「サンデー毎日」といっても大正11年に創刊した日本初の週刊誌のことではない。「毎日が日曜日(休日)」という意味だ。私は新卒で就職した会社に43年間勤務し、この3月末に満65歳で退職した。翌月からすぐ別の仕事に就く人は違うが、私のように普通に退職しただけのサラリーマンは急にサンデー毎日になる。

 

 

この数年は一足先にリタイアした先達に様々なアドバイスを求めた。曰く「キョウイクとキョウヨウが大事だよ」「ああ、やっぱり教育と教養ですか?」「いや、そうじゃない。“今日行く(毎日通う)”場所を作らないとヒッキーになるし、毎日図書館や公園に通っても“今日(する)用(事)”が無いと張り合いが無いんだ」「あ、なるほど!」

 

やはりこういう事は経験者に聴いてみなければ分からない。「サンデー毎日は今日行くと今日用!」とまあ、ここまでは分かっていたのだが、実際に毎日通勤していた週5日間の平日に通勤もしないと自分がどうなってしまうのか不安だった。ところが昨年4月からのコロナ禍で「原則在宅勤務」となり、図らずも予行演習ができた。

 

その結果、業務上の連絡・報告・相談は殆どメールで済むし、会議や打合せや勉強会も、むしろネットの方が効果的かつ効率的であることも確認できた。そして余計な対人コミュニケーションからも解放されるので、むしろ私自身は全くオフィスに行かなくても何の不都合も問題もないばかりか、むしろ非常に快適だった

 

そうはいっても退職して仕事が無くなるとどう感じるのか心配ではあったが、実際にそうなってみると「よくまあ、これまで40年以上も勤務し続けたもんだなあ…」と我ながら感心するくらい、肩から重荷を下ろしたような「解放感」と、ようやく年季奉公が明けた奉公人のような「清々しい気分」で退職後一週間が経過した。

 

ただ、まだ住宅ローンも少し残ってるし、毎日通勤しているカミさんからは「足腰が立つうちは働け!」と無言の圧が来る。だから会社から離職票が送られてきたらハローワークに行って就活はするつもりだし、それで決まらなければ中小企業診断士として開業届でも出そうかと思っている(そうすれば開店休業でも「自営業」)。

 

しかし先達からのアドバイスに従って、家には引き籠らず毎日自分なりの用事をルーティーン化している。人間は(少なくとも自分は)怠惰で弱いから、朝起きなくてもいいならダラダラ寝てるし出掛ける必要なければ家でゴロゴロし用事がなければTVを付けてジャンクフードを食べ続けて健康を損なうのは自明だからだ。

 

同時に人間は習慣の動物でもある。凡人である我々も歯磨きのように「習慣(ルーティーン)化」という手段を上手く使えば天才を凌ぐような偉業も成し遂げられるはず。ここ43年は会社が「5勤2休」「通勤&業務」という生活リズムとルーティーンを与えてくれたが、それを改めて自分で設計し直して自分に与えれば良い

 

そこで私は、毎日「体温・血圧・体重測定」「腸活の朝白湯&蜂蜜バナナヨーグルト朝食」「8千歩の散歩」「5分の体操&筋トレ」「10分のスピードラーニング(英会話)」「ハーモニカ&ウクレレ演奏」「手帳に1行日記執筆」、週1回「テニス」「プール」、月2回「銭湯(60歳以上無料Day)」というルーティーンを組みキチンと履行している

 

「君は趣味や交友範囲が広いから退職しても困らないだろう」等と言われてきたが、コロナ禍でヴォーカルも交友もままならないものの確かに困ってはいない。ただ、まだ1週間しか経ってない。3週間で飽きるかも知れないし3か月が限界で仕事したくなるのかも知れないが、今は誰にも雇われない「無重力状態」を楽しんでいる。

 

Saigottimo