■表記
紀 … 太玉命
記 … 布刀玉命
古語拾遺 … 天太玉命


■概要
忌部氏の祖神であり、「古語拾遺」においては高皇産霊神の御子と書かれています(記紀には出自の記述無し)
古代の祭祀を司る神。天照大神の天岩戸神話に登場、立案された思兼神案の吉凶を占うために天児屋根神とともに太占を行いました。
そして八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と八咫鏡を下げた「天香山」の「五百箇真賢木(いほつまさかき)」を捧げ持ち、天照大神が顔をのぞかせると一気に鏡を差し出しました。
記紀においては天児屋根神が重要な役割としていますが、「古語拾遺」ではその逆となっています。
天孫降臨の際にも登場、五伴緒(いつのともお)の一柱として瓊瓊杵神に従い随伴。
さらに天照大神の御魂が皇大神宮に鎮まる際には、天児屋根神とともに守護神となるよう指令されています。


■忌部五部神
天太玉命に従った五柱の神が各地に分布しました。
*天日鷲命→阿波忌部氏
*手置帆負命→讃岐忌部氏
*彦狭知命→紀伊忌部氏
*櫛明玉命→出雲国玉作氏
天目一箇命→筑紫・伊勢国忌部氏


■系譜
高皇産霊神の御子神(「古語拾遺」による)
天比理乃咩命を娶り天櫛耳命を生み、さらに天富命を生む。
また神魂神(神皇産霊神)の五代目に天背男命がおり、天日鷲翔矢命(天日鷲神と同神か)、櫛明玉命、天比理之咩命を産みました。
さらに天日鷲翔矢神には大麻比古命(津咋見命)、天白羽鳥、天羽鳥富命がいます(系譜はあくまで一つの説)


■祀られる神社(訪問済み社のみ)
[伊勢国度会郡] 七保神社(野原神社)

[丹波国] 多治神社
[大和国添上郡] 宇奈多理坐高御魂神社
[大和国添上郡] 穴栗神社(穴吹神社)
[大和国添上郡] 穴栗神社(春日大社 境内末社)

[大和国平群郡] 石床神社(右殿)
[大和国十市郡] 春日神社(桜井市戒重)
[大和国城上郡] 春日神社(桜井市脇本)

[大和国高市郡] 天太玉命神社

[大和国葛上郡] 七社神社(葛城市笛堂)

[大和国吉野郡] 太玉神社(奥越部)
[紀伊国名草郡] 鳴神社

[阿波国] 大麻比古神社

*配祀、相殿等で祀られる社
[遠江国] 蒲神明宮
[伊勢国鈴鹿郡] 椿岸神社(椿大神社別宮、配祀)
[伊勢国鈴鹿郡] 忍山神社(亀山市野村)(配祀)
[伊勢国度会郡] 豊受大神宮(外宮)(相殿)(記事未作成)
[伊賀国] 都美恵神社(合祀)
[伊賀国] 神戸神社(配祀)
[丹後国與謝郡] 須代神社

[丹後国加佐郡] 豊受大神社
[丹後国丹波郡] 比沼麻奈爲神社
[大和国城上郡] 春日神社(桜井市芝)

[河内国錦織郡] 咸古神社
[紀伊国那賀郡] 三船神社(紀の川市神田)

[阿波国] 忌部神社(吉野川市山川町)(記事未作成)

*その他ゆかりの神社
[伊賀国] 比々岐神社

[近江国伊香郡] 天比比岐命神社

[大和国高市郡] 櫛玉命神社
[大和国高市郡] 八王子神社(忌部山)
[紀伊国那賀郡] 海神社(忌部氏が創祀)

[阿波国] 忌部神社(吉野川市吉良)(記事未作成)