【夕顔339-2】古文単語「心比べ」
センター試験の自己採点も終わり、
二次試験、私大対策に向けて邁進!!
古語は、丸覚えするもの、漢字で覚えるもの、
イメージで覚えるものと、覚え分けしましょう。
源氏物語イラスト訳 重要古語
古文単語は、
1.古今異義語(現代の意味と違うもの)
2.古典多義語(現代より幅広いもの)
3.古今同義語(現代と同じ意味のもの)
があります。
大学入試によく出るのは、今回のような【古今同義語】です♪
【今回の源氏物語】
「あいなかりける心比べどもかな。我は、しか隔つる心もなかりき。ただ、かやうに人に許されぬ振る舞ひをなむ、まだ慣らはぬことなる。…」
――――――――――
今回出てきた古文単語
――――――――――
■【あいなかり】…ク活用形容詞「あいなし」連用形
※【あいなし】…つまらない
■【ける】…過去の助動詞「けり」の連体形
■【心比べ】…心の駆け引き
※【比(くら)ぶ】…差異や優劣を照らし合わせる。比較する
■【ども】…複数を表す接尾語
■【かな】…詠嘆の終助詞
■【我(われ)】…自分。私。ここでは光源氏の自称
■【は】…提示の係助詞
■【しか】…そう。そのように(指示副詞)
■【隔つる】…タ行下二段動詞「隔つ」の連体形
※【隔(へだ)つ】…隠し隔てをする
■【心】…気。気持ち
■【も】…強意の係助詞
■【なかり】…ク活用形容詞「無し」の連用形
■【き】…過去の助動詞「き」の終止形
■【ただ】…ただ
■【かやうに】…このように(指示形容動詞:ナリ活用の連用形)
※【かやうなり】…このようだ
■【人】…世間の人々
■【に】…受身の対象の格助詞
■【許さ】…サ行四段動詞「許す」の未然形
■【れ】…受身の助動詞「る」の未然形
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」の連体形
■【振る舞ひ】…ふるまい。行為。ここでは光源氏の忍び歩きのこと
■【を】…対象の格助詞
■【なむ】…強意の係助詞
■【まだ】…まだ
■【慣らは】…ハ行四段動詞「慣らふ」の未然形
※【慣(な)らふ】…慣れる
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」の連体形
■【こと】…事
■【なる】…断定の助動詞「なり」の連体形
◇ 今回は「ぬ」にも注意しましょ♪
――――――――――――――
☆ 本日の古文単語「心比べ」 ☆
――――――――――――――
「あいなかりける心比べどもかな。我は、しか隔つる心もなかりき。ただ、かやうに人に許されぬ振る舞ひをなむ、まだ慣らはぬことなる。…」
問)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.つまらない駆け引きをしたものだ。
2.筋の通らない感情であったものだ。
3.情けない取引をしたものだ。
4.情緒のない心遣いであったものだ。
5.どうしようもない愛情のなさであったものだ。
こういう、傍線部の意味問題は、
基本的に、まずは重要古語に着目します。
この場合は、「あいなし」ですね!
【あいなし】
【形容詞:ク活用】
①筋違いだ。不都合だ。よくない
②度を越していてよろしくない
③不調和でおもしろくない。情緒がない
④おもしろくない。つまらない
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
「あいなし」=「つまらない」
と覚えている人もいると思いますが…
実は「あいなし」は、
「あや(文)なし」から派生した語で、
けっこう幅の広い意味なのです。
なので、上の選択肢を
「あいなし」=「つまらない」で絞ってしまうのは、
ちょっとやめた方がいいかも…;;
では、どこに着眼すればよいか?
「心比べ」です。
「あいなかりける心比べどもかな。
1.つまらない駆け引きをしたものだ。
2.筋の通らない感情であったものだ。
3.情けない取引をしたものだ。
4.情緒のない心遣いであったものだ。
5.どうしようもない愛情のなさであったものだ。
実は、私の手持ちの辞書には、
「心比べ」という古語は載ってません。
しかし、「心を比べる」という意味あいなら、
古今同義語として、
現代にも通じますよね。
【くらぶ(比ぶ)】
【他動詞:バ行下二段活用】
①差異や優劣を照らし合わせる。比較する
②優劣を競う。競争する
③親しく交際する
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
ここでは、心、つまり
光源氏と夕顔の愛情の深さ、
その差異や優劣を照らし合わせることを
「心比べ」と言っているのでしょう。
【解答】…1
「あいなかりける心比べどもかな。我は、しか隔つる心もなかりき。ただ、かやうに人に許されぬ振る舞ひをなむ、まだ慣らはぬことなる。…」
● 過去記事リンク
■あいなし
■心
■も
■ならふ
ーーーーーーーーーーー