「夏至」(今年は6/21)は、地球の回転軸が太陽側に最も傾いている日なので太陽の角度も高く日照時間が一番長く、ここから冬至(12/22)に向けてどんどん短くなる(南半球は逆)。つまり6月は一年を四季で4等分した「夏」のド真ん中のはずだが、日本では(北海道以外は)梅雨があるために「6月=雨≠夏」のイメージだ。
一方、梅雨のない欧米では6月は屋外で月を眺めるのに最適な季節なのだろう。「ムーンライト・セレナーデ」や「月光値千金」など月に関する曲が多い。雨は「セプテンバー・イン・ザ・レイン」など9月のイメージであり、中秋の名月でお月見をする日本とは、6月と9月で雨と月が逆転していて興味深い。
さて、「四季」といえばヴィヴァルディの室内楽が有名だが、チャイコフスキーにも「四季(The Seasons)」というピアノ曲集があるのをご存じだろうか。但し春夏秋冬の4曲構成ではなく、1~12月に対応した全12曲構成だ。これは音楽雑誌の企画で毎月異なるロシアの詩人の作品をベースにして作曲したからだそうである。
各曲は4分間前後で次のようなタイトルが付いている。「1月:炉端にて、2月:謝肉祭、3月:ひばりの歌、4月:雪割草、5月:白夜、6月:舟歌、7月:刈り入れの歌、8月:収穫の歌、9月:狩の歌、10月:秋、11月:トロイカ、12月クリスマス」。6月の曲には「舟歌」というタイトルが付いている。切なく、もの悲しくも実に美しい曲である。
「舟歌」というと私の世代は八代亜紀の名曲演歌(阿久悠:作詞、浜圭介:作曲)をイメージしてしまうが、クラシック音楽の世界ではベネツィアのゴンドラで船頭が歌う曲という意味で「バルカローレ(Barcarolle)」という一つのジャンルになっており、ショパン、フォーレ、メンデルスゾーン、オッフェンバッハの「舟歌」も有名だ。
ちょっと話がズレてしまったが、私は数あるクラシックの名曲の中でも、このチャイコフスキーの「舟歌」はとても好きな曲である。そして改めて「6月の曲」として聴いて見ると、実に内省的なこのメロディーは“日本の梅雨の季節”にも“欧米の月を愛でる季節”にも合うような気がするのである。
Saigottimo

