【夕顔282-3】古文常識「少将の命婦」
授業、講義を受けるときは、
先生の言うことを鵜呑みにせず、
なぜそうなのか、本当にそうなのかを、常に確認していきましょう。
源氏物語イラスト訳 重要古語
【古文単語の覚え方】
1.現代語から想像して覚える
2.漢字のイメージで覚える
3.ゴロを利用して丸覚えする
の3つのどれかで覚えます。
今回は、【古文常識】を覚えましょ♪
【今回の源氏物語】
「…少将の命婦などにも聞かすな。尼君ましてかやうのことなど、諌めらるるを、心恥づかしくなむおぼゆべき」と、口かためたまふ。
――――――――――
今回出てきた古文単語
――――――――――
■【少将の命婦】…惟光の姉妹か。乳母(尼君)の関係者。
■【など】…例示の副助詞
■【に】…対象の格助詞
■【も】…強意の係助詞
■【聞か】…カ行四段動詞「聞く」未然形
■【す】…使役の助動詞「す」終止形
■【な】…禁止の終助詞
■【尼君(あまぎみ)】…惟光の母。光源氏の乳母
■【まして】…それにもまして。なおさら
■【かやうのこと】…このようなこと
■【など】…例示の副助詞
■【諌め】…マ行下二段動詞「諫む」未然形
※【諫(いさ)む】…諌言(かんげん)する。忠告する
■【らるる】…尊敬の助動詞「らる」連体形(光源氏⇒尼君)
■【を】…順接の接続助詞
■【心恥づかしく】…シク活用形容詞「心恥づかし」連用形
※【心恥づかし】…気恥ずかしい
■【なむ】…強意の係助詞
■【おぼゆ】…思われる(ヤ行下二段動詞「おぼゆ」終止形)
■【べき】…推量の助動詞「べし」連体形
■【と】…引用の格助詞
■【口かため】…マ行下二段動詞「口かたむ」連用形
※【口固む】…口止めする
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
◇ 今回は「らるる」にも注意しましょ♪
――――――――――――――
☆ 本日の古文常識「少将の命婦」 ☆
――――――――――――――
「…少将の命婦などにも聞かすな。尼君ましてかやうのことなど、諌めらるるを、心恥づかしくなむおぼゆべき」と、口かためたまふ。
問)傍線部「少将の命婦」はどのような人物か。次の中から最も適当なものを一つ選べ。
1.夕顔に仕えた女房の一人
2.光源氏に仕える女房の一人
3.惟光の姉妹で尼君の娘の一人
4.惟光の兄姉で尼君の息子の一人
5.宮中に仕える近衛府の次官
古文常識に関する問題は、
出題される可能性も低いにもかかわらず
覚えることが幅広く多様なため、
受験生は、敬遠しがちですよねぇ~;;
でも、源氏物語イラスト訳を読んでいるあなたは、
出てきたものから、イメージ持って覚えていくので
複雑多様な古文常識も、頭に入りやすいんじゃないでしょうか?
(。´・∀・)ノ゙
特に、多くの受験生が捨ててしまう問題を
自分は得点できるというだけで
ずいぶんと戦力になります!
「少将」「命婦」を一つひとつ辞書で調べてみると、
こんな意味になります。
【少将(せうしゃう)】
【名詞】
…律令制で、「近衛府(このゑふ)」の次官。「中将」の次位。定員は左右各二名
【命婦(みゃうぶ)】
【名詞】
①宮中や後宮の女官の一つ。五位以上の女官(内(ない)命婦)と、五位以上の役人の妻(外(げ)命婦)がある。平安時代以後は、中級の女官をいう。
②稲荷(いなり)の神の使いとされる狐(きつね)の別名
※Weblio古語辞典より
「少将」という古語は、官職をさしますが、
清少納言や紫式部、赤染衛門などでもご存じのように、
名前の定かではない女性のあだ名として、
このような官職名が用いられたんです。
いったいなぜでしょうか…?
――――――――――――――
☆ 平安時代の名前の呼ばれ方 ☆
――――――――――――――
平安時代においては、名は諱(いみな)と呼ばれ、
「忌み名」という語感に通じるため、
相手を本名で呼ぶことは、あまりよくないこととされていました。
そのため、家族や親戚などの親しい間柄以外には
基本的に、自分の本名を知らされなかったのです。
なので、平安貴族の男の人たちは、
基本的に自分が就いている官位を呼び名にされていました。
たとえば、源氏物語に登場する「頭中将」や「左馬頭」、「式部丞」も、
まさに官職名ですよね~!
そして、平安時代の女性たちもまた、
基本的には男性と同様に、本名で呼ぶことは避けられていました。
しかし、宮中で働くようなキャリアウーマンの女官には
「内侍」や「命婦」などの官職名が与えられていましたが、
貴族の家に仕える女房などには官職名がありません。
では、いったいどう呼ばれていたのでしょうか?
( ゚∀゚; )
夕顔に仕えていた女房は、
「右近」と呼ばれていましたね。
右近というのは、「右近衛府(うこんゑふ)」の略で、
男の官職名です。
おそらく、この女性の親族に、「右近衛府」に勤めてた人がいたため
こう呼ばれていたのでしょう。
このように、平安時代の女性は、
親族の男性の官職名などをもじって呼ばれたのです。
特に、当時の結婚様式は、「通い婚」が基本でしたので、
女性たちは両親の官職で呼ばれることが多かったようですよ。
「命婦」というのは、宮中で仕える女官の官職名ですので、
この女性は、宮中でお仕えしてた女官なのでしょうか。
「少将」というのは、男性の官職名です。
おそらく、彼女の親族のなかに、少将がいるのでしょうね。
(ㆁωㆁ*)
1.夕顔に仕えた女房の一人
2.光源氏に仕える女房の一人
3.惟光の姉妹で尼君の娘の一人
4.惟光の兄姉で尼君の息子の一人
5.宮中に仕える近衛府の次官
直後の、「尼君の耳に入るのを避けるため、少将の命婦には聞かせるな」という文脈を考えると、
選択肢1や2は、無関係だと分かりますね。
【解答】…3
「…少将の命婦などにも聞かすな。尼君ましてかやうのことなど、諌めらるるを、心恥づかしくなむおぼゆべき」と、口かためたまふ。
● 過去記事リンク
■も
■まして
■いさむ
■おぼゆ
■たまふ
ーーーーーーーーーーー