。

 

 

MEMSマイクはICS-40730、電極のエポキシ絶縁は万全です。

 

「SUメッシュ絞り加工」はここで完成。

 

 

 

 

 

  仕上げ(EMC対策)・・・ココが大切

マイクの安定性、信頼性は「EMC」で決まる、それは筐体構造のココがキモ。

 

「マイク先端に手を近づけるとハムが出る」とか「常にマイクに触れてないとハムが出る」はEMC不良の典型的現象です。

 

1.紫外線接着剤を使ってメッシュとパイプのきわ1mmを接着固定する。

 

2.スポット溶接(100A以上)でメッシュ~パイプ間を溶接、金属同士の「接触導通」から「一体金属化」することで不安定さを排除してファラデーシールド」を完結させる。すなわち金属外筐構造体にインピーダンスを持たせない。

 

結果、EMC耐力がUPしノイズトラブルを防止できます。

 

 

 

 

 

【完成】

SUSメッシュ・フロントの「マイク先端部」加工終了。

ここから先は管共鳴防止綿を詰める作業や本体ボディへの装填をおこないますが、今回のテーマとは異なりますので省きます。

 

以上で6Φパイプ編は終了、

次編ではさらに細い「μ73Amems」の「4Φパイプ編」を予定します。

 

 

 

後編につづく

 

 

 

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虹 おしらせ

MEMSマイク使用、話題のProbeⅡ Probe-T  L-730mems およびFetⅡmems およびそのLzタイプなど、読者のみなさまからのご注文により優秀機種の手づくり製作を承っておりますのでお問い合わせください

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