おはようございます
昨日の東洋医学講座を書きながら気づいたことがあります。そういえば、月経不順とか月経痛とかに関して、記事を書いたことがなかった!「妊娠中の東洋医学的ケア」 や「マタニティ・リフレクソロジー 乳房のケア」 の中で、PMS(月経前症候群)についてちょっと触れているだけ。
ということで、まずは月経痛についてお届けします。「月経」という名称、これは東洋医学用語から来ています。月(moon)の周期28日とほぼ同じくして、女性に出血の周期があるため、そう名付けられたんですね。英語ではmenstruation(メンストレーション)といいますが、その語源となったラテン語はmesで、これも月なんだそうです。
月経期や月経の前後に生じる小腹部(ヘソから下の腹部)や腰の痛み、すなわち月経痛のことを「痛経」と呼びます。東洋医学では、痛み の原因は不通則痛か不栄則痛のどちらかで、痛経の場合も同じです。つまり、つまってるか、栄養不足があるか。気血のめぐりが悪化すると起こります。
月経に深く関与するのは、臓腑では肝 と腎 。月の周期と同じ日数で、古くなった血を排泄して、新しい血をためるのが月経であり、これは肝の蔵血作用によるものと考えられています。なので、肝の不調は月経に影響する。腎は蔵精をつかさどり、精と血は互いに転化するので、精の不足は血の不足につながります。
また、経脈では、衝脈と任脈が女子胞 につながるため、衝任脈の状態は、そのまま月経にも影響します。血は、気のめぐりによって脈中を流れ、そこにつながる臓器に栄養を与えるもの。したがって、衝任脈中の血が不足すれば、女子胞が滋養されずに痛みを生じます。
肝気鬱結
による痛経 … 不通則痛
精神的なストレスや七情 (特に強い怒り)によって、肝気が鬱積・停滞して、肝うつ気滞 となります。すると、気血のめぐりが伸びやかさを欠いてしまい、これが衝任脈に影響すると、経血が女子胞に阻滞してお血 となり 、痛みを引き起こします。
主症状: 月経前や月経中の小腹部(へそから下)の脹痛 (痛みよりも脹りが強い)
随伴症状: 月経周期が乱れる、経量 は少なめ、血塊がある、胸脇や乳房が脹って痛む
その他: わけもなくイライラする、怒りっぽい、目が赤いなど
手当て: ストレスを解消する、軽い運動や腹式呼吸 で気のめぐりをよくする
寒湿凝滞による痛経 … 不通則痛
月経期に、雨に打たれたり、水につかったり、生ものや冷たいものを摂りすぎたり、湿気の多い場所に長時間滞在したりすると、寒湿の邪が入ります。湿邪 の下部にたまりやすい性質と、寒邪 の凝り固まりやすい性質によって、下腹部が冷えて経血が固まると痛みを生じます。
主症状: 月経前や月経中の小腹部の冷痛 (ひどいときは腰や背中にまで波及する、温めると軽くなる)
随伴症状: 月経が遅れる、経量は少なめ、経色 は暗紫色、血塊が混じることがある
その他: 手足の冷え、顔色が青白い、寒がる
手当て: おなかと腰を温める
ツボ: 三陰交 、中極、水道、次りょう
生まれつき肝腎が弱かったり、房事過度 があったり、他の臓腑の病が肝腎に波及したりして、肝血虚や腎精不足などになると、衝任脈の血が不足します。すると、女子胞が十分に滋養されず、小腹部が痛みます。
主症状: 月経中や月経後の小腹部の隠痛 (がまんできる程度の痛み、按じると楽になる)
随伴症状: 経色は淡白、経質は薄い、腰や背中の痛み
その他: 足腰がだるい、めまい、耳鳴り、顔色が青白い、倦怠感
手当て: ふだんから養生を心がける、精神的な刺激や過度の労働をさける
つらい月経痛、予防のためにもケアしてくださいね。一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
ハナミズキ
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