はがれない金属塗装、「焼付け塗装」は「素人には絶対無理」と塗料店のオヤジに言われ納得出来ず悶々と。あれから4年・・・・・
スプレー塗料で「誰でも出来なきゃ意味がない。 」
そして「素人しかやらない方法で」試行錯誤の結果・・・
「研究ノートなんて1冊もないけど いつも成功しているんですぅ~」
「誰でもできる焼付塗装」は本当にあります!
でもあたしのレシピ通りでないと追認実験でも成功出来ないんですぅ
★(後年追記)
2017年現在までにこの焼き付け塗装法はくりかえし実施しています。簡便ですが、くいつき強度は専門工場の仕上がりと互角です)2017.5.30追記 Shin
いつも成功をイメージした「無手勝流と試行錯誤」、失敗なんか当たり前。
でもちょっとでもはがれにくく出来たときは「脈アリ」・・・と大いに期待したがやっぱり剥がれた。
そんな泣き笑いの末、素人にしか出来ない焼付塗装法、が完成に至りました。
思い起こすとfet-u1 黒色焼付け塗装 あれ以来必要に迫られた「はがれない金属塗装」はShinさんのこだわりとして機会あるごとにレシピを変え、塗料を変え、「黒染め」をもまじえて可能性だけを求めてきました。
恥ずかしながら暗中模索の旅から只今帰還しました。
「これなら誰でもできる」という決定版です。
この間に専門業者に同様の塗装で20個ほど依頼した事がありますが、そんなプロの仕事と勝負できる仕上がり(食いつき・風合い)の成功です、そして「食いつき」はこちらの方があきらかに上です。
年月はかかりましたが、ただ「出来る」という可能性だけを信じて実験を繰り返していました。
知識もなく右往左往しましたが、結局何ひとつ専門的材料も特殊装置も使わずにここまで出来たのは奇跡かもしれません。
妻に内緒で使っている旧式の家庭用電子レンジ・オーブン。 60%ハンダは183℃で溶けますのでオーブンの温度は170℃どまりで処理する。
要は温度管理が決めてになります。
先週製作したfet-u1 の実例
「食いつき強度」(はがれにくさ、傷付きにくさ)は「クロスカット」という塗装界の評価基準があるそうですが、結局「マイクホルダ」の抜き差しにビクともしない安定した食いつき強度で判断したほうが現実的だと思います。
【秘伝のレシピ】
塗装専門家から見たら笑止千万かもしれない素人ワザの執念を見てほしい。
1.ポイントは次の通りです。
(1)材料は表面処理(メッキ・塗装)をすべてキレイにはがし、地金を完全に出す。
(2)材料の地金をサンドペーパーで磨く。(「磨く」というよりも金属表面全体をまんべんなく細かいキズでいっぱいにするのが決めてです)
(3)脱脂をムラなく完全に行う、これが不完全だと塗装ムラが生じる。
(4)プライマーとして「ファインスプレー・ブラッセン」で薄く、短時間に全体を包むように材料を回転させながら行う。(決してベッタリと塗らない)
(5)乾燥が早いので20分程度経ったら重ね塗りする。
(6)まる1日乾燥させる。(匂いが抜ければ室内でも良いが雨天・高湿度の日の作業は適さない)
(7)24時間経ったら電子レンジ・オーブンで150~170℃、10分焼きます。
(8)自然冷却後今度は「アトム耐熱ペイント」を2~30cm離して薄くまんべんなく吹き付ける。
(9)乾いたら塗り、2~3回程度の塗り重ねをおこなう。
(10)24時間以上、できれば数日乾燥・固化させる。
(11)電子レンジ・オーブンで150℃、20分程度焼く。
(12)自然冷却させ、十分冷えたら材料を取り出す。
(13)材料表面は綺麗にやや短毛に覆われたようなツヤ消しで仕上がってくる。
(14)素手で材料表面を馴染ませるようにそっと撫でまわすと自然なつや消し塗装の表情が姿を現しますので完成です。
◎この段階で強く固化・食いつきを見せますが、放置するなど時間をかけて安定させると更に強くなります。
以上
2.決め手となった二つのスプレー塗料
※ これ以外の塗料では成功しませんので「厳守品目」です。 ブラッセンの入手はWeb購入のみです。
1.ファインスプレー・ブラッセン
モデル・ガンなどに用いられ、「プライマー(下塗剤)ナシで使用できる」 が売り物の耐熱塗料です。
焼付け乾燥・固化が奨められているが、やはり食いつきに問題がある、そこでこれを焼付け固化を含めたプライマーとして使用するのがShinのレシピです。
(入手ルートはWeb上のみで一般のホームセンターで探してもありません)
2.アトム耐熱スプレー
非常に使いやすく、多少の塗りムラは塗料のほうでカバーしてくれて均一に仕上がってくれるのがうれしい。(ブラッセンより数段扱いやすい)
◎くれぐれも別の塗料を買って帰らないようにしてください、「これでいいや」で失敗しても知りませんヨ。
(2023年12月29日確認)
どちらの塗料もamazonで入手できます。
3.作業
・材料を#250程度のサンドペーパーで均等に磨く(細かいキズでいっぱいにする)
・材料の脱脂をする(シンナー、アルコールでおこなう、または台所洗剤でもみ洗いを丹念に行い、十分水洗いしたあとドライヤーを使って一気に水気を切る。
「脱脂」は早い話、これでイイんですよ、もみ洗いしたら十分水洗いして良く乾かしてくださいね、ドライヤーを用いるときは残りの水分も全部飛ばし切ってください。
このサンドペーパーがけと脱脂という最重要な二工程の良しあしで塗装は決まってしまいます。
「Behringer ECM8000を使えるマイクに」 での例
この例では「テカテカ」だが乾燥すると「つや消し」で仕上がる。
4.練習
(大物にチャレンジする前にこうした小さなモノで練習をおすすめします。)
気をつける点
(安全面)
1.きわめて危険な気体を発生するため絶対に部屋の中では塗装作業(乾燥も含め)を行わないでください。
(ブラッセンは「トルエン」などを含む危険等級Ⅱ、アトム耐熱スプレーは危険等級Ⅲです)
2.子供・小動物の近くを避けて作業してください。
3.臭気などで他人・ご近所の迷惑にならないようにしましょう。
(品質面)
3.脱脂後~焼き上がりまでの間、材料の塗装面には素手や周囲の何かが触れる事のないようにします。
4.焼付け温度は決して170℃を超えないようにします(183℃で半田が溶けてしまいますので。)
5.焼き上がり後、すぐ取り出したり急激に冷やさない事。
6.胴まわり、表面だけでなく厚み端面、特にフロントは外観そのものになる。
スプレー時表面と同時に両端面を決める。
5.失敗例をご紹介
(オシャカになった材料)
すでにほとんど捨てましたが残っているモノを集めてみました。 無残
1.左・中央:fet-u1(2010年)
ブラッセンのみでしたのですぐはがれ、二液性エポキシ塗料で塗り替えた。
中央はサンドペーパーがけも脱脂もしなかった結果、見ての通りです。
左はそれをやり直し、しっかり食いついているが材料のロウ付けが凸凹。
2.右:fet-uⅢ(2011年)
ブラッセン3度重ね塗りのみで150℃10分焼いた。
(これでブラッセンの正体が見えてきた)、耐熱温度は800℃以上といわれるが、単独塗料としての食いつきがよくない、しかし最強のプライマーになる。
この失敗の繰り返しは決して無駄にならず、これがあったからこそ完成に至ったと思います。
(お知らせ)
fet V、fetⅡ、fetⅡi、fet3など、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (オリジナル・パーツで製作) (Shin)
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