益軒先生のいう「胃気」とは? | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


先日の「消化酵素って何?」 では、解剖生理学的・西洋医学的に「消化」をとらえましたが、これを東洋医学的に考えるとどうなるんでしょう。


食物が口から胃に入って、小腸・大腸を経て、肛門から排泄される。大まかな動きは、東洋医学でも同じなんです。違うのは、消化酵素の働きも、胃腸の運動も、栄養素の吸収も、すべてのからだの反応は「気の働き」というところ。そう、なんでもすべて、気のせい(笑)。


口から入った食物が胃に入る。これを東洋医学用語では受納(じゅのう)といいます。受けて納める。そのままの意味です。そして、食物を消化することは、腐熟(ふじゅく)といいます。腐るという字が入っていますが、熟成させるという感じ。受納も腐熟も、胃の「臓腑の気」すなわち胃気によって行われるんですが、常に脾気の運化に助けられています。(→東洋医学講座 No.11  No.15


このときの、胃の「臓腑の気」としての胃気は狭い意味での胃気で、脾気の助けまで含めたものが広い意味での胃気。すなわち食物の消化吸収に関わる気を胃気と総称していることになり、広い意味での胃気が、益軒先生のおっしゃる胃気と考えていいと思います。つまり、解剖生理学的にいう機械的消化も化学的消化も、すべて胃気の作用ということになりますね。


胃で消化された飲食物は、小腸に降ろされて清濁に分別されます。これを小腸の泌別といいます。分別されたうちの清なるものは、水穀の精微であり、脾気の昇清によって胸中に送られて、肺が取り込んだ天の清気(新鮮な空気)と合わさって、後天の精気となり、これが真気(元気)としてからだのエネルギーとなります。(→東洋医学講座 No.12  No.20


小腸で分別されたうちの濁なるものは、食物の糟粕であって、大腸へと送られます。糟粕から余分な水分が抜かれて膀胱へと送られ、残りは糞便として肛門から排泄されます。食物の流れは、現代医学でみても同じでしょ?これを2000年以上前に中国の医師たちはすでに知っていたんです。


このように、消化された飲食物を小腸へ、さらに濁なるものを大腸へ降ろすのも、胃気の作用であり、これを通降といいます。脾の昇清に対して、胃の通降。上げる作用と下げる作用。これでバランスが取れていることからもわかるように、脾と胃は他の臓腑よりも関係が密接なんです。ここで出てくる疑問が、解剖学でいう脾臓と、東洋医学の脾臓の違い。これについては、またいつか書きましょう。


で、実は、東洋医学にも臓腑図というのがあるんです。それは、こちら↓


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ね、絶対に解剖したに違いないと思いませんか?想像だけでは、これは描けないですよねぇ。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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