妊娠悪阻(つわり)を東洋医学でみると | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


「つわりの吐き気がスプーンでラクになる?」 から始まった吐き気のシリーズ、男女関係なく「吐き気」を東洋医学でみた場合をその1その2 とお届けしました。


話は戻って、妊娠悪阻(つわり)の場合はどうなのか? 昨日ちょこっと書きましたけど、妊娠は病気じゃありませんから、つわりの状態には、もともとの体質やそれまでの生活習慣によるからだの状態が影響します。


「吐き気」あるいは「しゃっくり」 を起こす病態からわかることは、① あるいは が弱い、② が強くなっている、③水分過剰で痰飲 (痰湿) が溜まっている、これらによって胃気 の状態が悪くなって上逆する。


ということは、体質的に脾胃が弱い、脾胃を弱めるような生活習慣がある、ストレスを抱えていて肝鬱気滞 を起こしている、水分過剰になる生活習慣がある…なんてことが、つわりの状態にも影響しそうだとわかりますね?


脾胃は消化吸収に働きますから、生活習慣の中でも食事の影響が大きそうなことも、予測がつきますね?しかも、湿気の多い日本では、脾が弱くなりやすいってこともあるし。


妊娠すると、たいてい誰でもつわりが起こりますね。それが軽いか重いかが、体質や生活習慣によって決まるってことです。


1 脾胃虚弱による妊娠悪阻


受胎によって月経が止まると、衝脈 の気が平素と比較して旺盛になります。衝脈は、「月経痛を東洋医学でみると」 にあるように、女子胞 (子宮)とつながる経脈 です。


その衝脈は、胃経 である陽明経に隷属しています。衝脈の気が旺盛になって上逆すると、大なり小なり胃経にも影響して、胃気もつられて上逆します。


脾胃がしっかりしていれば、衝脈からの影響は最小限になって、つわりも軽くてすみますが、もともと気虚体質 で脾胃虚弱だったり、脾胃が弱るような生活習慣があれば、つわりも重くなっちゃいますね。


主症状: 吐き気、食べ物のにおいで気持ち悪くなる、あるいは食べると吐く。

随伴症状: 腹部膨満感、倦怠感、眠気が強い、息切れしやすい、便が緩め、手足がだるい。

舌脈: 舌色 淡、舌苔 白、 緩無力(虚)

ツボ: 足三里中かん公孫


2 肝鬱気滞による妊娠悪阻


妊娠すると、胎児の栄養のために が子宮に集まります。すると、当然のことながら、肝に貯蔵されている血が減ることになる。ふだんから肝気が強めな人は、肝血不足によってさらに強くなって、ますます気滞 を起こしやすくなります。そう、血は陰で、気は陽ですからね、陰が弱れば、相対的に陽は強くなるんです。


そうして肝気が強まっているときに、ストレスがかかって、肝の疏泄がうまくいかなくなると、胃気の流れを阻害することに。肝と胃は近くにありますから、影響しやすいんです。この状態を肝胃不和と言います。気滞が強ければ熱を帯びて、場合によっては肝火上炎 ともなり、それに伴って胃気が上逆するしくみです。


もともと気滞体質 だったり、妊娠前に夜更かしや不摂生を続けていれば、この状態になりやすいし、ストレスが強ければ強いほど、気滞の状態が長引けば長引くほど、つわりも重くなります。激しいつわりを起こすのは、このタイプが多い。ご本人も周囲の人も、ストレス緩和を心がけましょう。


主症状: 吐き気、苦いあるいは酸っぱい黄水が上がる、食べ物のにおいで気持ち悪くなる、特にあぶらっこいものを嫌う。

随伴症状: 口が苦い、わき腹がはって痛む、ゲップが出る、よく溜め息をつく、精神的な抑うつ感がある、頭がはったように痛む、冷たいものを摂りたくなる、手足が冷える、顔がほてる、吹き出物が出やすい。

舌脈: 舌色淡紅または紅、舌苔淡黄または黄、脈弦滑

ツボ: 内関太衝足三里中かん


3 痰湿による妊娠悪阻


妊娠によって旺盛になった衝脈の気の流れが、痰湿によって阻害されると、胃気を道連れに上逆します。痰湿は、体内の水分(津液 )の過剰。もともと脾が弱くて痰湿を溜めこみやすかったり、湿気の多いところに住んでいたり、水分摂取が多過ぎたり、甘いものを食べ過ぎたりすれば、痰湿によるつわりを起こしやすくなります。


主症状: 吐き気、食欲不振、嘔吐物の水気が多い。

随伴症状: 口が甘く粘つく、味がよくわからない、胸の辺りがムカムカする、手足がむくむ・だるい・冷える、冷えると下痢をする。

舌脈: 舌色淡、舌苔白膩、脈滑

ツボ: 陰陵泉豊隆足三里中かん


13は、どちらが先でも、どちらへも転ぶ可能性があります。脾胃が弱いと痰湿を溜めやすいし、痰湿があれば脾胃は弱りやすいから。


胃気上逆による「吐き気」そのものへのケア、すなわち対症療法には、先日ご紹介した姪っ子のように、だん中 だけでもOKです。つわりが重くて、食べても吐いてしまうようなら、↑上記にあるツボを手当てしましょう。


13のいずれも手足は冷えやすいです。2は、口やおなかは熱っぽいので、冷たいものを好むかもしれませんが、摂り過ぎには気をつけてくださいね。冷やし過ぎは禁物です。13は、手足に限らず、からだ全体も冷えることがあるので、温かく消化の良いものを選びましょう。


これから妊娠の予定がある方は、今のうちに手当てして、体調をととのえておきましょう。予防が一番ですからね。

一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


春月の『ちょこっと健康術』-デージー

ヒナギク


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