バークレイのアンディの事　その1

カリフォルニア大学バークレー校のシンボル　時計台と鐘楼を兼ねる　サザータワー　から遠く金門橋が見える　

美しい夜景　のイメージは　ibtimes.co.uk からお借りしました

バークレイのアンディの事　その 1　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

CHANEL　を辞めて　カリフォルニア州バークレイに住む　大学時代の友人を訪ねて　初めて

アメリカに渡ったのが　1987 年。

しばらく友人のところでお世話になったが、その後知り合いの紹介でと言う事で、独身女性の

お家の一部屋に間借りをすることになった。そこでセイディと言う名の雑種の　アイリッシュセッターもどきの犬のお世話をすることになる。多分間借り代は＄300 くらいだったと思う。

バークレイの家並み　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　darrellhoh.com

アンディはアーティストである。絵を描く。いつも日本の羽織をおしゃれに着こなして、

下はいつもパンツ姿。首にはいつも長いスカーフを巻いていた。

ちょっと変わった彼女と街を歩くと、いや車に乗っていたかも。いく先々で　私ねあの人と結婚していたことあるの。　あーあそこにいるあの人とも結婚してたの　と言う調子なのである。

それも指差しで話すから。相手は他の女性と歩いているわけで、

お願い　ちょっと指差すの止めて　　一緒にいる私の方が赤面していた

ちょっとエキセントリックな容貌の彼女は　彫りの深い面立ちで、若い頃はさぞかし美しくて

男性を魅了していたに違いない。ちょっとハスキーな声で　hahahaと笑う。

私が間借りしていた時には彼女の次女が二階に住んでいて、近くの自転車屋さんには末の息子が働いていた。その頃　長女はサンフランシスコにいたのだったかな？

チェッコリの唯一の移動手段赤いサイクリング自転車も彼の店で誂えてもらったものだった。

とにかく　そんな彼女だから子供達は　3人が3人とも　お父さんが違うのである。

一番下の息子さんはアンディに似てとても美しい顔立ちをしていた。

その家はアーティストの彼女が住むのにぴったりなラスティックな建物でダークな木調を基調にした、あまり豪奢でない素朴でも暖かい感じのする家だった。離婚をしたどの元旦那か知らないが　離婚の際にもらったものらしい。

アンディーはその頃右手にリューマチを患っていて、あまり絵も描いていなかったように思う。私は1階の玄関から入ってすぐのホールの横にある、小さな洗面所の隣の小部屋を借りていた。まだ英語があまり聴きとれなかったから、隣人が　Kitty kitty kitty と猫を　探す声も

何か私に言っているのかと思って怖かった。

とにかく彼女はユニークで、またこれもラスティックなキッチンで　料理を始めると、サッシの引き戸は庭に向かって開けっ放しであるから、レシピを見ている年季の入った　分厚い料理本のページ　は庭から入る気持ちの良い　プラムの甘い香りの混じった　そよ風で　いつの間にかめくれてしまっている。

またキッチンに戻った彼女が、あーこの食材買ってなかった　と言って買いに行く　

彼女の見ている料理は　すでに全く違う料理のレシピなのである。

買い物から帰って　それに気付いた時、例のハスキーボイスで　又　低くhahahaと笑うのだ。

　berkeleypv.destinysolutions.com

カリフォルニア大　バークレイ校　正門　まで散歩キャンパス内には自由に入れて　ランチを買ってよく食べた

セイディもアンディーに似て　これまたユニークな犬で　私が散歩（犬無しの）から帰ってくる途中。奇妙な光景に出くわした。なんと犬が茶色の紙袋をかぶって道の真ん中をフラフラ歩いている。　なんとおバカな犬がいるものだと思い、きっと何か食べ物が中にあるか、食べ物の匂いがして、クンクンと嗅いで鼻ズラをもっと奥へ　もっと奥へと　やっていたら　きっとこんな事になってしまったのだろう。　でも何となくその犬の出で立ちが　セイディに似ていたから

もしやと思って　紙袋を取ってやると、嬉しそうな　茶色い小さな鼻ズラを見せたのは　

やっぱり　セイディだった。pinterest.ca