おはようございます
ここ数日の暖かさに、八重桜も咲き始めました。遅咲きの梅がようやく散って、枝垂れ桃が五分咲き、ソメイヨシノも満開になる前なのに…。いっぺんに春が来る里山のような風景です。
震災から1ヶ月。この間にいらしたお客様のからだに、共通点があることに気づきました。それは背筋のコリ。脊柱起立筋の深いところで、キュッと締め付けられたように固まったコリ。
そこに気づいたとき、「これは、やっぱり大震災の影響なんだろうなぁ…」と思いました。状態が一番ひどかったのは、震災で家族を亡くされた同僚のいらっしゃる方でした。
大きな災害があったとき、まず感じるのは驚きや恐怖。やがて訪れるのは、悲しみや怒り。そして、先々の心配に、思い悩むもの。
被災された方や被災地に家族や親せきのいらっしゃる方はもちろん、ニュース映像をみるだけの立場でも、共鳴しますから、同じように感じられるものです。
驚き、恐怖、悲しみ、怒り、そして思い悩む心。こうした感情の動きは、からだへも影響します。どの感情が強かったかによって、影響を受ける五臓 は異なりますが、どの臓腑でも、その状態が反映されやすい共通の場所があります。それが背中なんです。
背骨の両側には、十二経脈 のうちの足太陽膀胱経が、↑上図のように流れています。赤字で示されているツボが、膀胱経のツボです。その中でも、背骨のすぐ外側、「○兪」と書かれたツボは、背兪穴(はいゆけつ)として、治療によく使われる要穴 のひとつ。
「そもそもツボって何?」 に書いたように、ツボは「からだの状態があらわれる体表の反応点」。鍼灸では、反応点=治療点であり、数あるツボの中でも、要穴は反応が出やすく治療効果の出やすいツボなんです。
とくに、背兪穴は五臓の状態が反映されやすいツボ。「東洋医学にみるストレスと健康の関係」 で解説したように、感情の動きは五臓に影響します。つまり、五臓の状態は背兪穴、すなわち背中に出るんです。
これは、現代医学的にも説明がつきます。ほら、胃とか腎臓とかが悪いと、よく背中が痛くなったりするでしょ? あれは、自律神経と皮膚や筋肉に分布する神経が、同じように脊髄を出入りしてるため、神経連絡の情報が混じり合っちゃうから…と考えられています。
また、「ストレスとホルモンと自律神経の関係」 にあるように、ストレスがかかると自律神経やホルモン分泌に影響して、内臓の調子も狂います。
ね?東洋医学者は、自律神経やホルモンの存在は知らなくても、感情の動きが内臓に影響して、さらに内臓の状態が背中に出ることを、2000年以上前から知ってたのよ。
で、背兪穴の中でも、↑上図の青□で囲ったツボ、上から肺兪、心兪、肝兪、脾兪、腎兪の五つが、その名の通り、五臓を癒すツボになります。
ということは、東洋医学講座のNo.29 やNo.30 にあるように、驚きや恐怖は腎 に、悲しみは肺 に、怒りは肝 に、思い悩むことは脾 に、それぞれ影響を及ぼすので、それが背中に出るってことなのです。
どの感情の動きが強かったかによって、コリがひどくなる高さは違ってきますけど、東洋医学講座のNo.16 やNo.17 、あるいはNo.8 にあるように、五臓は互いに影響しあいますから、強いストレスによって五臓のバランスがくずれていれば、背中全体が硬くなるというものです。
背中のコリは、自分ではなかなか気づきにくいものでもあるけれど、伸びをしたり、反対に背中を丸めてみたり、動かしてみてください。皆さん、きっと、思いのほか固まってるんじゃないかしら。
「背中をほぐそう!」 や「肩の力を抜こう!」 でお届けした体操を、まずはお試しくださいませ。他にも、「肩と背中のこりにうで振り体操」 、「くび・肩と腕の疲れに前屈ブラブラ体操」 、「肩こり解消に脇ストレッチ その2」 などがいいかな。
背中のツボを見つけて手当てするなら、「ツボの上手なみつけ方と刺激のしかた」 をご参考にどうぞ。
背中をほぐして、一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。
紅桃
東洋医学講座の目次→
ツボの目次→
リフレクソロジーの目次→
妊娠・産後・授乳・子どものケアの目次→
アロマセラピーの目次→
『養生訓』の目次→
体操とストレッチの目次→
からだのしくみ・食・栄養の目次→
からだの不調と対処法の目次→
養生法・漢方薬・薬草・ハーブの目次→
ブログの目的・利用法・楽しみ方の目次→