患者Sさん=52才-男性-会社員の症例
患者Sさんは、1か月ほど前から、右の鼠径部(ASISの内下方3~4cm)に間欠的な腹痛が生じるそうです。内科の診断では「便が溜まって炎症が生じているのでしょう」との事で、抗生剤の処方で痛みは解消したそうですが、その薬が無くなると又同部に腹痛が生じているそうです。この腹痛が解消すると、そのほぼ真裏の腰部で鈍い腰痛が生じるそうです。そしてその腰痛が消失していきだすと腹痛が生じるといったように、腹痛と腰痛が交代して生じるそうです。腰痛は安静時でも生じるそうです。Sさんは逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアの治療で来院されていましたが、この件も併せて整体治療する事になりました。
・2年前に逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアの診断を受け、投薬治療をされていました。しかし胸やけ、呑酸、胃のムカつき-ムカムカ感-は相変わらず続き、逆にこの2か月間はこれらの症状が強くなってきているそうです。それだけでなく重度のだるさ-倦怠感-もあり、最近では仕事が終了する時間になる前には立ってられないくらい、だるいそうです。食欲も減退し、この2か月で5kgも体重が減ったそうです。
・直近の内視鏡検査ではバレット食道は無いそうです。
・血圧はやや高めだそうですが、具体的数字は覚えていないそうです。血液検査での異常は無いそうです。
・便は毎日1-2回ほどの排便があるそうです。
・2か月前から左耳で耳鳴りが生じているそうです。耳鼻科での検査では特段の異常は無いそうです。
・左の鼻がつまる事が多いそうです。鼻汁はあまり出ないそうです。発熱は無いそうです。
・気道は正中にあり、甲状腺の腫脹や萎縮はありませんでした。頸部-鎖骨部のリンパ節腫脹はありませんでした。
・胸部聴診上、特段の所見はありませんでした。
・腹部視診上、腹部全般的に陥没していました。
・腹部聴診上、血管雑音は無く、グル音はやや弱めで聴取出来ました。
・腹部触診上、肝脾腫は無く、抵抗感・腫瘤感もありませんでした。しかし、回盲部、盲腸部-上行結腸部、心窩部-臍部、左季肋部、十二指腸部(D1~D2)に著明な緊張と圧痛がありました。
⑴ 生理的絞扼部(ビュシ、ハーシュおよびキャノン点)の緊張を緩和し、糞塊の通過障害を解消する
・平滑筋テクニック
・初診治療後、盲腸部から上行結腸部の緊張と圧痛は、大幅に解消していました。
・2診目来維持、「腰が少し張っている感じはありましたが腹痛はほとんどありませんでした。」と仰っていました。
・3診目来院時、「(腰痛・腹痛とも)一度も痛まなかったです」と仰っていましたので、一応の整体治療終了としました。
・内科医の診断では「便が溜まって炎症が生じているのでしょう(☚雑菌の増殖による?)」との事で、その炎症対策=抗生剤=が講じられましたが、整体師としてはソモソモ論として「便が溜まる」といった状況の対策を講じる事にしました。でないと、今回の様に抗生剤が切れると腹痛が再燃するのですから。また、もしこれが悪化すると、イレウス的な病態に至る可能性もあるかもしれません。その意味でも「便が溜まらない大腸の良環境」を整えることが必要と思われました。
・ところで、Sさんの腹痛部位=右の鼠径部(ASISの内下方3~4cm)=は、大腸の生理的(機能的)狭窄部位(おそらくビュシと呼ばれている部位?)として知られています(注1)。その生理的意味はハッキリとは分かりませんが、素直に想像するなら、大腸で糞塊の水分吸収をするための分節運動に関係しているのでは、と思われます。
・ここからは仮説ですが、何らかの原因でこの生理的狭窄機能が亢進し、それによって狭窄が強まり(あるいは長期化し)、糞塊が溜まって雑菌繁殖につながっているのかもしれません。そして糞塊の炎症が生じるわけですが、その際一種の防御反射として狭窄部位の口側の輪状筋・縦走筋の蠕動運動が間欠的に亢進し(強縮)、その糞塊を矯正排出させようとすることで間欠的な腹痛が生じているのかもしれません。
・同部の裏側に交代的に生じる腰痛については、これは仮説の一つですが、ビュシからハーシュ付近の強烈な蠕動様強縮により、その付近の腹膜が刺激されて生じているのでは、と思います。どちらにしてもこの腹痛と腰痛は交代的に生じているのですから、この仮説あるいは仮説以外の機序によるかもしれませんが、腹痛の方を改善すれば、腰痛の方も自ずと解消するのでは、と考えました。
・結果的に2診目の一週間後の3診目来院時には、腰痛・腹痛とも一度も生じなかったので、上記仮説はある程度妥当であったのでは、と思います。
・ただ、Sさんは体重が減少していて、また盲腸付近は腫瘍性病変の好発部位でもありますから(内科医でも診察済みですし、また触診検査で同部の腫瘤感はありませんでしたが…)、最悪の事を考えて念のため改めて精査を勧めておくべきかもしれません。
大腸の輪状筋が機能的に収縮する事で生じる大腸管の狭くなっている部位。これは健康な人でもみられ、下記の7つが知られている。
1.ビュシ点…盲腸部
2.ハーシュ点…上行結腸中間部
3.キャノン点…横行結腸右側1/3付近
4.ペイャー・ストラウス点…左結腸曲付近
5.バリ点…S状結腸部(口側)
6.ムルター点…S状結腸部(肛側)
7.ロッシ点…直腸部
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