5年か治らない腹痛と重度便秘=機能性ディスペプシア(FD)の整体治療 | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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5年か治らない腹痛と重度便秘=機能性ディスペプシア(FD)の整体治療
患者Hさん=27才-男性/会社員の症例

 

① Hさんの病歴・・・
患者Hさんは、5年前から上腹部(みぞおち)と臍の左右に腹痛が生じたそうです。病院を数件受診しても全く原因が不明で、最終的に機能性ディスペプシア(FD)と診断されました。ただ、有効な治療法-薬は無く、「大学病院を紹介してもいいですが、結局同じですよ」と担当医に言われ、途方に暮れていたそうです。その後も整形外科、皮膚科、漢方、鍼灸、整体など、20件近くの医療機関を受けられていたそうです。しかし症状の改善は全く無く、むしろ徐々に悪化傾向で、この3-4年は重度な便秘にも悩まされ、1週間から酷い時は1か月も便意すら生じないことがあるそうです。

 

② Hさんの診察
・腹痛の部位はみぞおちで、卵を横に寝かしたような範囲と、臍の左右やや下部付近で、これも卵を縦にしたような範囲だそうです。また、腹痛と同時に背中痛(T10付近)が生じることもあるそうです。
・食欲はあるそうですが、水一杯の飲水でも腹痛が起こることがあったり無かったり、あるいは仕事中に腹痛が生じたり逆に調子が良かったり、と全く予想がつかないそうです。
・痛みの性状は間欠痛の時もあるそうですが、その時間が分単位であったり時間単位であったり、あるいは何時間も痛みが続く持続痛であったりと、これも予測が出来ないそうです。
・血圧は上が110mmHgで、下は70 mmHgだそうです。数度に渡る血液検査やレントゲン・胃-大腸の内視鏡で異常は全く無いそうです。
・来院時の脈は正常範囲内で発熱はありませんでした。
・1週間くらい「便意」が無いことはざらにあるそうで、ほとんど毎回下剤を用いるそうです。それでもコロコロとした便が少量出るのみで、スッキリしないそうです。自力排便は、ここ数年記憶にないそうです。
・中学生の時に10-20km程度の陸上選手だったそうです。6-7年前に食中毒になり、4日間ほどひどい下痢と腹痛が続いたそうです(☚当時、腸炎との診断)。
・腹部聴診上、グル音は弱く聴取出来ました。血管雑音は聴取出来ませんでした。
・腹部打診上、左右季肋部から上方の肋骨部(R-7-6)まで鼓音が聴取出来ました。
・4診目診察時、トラウベ三角(左前腋窩線)で比較的濁音を聴取しました。 しかし、脾臓は触知できませんでした。また、脾臓の叩打痛がありました。
・腹部触診上、腫瘤感や抵抗感はありませんでした。しかし左季肋部、右季肋部、十二指腸D1-D2-D4部、十二指腸空腸曲、臍の左右下部、回盲部、S字結腸部などに著明な緊張と圧痛があり、その他の部位でも緊張と圧痛がたくさんありました。肝腫はありませんでした。
・内出血などの出血傾向や貧血所見はありませんでした。皮膚色に黄染などの異常は無く、血色は良い方でした。
・トーマステストが左右とも軽度陽性でした。

 

③ 治療目標と整体治療
     ⑴ 消化管平滑筋の緊張を緩和し疲労を改善する
     ⑵ 消化管同士あるいは他臓器との癒着を解放する
     ⑶ 横行結腸-左右結腸曲の上方変位を矯正する
     ⑷ 脾静脈の絞扼(?)を解放し、脾腫を改善する ☚4診目より追加

・平滑筋テクニック
・腸骨はがしテクニック
・横行結腸解放テクニック
・右-左結腸曲解放テクニック
・横隔膜解放テクニック
・脾静脈解法テクニック  ☚4診目より追加

 

④ 経過と結果・・・
・初診治療後、「お腹がスッキリ軽いです!!、こんなの初めてです。」と、仰っていました。また、治療前に軽度陽性だった左右のトーマステストが陰性に改善していました。
・2診目来院時、みぞおちと臍周囲の腹痛はほとんど無かったそうですが、多少の気持ち悪さがあったそうです。初診の2日後に自力排便があったそうです。
・3診目来院時、2診目当日に排便が大量にあったそうです。みぞおち-臍周囲の腹痛や背中痛・気持ち悪さも無かったそうです。
・4診目来院時、臍周囲の腹痛は無かったそうですが、3診目の翌日昼食後に軽度のみぞおちの痛みが2時間程度続いたそうです。排便は少量あったそうです。背中痛や気持ち悪さは無かったそうです。施術終了直後には脾臓の叩打痛は解消し、トラウベ三角の比較的濁音も消失していました。
・5診目来院時、最後まで残存していたみぞおちの痛みがほぼ解消していました。脾臓の叩打痛も無く、トラウベ三角の比較的濁音も消失している状態で、排便も安定して毎日出ているそうです。念の為に精査を勧めた上で、今回の治療を終了しました。

 

⑤  今回の症例の概説、、、
・今回のHさんの腹痛の遠因は「6-7年前に食中毒になり、4日ほどひどい下痢が続いた(腸炎)」、つまりその後遺症ではないか、と推定します。


・おそらく、6-7年前の腸炎時に、その炎症が腸-消化管の外側-漿膜まで波及したのではないか、それが消化管同士、あるいは消化管と他臓器との癒着につながり、その癒着部での消化産物の通過時に消化管の蠕動運動が阻害され、通過しにくくなる。その結果、消化産物を通過させる為に消化管平滑筋が無理して収縮する事が続き、それが平滑筋の過剰負担になる。その1日3度の摂食時の消化管平滑筋の過剰負担が1年365日続き、さらにそれが5年間重なると、どれだけの負担-疲労-緊張がその消化管平滑筋に蓄積するのか、、、想像に難くありません。


・実際、今回の腹痛は5年前、つまり「6-7年前の下痢」から1-2年後に発症し次第に悪化傾向にあることからも、上記仮説は時系列的にも支持されると思います。この仮説が正しいとすると、
「その原因は胃腸などの消化管の中ではなく外にある」
事になるので、数度にわたる胃や大腸の内視鏡で検査しても異常が発見されないのは当たり前ですし、あらゆる薬(漢方)・その他の治療法の効果が無い事も、当然のことと思います。


・逆に言えば、この様なケースほど、上記③「治療目標と整体治療」に掲げる整体テクニック
・平滑筋テクニック
 消化管平滑筋の疲労と緊張を緩和し、蠕動運動機能を回復させる。平滑筋の緊張が緩和する事で腹痛が解消する。
・腸骨はがしテクニック
 S字結腸と腸骨(骨盤)の癒着を解放し、便意-自力排便を回復させる。
・横行結腸解放テクニック
・右-左結腸曲解放テクニック

 上行している左右結腸曲と横行結腸を元に戻し、蠕動運動機能を回復させる。その際に生じていた腹痛を解消させる。
・横隔膜解放テクニック
 背中痛の原因になっていたと推定される横隔膜の緊張を緩和して背中痛を解消する。
などが奏効するのは、当然だと思います。


・今回のHさんのケースでは、初診治療から順調に推移していました。しかし4診目に「みぞおち周囲の腹痛」が残存していたので、この件について改めて診てみると「脾静脈の絞扼(軽度閉塞)」が疑えるほどの十二指腸D1部、D4部の緊張が推定されました。(☚トラウベ三角(左前腋窩線)で比較的濁音、 脾臓の触知なし、脾臓の叩打痛、十二指腸D1-D2-D4部の緊張と圧痛)


・但し、脾静脈を圧迫する臓器として膵臓や胃も無視できません。しかし今回のHさんの症例では、整体師レベルの検査ではありますが、触診上、膵腫大や胃の腫瘤感などの所見は感じられず、またたび重なる病院での検査でも膵臓や胃の腫大あるいは腫瘍性病態の異常は無い、との事でしたので、その点は外して診ていく事にしました。


・従って、改めて「脾静脈の絞扼(?)を解放し、脾腫を改善する」目的も含めて「D1部、D4部の平滑筋テクニック、脾静脈解法テクニック」を施術しました。その結果、5診目来院時には「みぞおち周囲の腹痛」が解消していましたので、この原因は「脾静脈を絞扼するほどの十二指腸の緊張」ではないかと推定しました。


・Hさんは、中学生時代に20km前後の長距離(中距離)の陸上選手でしたので、その際に大腰筋や腸骨筋に炎症を起こしていたのではないか、、、そして上記筋肉群の炎症の後遺症として消化管との癒着が進行しやすい状況になっていたのではないか、とも考えています。


注) 機能性ディスペプシア(FD)
胃に潰瘍やがんなどがあるのではないかと疑うような胃や腸の不快症状、たとえば胃もたれや胃痛、腹痛、悪心などがあるのに、検査をしても症状の原因になりそうな病変が見つからないとき、これを機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)と呼びます。この範疇には慢性胃炎、神経性胃炎、胃下垂、胃アトニー、胃けいれん、逆流性食道炎、大腸過敏症なども入ります。従って従来の様に、胃だけの治療、腸だけの治療、、、などと限局的に治療せずに「消化管全体の病気」という観点から治療を進めていく傾向にあります。

 

 

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