よこせ よこせ 私に子種をよこせ! | 立ち止まったハートが前進する!未来が視える奇跡リーディング

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リーディング小説「生む女~茶々ってば~」

第二十二話 よこせ よこせ 私に子種をよこせ!

 

生きて生きて、生きのびてきたのは、彼のためだけ

愛されている自信が、ない

傷つくのは、こわいですか?

私はコンフェイト

女として生まれ、女を武器に、天下を取る

妻の策略

野心と快感の扉

Are You Ready?

この野望を叶えるためなら、どんな手段でも取る

命がけで私の野望を叶える男

天下人の愛妾

二度と女に生まれてきたくない

だったら、私が強くなればいい

本当に欲しいものは、どんな手段を使ってでも手に入れる

女としては最低だが、母としては当然

それも一つの愛の形

本当に嫌な女だ

私が一番、愛されている

お金は何のために使う?

I am a woman 今の自分から自由になる

 

 

「わしは秀次を養子に迎える」

鶴丸を失い一気に年を取った秀吉は、姉の息子秀次を養子にすることを私に告げた。

「ま、待って下さい!

必ずまた子を産みます。

だからそれだけはお止め下さい!」

衝撃を受けた私は、泣きそうになって秀吉に嘆願した。

が、秀吉は静かに首を振るだけで耳を貸さなかった。

そして私の肩にそっと手を置き、部屋を出て行った。

激しい焦りが私を襲う。

早く妊娠して、豊臣の後継者の座を取り戻さなければ、私はおしまいだ。

だが肝心の秀吉は、鶴丸を失ったショックで男としての自信も失い、私の元に通うことも少なくなった。

このままではおくものか、と策を練った。

 

翌日、私は秀吉と秀次、豊臣家一同が居並ぶ席に、秀次様にお祝いをお渡ししたい、と申し出た。

完全アウェイの中、私は艶やかに装って登場した。

私を見た秀次の目が光った。

「このたびは誠におめでとうございます。

これはささやかですが、私からのお祝いの贈り物です」

秀次の前で頭を下げ、侍女に持たせた祝いの品を渡した。

私は秀次に上目使いの笑みを向けた。

これが男に気を持たせる妖艶な笑みだと知っていた。

そしてじっと彼を見つめる。

「さすが豊臣の後継者になった秀次様、男としての器に優れ、つい見とれてしまいました」

そう言うと小首をかしげ、恥ずかしそうに眼をふせた。

横目で秀吉を盗み見ると、彼は苦虫を嚙み潰したようにぶすっとしていた。

私は心の中でほくそ笑み、長居は無用、と立ち上がった。

「それでは失礼いたします」

頭を下げ、部屋を出る前にまた秀次の顔を流し目で見て、微笑んだ。

私に見とれる秀次の袖を、秀次の母親で秀吉の姉が引っ張った。

彼女は唇を歪め、小さく「この女狐め」と言い捨て、鋭い目つきで私をにらんだ。

さすが母親だ、と一瞬感心する。

そして寧々を見た。

寧々は私などはなからいないよう顔で、無視している。

「ふん、成り上がり者達め」

部屋を出た私は声に出さずにつぶやき、胸を張って歩き去った。

 

予想通りその夜、秀吉は私を抱きに来た。

いつもより荒々しく私をくみし抱く彼の耳元で、私は声も絶え絶えに

「やはり、あなたはすごい」

と囁いた。

秀吉が帰った後、お湯で身体を拭きな男は単純だ、と可笑しくなった。

男の嫉妬は上手に利用すればいい。

その日を境に、閨で男としての自信を取り戻した秀吉は、忙しい公務の合間を縫い以前のように私のところに通い始めた。

この時期、秀吉は関白の座を秀次に譲った。

私は寝物語でいつも、秀次をほめた。

「秀次様はすっかり関白の器になっておいでですね。
お若いのに、大したこと。
さすが、あなたの姉上様のお子様ね」

「秀次様は、内大臣ね。

天皇様に一番近いお立場だわ。

すばらしいわ!」


秀次への誉め言葉を口に出すたび、秀吉はいきり立つ。
「なんの、あの若造。
関白になったとて、わしの手のひらで躍らせておるだけじゃ」
「あら、そうなの?
でも、それは秀次様が優秀だからあなたの手のひらで踊っているだけね。

今は」

「今は?」

「ええ、秀次様は賢いですもの。
あなたが完全に政(まつりごと)から手を引かれたら、自分の手腕を発揮しよう、と待っておられるのよ」

「なんじゃと!
そんな勝手な真似は、させん!
あいつは、まだ若すぎる!」

「いいえ、あなたがお気に召さないのは、秀次様がご自身の本当のお子ではないから。
もう一度、私があなたのお子を産みます。
他の側室達が産めなかったあなたのお子ができたのは、私のお腹にだけ。
そして今度生まれてくる子は、きっと鶴丸の生まれ変わり」

「なにっ?鶴丸の?」

「ええ、私達の大切なたいせつな鶴丸。
その子がもう一度、私のお腹に宿り、あなたのお子として生まれてくるのです。
だから、産んでやらねばなりませぬ。
さぁ、もう一度わたし達のお子を作りましょう!
大丈夫、必ずお子はやってきます。
鶴丸の生まれ変わりが、私のお腹にやってきます」

そう言って私は秀吉の皺だらけの手を、私のお腹に押しつけた。

もはや宗教のようだ、と自分でもわかっている。

それでも私はもう一度、鶴丸に会いたかった。
あの子がまた私のお腹に宿り、私の元に帰ってくる、と信じていた。

 

私は毎晩、寝る前に鶴丸のことを思い出す。

あの子のあたたかいふわふわした身体。

愛らしいまなざし。

あんなに小さかったのに五本の指に桜貝のような爪のあった手。

そしてこらえ切れず、鶴丸の名を呼び涙を流す。
泣くだけ泣いたら、私はもう一度赤子を産みこの手に抱きしめるのだ、と強く決意する。

秀吉とのセックスは、今や私が秀吉の上にのしかかり、馬に乗るように彼に乗る。
自分を快楽のためでなく、子種を絞る取る淫猥な鬼子母神のようだと、どこか遠くで見ている自分がいた。
いなくなった子供を求めるように、私は子種を求め手をのばす。

よこせ
よこせ
私に子種をよこせ!

心の中で叫び、私は秀吉の上で激しく腰を揺らす。

もはや男女のいとなみではなく、戦いだった。

 

秀吉と寝た翌日、私は治長に身をゆだねた。

今度は治長との戦いだ。
そうやって幾度も夜を重ねたが、なかなか子種は居着いてくれなかった。

私はますます焦り、鶴丸の時と同じように妙薬を飲んだり、神社を巡った。

だが子種が根付かない理由が、何となくわかっていた。

頭では、子どもがほしい、と願っている。
でも心の奥底で、また子供を失ったらどうしよう?という恐れが潜んでいた。

鶴丸を失ったショックでそれがトラウマになり、子宮が子種を引き入れない。

妊娠して出産する喜びより、欲しいものを手にして失う怖さが私の子宮を支配していた。

子種を受け入れない身体で、妊娠などできるわけがない。

超えられない怖さの壁にいら立ったある日、私は治長の前で爆発した。
「どうして、子ができないの!!」
治長に枕を投げつけ、吐き出した。

「もう、私は母になれないの?
鶴丸を抱けないの?
子どもがほしいのよ!
子どもが!
いくらでも子種をくれる、と言ったじゃない!あれは嘘?
どうしてなの?
どうして、その子種が留まらないの?」

治長の頬を打ち、拳で彼の胸を力任せに何度も叩いた。
抵抗もせず治長は私にただ殴られていた。


力尽きた私はハァハァ肩で息をし、その場に崩れ落ちた。

知っていた。

治長のせいではないこと。

彼に当たりつけるのは理不尽だとわかっていた。

だが気持ちの持って行きどころがなく、止められなかった。

ひとしきり泣いた後、ずっと目の前に立っている治長を見上げた。

ハッ、と胸をつかれた。

治長は声を出さず涙を流していた。

彼が本当は鶴丸の父親だった、と思いだした。

自分の悲しみだけにかまけたが、悲しいのは私だけではなかった。

本当の父親である治長も平気なわけがない。

彼の気持ちを掬い取った私は立ちあがり、そっと彼を抱きしめた。

「すまぬ、すまぬ、治長。
お前も辛いはずなのに。
私は自分一人が孤独に戦っていると思い込んでいた。
だけど、お前も一緒に戦っていた・・・・・・」

治長は私を抱きしめ返した。

「茶々様、鶴丸君を失ったことは、本当にほんとうにつらいことでした。
でも、わたしより茶々様の苦しみ、悲しみの方がはるかにお辛かったでしょう。
よくぞ、それを乗り越え、新しいお子を、と思われました。
なのに、わたしの力が足りず、申し訳ありません」

治長は頭を下げた。

「何を言う、治長。
そなたは、何も悪くない。
私が、受けつけないからだ。
もし子供を授かっても、また失う、と思ったら怖くてたまらない。
どうしたらいいのか、私にはわからない」

治長に抱かれ、素直に弱音を吐いた。

彼は私の背中を撫でながら言った。

「茶々様、大丈夫です。
わたしがその怖さや災いを、すべて吸い取ります。
あなたはただ、健やかなお子を産むことだけを考えていて下さい。
わたしがあなたをすべての災厄から守ります」

その時、光が差し込んだ。

その光は、私の心と身体をあたたかかく包み込んだ。

治長は、私が一番聞きたかった言葉を言ってくれた。

その時、浅井の父を思い出した。

父に甘えた幼い娘時代はほんの短い時間だったが、幸せに満ちていた。

治長はまるで父のようだ、と感じた。

だが今目の前にいるのは、父ではなく子種をもらう相手だ。

私は彼の肩から着物を脱がせた。

彼の胸は、私が叩いた拳で赤く染まっていた。

「こんなに、赤くなって・・・・・・
さぞ、痛かったでしょう・・・・・・」

そう言いながら、治長の胸に唇を這わせた。

突然、デジャブが襲う。

以前もこんなことがあった、と思い出した。
あの時は傷ついた私を、治長がやさしく癒してくれた。
今度は私が治長を傷つけた痛みを、和らげる。

彼を抱きしめて彼の身体の一つ一つにそっと唇を這わせた。

わかっている。

彼が傷ついたのは、身体ではなく心だ。
身体の痛みは時間が経てば消えるが、心の痛みは時間と共に深くなる。

私達は共に、猫のように身体も心の傷をなめ合った。
そこに欲望があるのかないのか、どちらでもよかった。

十二月の夜半の冷たさが、身体を震わせる。
私達は抱き合い、一つの布団の中でぬくもりを分け合った。

外では風がぴゅうぴゅう吹きつけ、ガタガタと戸を揺らす。

じき年の瀬が来る、と治長の腕に抱かれ思った。
鶴丸を失った、辛かった一年が終わろうとしていた。

 

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あなたの心の痛み

 

それはいつからありますか?

 

あなたはその痛み、どうしていますか?

 

過去の痛みは、しっかり抱きしめ手放しましょう。

 

あなたはこれ以上、そこに囚われる必要はありません。

 

痛みから自分を開放しましょう。

 

それは、今この時からです。

 

 

11月12日(日)2024年のあなたを写します

 

11月13日(月)新月 写真で変わる未来を撮影するコラボです

 

 

 

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