今日から7月。今や“夏の風物詩”という言葉自体がもう昔日の風物詩になってしまったが、コロナ禍もあって「ビアガーデン」というのはまさに昭和レトロな“夏の風物詩”だろう。梅雨が明けたら仕事帰りにターミナル駅前デパートの屋上で同僚と生ビールでカンパイ!というのが標準的なサラリーマンライフという時代もあった。
今やデパートという業態自体が多様化する流通業の中で存続の危機に瀕しているが、デパートの屋上と言えば夏はビアガーデンだった。何故か提灯で飾られた夜空を見上げながらスピーカ―からはハワイアン、そして必ずこの曲「真珠貝の歌」が流れていたはずで、これを聴くとビアガーデンを思い出す人も多いだろう。
そして“日本一のビリーヴォーン・ファン”と自称する私が言うのも難だが、戦後にバッキ―白片とビリー・ヴォーン楽団が得意としたハワイアンとは、当時の日本人や米中流白人の夢の観光地ハワイへの憧憬であって、ネイティブなハワイの音楽ではない。ただ同楽団のこの「真珠貝の歌」は洗練された秀逸なアレンジだ。
しかししかし、である。日本においてビリー・ヴォーンの代名詞でもあるこの曲は実はアメリカでは全然ヒットしていない。「波路はるかに」は全米5位でミリオンセラー、「星を求めて」は全米19位、「峠の幌馬車」は全米28位、「サファリの夕陽」も全米13位なのに対し、「真珠貝の歌」はTOP100にも入っていないのだ(全米120位)。
【「メキシコの真珠」でも全米94位なのに…】
【これ、もしかしてあのアン・フランシス?】
つまり、この曲は日本だけで大ヒット(1965年9位)した事になる。理由は何故か分からないが当時のラジオ番組のテーマ曲になったことが大きいと思う。それも毎週日曜夜6時からのNHK-FM「リクエストコーナー」で、これは当時の日本ビクターの洋楽営業担当のプロモーションの成果だと何かで読んだ記憶がある。
まだインターネットなど無い時代に最新の全米ヒットチャートの曲を、基本的にフェードインもフェードアウトもせずにフルコーラスで放送していた稀有な番組だったので、今や死語となった「エア・チェック(ラジオから録音する)」派の古い洋楽ファンなら毎週のように必ずこの曲を聴いていたはずである。
6時の時報直後にイントロ4小節に続いてビブラフォンのメロディが流れ出すとDJの石田さんが「あの歌、この曲、新しいリズムに懐かしい調べの数々、あなたのお好きな曲を集めてご一緒に楽しむ1時間、リクエスト・コーナーです。ご機嫌いかがでいらっしゃいますか、石田豊です」の名調子が始まったものである。
この曲をステージで歌う際、曲紹介のMC時にタブレットを出し、youtubeで同楽団のこの曲を流し、上記の番組ナレーションをカブせて喋ったら「なつかしい!」と喜んでくれたオーディエンスが多くて嬉しかった。因みに石田豊さんは70年代にNHKを定年退職した後も同番組が終わる80年代半ばまでDJを続けたという。
♪Pearly Shells(真珠貝の歌)・・・2019年8月9日、渋谷「SEABIRD」二金ライブにて♪ ※2コーラス目の訳詞は早津敏彦氏のもの。
Saigottimo


































