東洋医学講座 No.75 治療によく使われる要穴 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


気血の流れる経絡 には、正経十二経脈奇経八脈 があることをご紹介しました。そして、経絡が体表面にあらわれた部分に、ツボが並んでいることは、もうおわかりですね?この経絡上のツボのことを経穴といいます。


奇経八脈のうち、独自の経穴を持っている督脈と任脈の二経と、正経十二経脈とを合わせた十四経脈上に、全部で361個の経穴があります(国家試験のためにこれを覚えるのはホントに大変でした)。十二経脈は左右にあるので、実際には670ヶ所になります。


こ~んなにたくさんのツボを全部、治療で使うのか?となると、そんな鍼灸師はいないでしょうね。ツボにはそれぞれ特徴があって、何かしらの作用がありますが、治療によく使われるツボはそんなに多くはありません。


このブログでご紹介している万能ツボや特効ツボ など、治療に頻繁に使われるツボを要穴とよびます。要穴には、次のようなものがあって、私が使うのもそれらが多いです。


1 診断と治療によく使われるツボ(五要穴と下合穴)


経脈や臓腑の状態があらわれるツボに、五要穴下合穴があります。五要穴は、原穴(げんけつ)、げき穴(げきけつ)、絡穴(らくけつ)、募穴(ぼけつ)、背兪穴(はいゆけつ)の5つ。


① 原穴(げんけつ)

臓腑、とくに五臓の変調があらわれやすいツボ。臓腑の原気 の状態が反映されるツボであることから、原穴と呼ばれます。手首や足首の周辺にあり、合谷神門太淵太衝太渓 などがあります。


② げき穴(げきけつ)

経脈の気血が集まる隙間なので、げき穴と呼ばれ、臓腑の急性症状の治療によく使われます。孔最げき門 がこれに入ります。


③ 絡穴(らくけつ)

表裏関係にある経脈を連絡するところで、表裏関係にある経絡の陰陽を調整したり、慢性的な臓腑疾患の治療に使ったりします。豊隆内関飛揚公孫 など。


④ 募穴(ぼけつ)

胸部と腹部にあって、臓腑、とくに六腑の変調があらわれやすいツボ。経脈の気(経気)があつまるところなので、募穴と呼ばれます。中府中かん、天枢期門章門関元中極 など。


⑤ 背兪穴(はいゆけつ)

背中の脊柱の両側、足太陽膀胱経上にあるツボで、臓腑それぞれに対応して○兪と名付けられています。経気が注ぎ込まれるところとされ、臓腑の病変があらわれやすいだけでなく、治癒に導くところから背兪穴と呼ばれます。肺兪脾兪、胃兪肝兪大腸兪、小腸兪腎兪 など。


⑥ 下合穴(しもごうけつ)

足の三陽経上にあり、六腑の変調があらわれやすく、募穴とともに六腑の治療によく使われます。足三里 がこれに入ります。


2 症状に合わせて使い分けるツボ(五行穴)


手足の正経十二経脈 上にあり、井穴(せいけつ)、滎穴(えいけつ)、兪穴(ゆけつ)、経穴(けいけつ)、合穴(ごうけつ)の5種類で、五行穴または五兪穴と総称され、それぞれに得意とする症状があります。


① 井穴(せいけつ)

指先にあり、経気が湧き出るところとされ、急性の熱疾患や急を要する病態、精神疾患によいといわれます。中衝、少衝至陰 などがあります。


② 滎穴(えいけつ)

指のつけ根付近にあり、経気が勢いよく流れ始めるところとされ、臓腑の熱を冷ますのに使われます。労宮 がこれに入ります。


③ 兪穴(ゆけつ)

手首・足首の周辺にあり、経気が注ぎたくわえられるところとされ、臓腑の虚実の調整や痛みの治療に使われます。神門太淵太衝太渓足臨泣 など。


④ 経穴(けいけつ)

手首・足首の近くにあり、経気が順調にめぐるところとされ、寒熱の調整やのどの治療に使われます。解渓復溜崑崙 など。経絡上のツボを経穴と総称しますが、その経穴とはまた別で、こっちの経は経気の経です。


⑤ 合穴(ごうけつ)

ひじ・ひざの周辺にあり、経気が合流して体内に入るところとされ、慢性疾患の治療に使われます。足三里曲池尺沢陰陵泉 など。


3 気血陰陽の状態に合わせて使うツボ


① 気虚 … 足三里脾兪関元気海 など

② 気滞 … だん中太衝内関 、間使など

③ 気逆 … 内関尺沢足三里天突公孫 など

④ 血虚・血お … 三陰交膈兪血海 など

⑤ 陰虚 … 復溜照海三陰交 など

⑥ 陽虚 … 関元気海命門 など


こうしてみてみると、分類のあっちこっちに顔を出しているツボがあるでしょ?足三里とかね。万能穴といわれる所以はこのあたりにあるんです。


つらいときに自然と手が向く先に、ツボはあります。ツボを適度に刺激すれば、ちょっとした不調を回復してくれますが、押せば押すほどいいってものでもありません。1ヶ所1回3分を限度としておくといいかな。もっとも3分間押し続けるのって容易じゃありませんけどね。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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